内田の日記
12月31日、彼…いや、彼女が来たおかげ私の『のんびりタイム』は奪われてしまった。
部屋にオレンジジュースを持ってくると、そこはもはや荒れ果てた戦場と化していた…。
「ちょっと、マコトくん…もうちょっと綺麗にできないの?」
「えっ?…あー、…悪い!」
そう言ってマコト君は、私の服を脱ぎ始めた。
何故こんな事になっているかと言うと、家のチャイムが鳴ったのは約30分前…
「…あれ?マコト君どうしたの?」
「内田!ちょっとお前の力が必要なんだ!入れてくれないか?」
「私の力?チアキとかじゃダメなの?」
「あぁ、お前じゃないとダメなんだ!」
「…まぁ暇だし…入っていいよ。」
私の力が必要…それもチアキじゃダメな事?
普段必要とされないキャラ付けになっていた私は、つい嬉しくなってマコト君を家に入れてしまったのだ。
「ねぇねぇ!私にしか頼めない事って何?」
「おお、早速なんだけど…正月用に可愛い服を買いたいんだ!」
「…?」
「それがデパートで買おうかと思ったんだけど、試着とか恥ずかしくて…そこで内田の出番なんだ!」
「…私?」
「そう!内田の持ってる服をオレが着て、一番似合う服と似た服をデパートで買う!」
…マコト君がとんでもない事を言い出してしまった。
しかし物事に流されやすい私は、断ることも出来ず持っている冬用の服をすべて持ってきた。
そしてジュースを入れて、持ってくると…部屋にはたくさんの私の服が脱ぎ捨てられていたのだ。
「マコト君。…その、ちょっと休憩しようよ。…そしてジュース飲んだら帰って。」
「え?!ちょっと待ってくれよ!まだどれが良いか決めてないんだ!」
「とりあえず私が恥ずかしいから、上の服着てジュース飲みなよ…。」
「…内田!恥ずかしがらずに見てみろ!オレのこの厚い胸板を!!」
「…マコト君……胸板なんて何所にもないよ…。」
「なにを?!良く見てみろよ!」
「…分かったからとりあえずジュース飲んで、自分の服着て帰ってくれるかな。」
「えっと…あれ?!それ最初と同じ意味じゃないのか?!……あっ。」
そう言うと半裸のマコト君は、私の方をジーッと見だした…
普段見せないような…獲物を狙うような鋭い視線で私を見ている。
…そう言えばマコト君も一応男の子なんだよね…間違いがないように気をつけなきゃ…
「…内田!ちょっといいか?」
「ダ、ダダ…ダメだよマコト君!私たちまだ小学生なんだよ?!そんな…エッチな事は……」
「はぁ?何言ってるんだ?」
「…え?」
「オレはちょっと、内田が今着てる服を貸してほしいだけなんだけど。」
「えぇ?!ご…ごめん!アハハ…私早とちりしちゃって……はぃ!」
私は恥ずかしくなって、慌てて着ていた服をマコト君に渡した。
はぁ、勝手に早とちりして恥ずかしい…そう思いながら私は顔を赤くしてうつむいていた。
「内田、どうだ?」
「えっ…うん、似合うと思うよ。」
「そうか、じゃあコレに似た服にしようかな。」
「それがいいよ!うん!」
とりあえず私はマコト君に帰ってもらうために、適当に返事をした。
…なのにマコト君は帰るどころか、またジーッとこっちを見ている。
「内田…お前人の事言えないな。」
「え?」
「胸だよ胸。女なのにオレと変わらないくらいじゃないか?」
「胸……胸?………あっ!!」
なんとなくマコト君に服を貸した時から寒いとは思ってたんだ…。
でも私が変なこと言って慌ててたから……
今の自分の姿を見てみると、上は裸で、下のスカートと下着だけしか付けていなかった。
それにしても、マコト君と同じくらいって言うのは言いすぎだと思う。
そりゃ…少し小さいかもしれないけど、私だって一応女としてのプライドって物があるんだから!!
「マコト君と同じって事は無いんじゃないかな…その、私の方が少しは…」
「…いや、一緒だよ。」
「なっ…!!」
ここまで来ると、私だって引くわけには行かない…
私はマコト君の手を取り、自分の胸にその手を当てた。
内田の日記
私がマコト君の右手を掴み自分の胸へ当てると、マコト君は撫でるように触り始めた。
毎日体を洗う時に自分で触ってるのに…自分以外の人が触ると、なんだか少し変な気分だな…。
「…どう?私の方が少し大きいでしょ?」
「いや、やっぱり同じくらいだぞ?」
「なっ!そんなはず…もっとちゃんと触ってみてよ!」
私はそう言ってマコト君に背中を向け、後ろから両手で触るように言った。
これじゃあ私が恥ずかしいだけの様な気もするけど…でもコレだけは引けなかった。
私が『ちゃんと触って』と言ったからだろうか…マコト君は私の胸を触るだけじゃなく揉み始めた。
なんだか少し変な気分…おしっこがしたい訳でもないのに内股でモジモジしてしまう…。
…と言うか、どうしよう……長い時間触られて…なんだか少し気持ち良くなってきた気がする……
「…マ…マコト君、まだ…?」
「う~ん、やっぱり同じくらいだぞ?」
「そ…そんなぁ……」
「あっ、でも……」
「なになに?!私の方が少し大きかった?!」
「…いや、胸は同じだけど、ココが硬くなったと言うか…大きくなったと言うか……」
「…へ?」
そう言うとマコト君は私の胸の先を軽く摘んだ。
良く分からないけど、体に電気が走るって言うのはこう言う事なんだと思う…。
「…きゃっ!……ダ、ダメだよ!!そんな所……触っちゃ…ヤダ…。」
「??どうして?」
「どうしてって…それは……く、くすぐったいから…かな。」
「ふ~ん…あっ!じゃあ良い事思いついた!」
…どうせまたくだらない事を思いついたに違いない…。
だって、マコト君がこっちをジッと見てるんだもん…。
「内田!今オレが来ている内田のこの服を貸してくれ!」
…ほら来た。やっぱり変なこと言いだすと思った…。
「そんなのダメに決まってるでしょ?それ私のお気に入りなんだよ?」
「でもオレに似合ってるんだろ?だから正月の間貸してくれ!」
「…はぁ、だからダメだって。」
「そうか、なら仕方ないな。内田、覚悟しろ!」
そう言うとマコト君は、私の胸を触ろうとした。
何が何だか分からず、私はとりあえず逃げた…が後ろから掴まり、さっきの様に胸を揉まれてしまった…
「ちょっと…マコト君!こんな事したら…ダメなんだよ!」
「でも内田はくすぐったいんだろ?笑い死にしたくなかったら大人しく服を貸すんだ!!」
「そんなぁ…横暴だよ!ヤダヤダヤダ!絶対貸さなーい!!」
「何を?!内田のくせに…でもいつまで体がもつかな?」
…悔しいけどマコト君の言う通り、体がもちそうに無かった…。
5分ほどで足に力が入らなくなって、私はその場にへたり込んでしまった。
「はぅ…こんなのひどいよ……んっ…もう止めてよぉ……んぁっ…」
「じゃあこの服を貸してくれ!」
「んっ…その服……ハァッ…んっ……ダメな……あぅっ……」
「内田のくせに強情だなぁ…じゃあ他のでいいから貸してくれよ。」
「分かったから、…ハァ…ハァッ……だから許して……もう私…んっ!」
そう言うとマコト君は、ようやく私の体を離してくれた。
服を着ていないのに、何故か私は汗をかいていた。
「…ハァ…ハァッ……こんなのっておかしくない?」
「おかしいって?」
「だってマコト君、この前ハルカちゃん下着が見えただけで、顔が真っ赤になって倒れたでしょ?」
「うん。」
「…その、私も一応女で…しかも裸なんだけど…どうして平気なの?」
自分で聞いておいて何なんだけど、答えは分かっていた。
どうせ相手がハルカちゃんだったから…って言うに決まってる。
…別にマコト君の事が好きって訳じゃ無いけど、なんだか女として悔しいなぁ…
「…その、なんて言うかさ……」
「…どうせハルカちゃんは特別って言うんでしょ?」
「いや、そうじゃなくて…ハルカさんが特別って言うか…内田が特別なんだ!」
「…え?」
「多分、裸なのが内田じゃなくて千秋や吉野だったら、オレ…恥ずかしくて逃げてると思う。」
「えっと…それって……」
「うん…いま内田の胸とか触って、オレ分かったんだ!オレ、内田の事……」
「ちょ、ちょ、ちょっと、そんな急に?!…まだ私…その、心の準備が……」
「女として見てないんだ!!」
「……はい?」
「いや、普通女の子相手にこんな事したら恥ずかしいだろ?でも内田が相手だと全然恥ずかしくないんだ!」
うん…まぁ別に……私マコト君の事好きでも何でもないから、気にしないんだけどね…
でも…これってどうなんだろう…。女として私、このままでいいの…?
ちがう…ダメだよ!そうよユカ!私だって女なんだから…このまま終われない!終わっちゃだめ!!
私はそう思い、反撃に出ることにした。
最終更新:2008年02月24日 23:17