正月真っ只中の1月3日…この日マコちゃんは朝から南家へ向かっていた。
昨日の夜にカナから電話がかかってきて、大事な用があるから集合!…と言われたからだ。
正直カナの大事な用なんて、実際大した事は無いと言うのはマコちゃんにも分かっていた。
それでも文句ひとつ言わずに寒い中、南家へ向かった理由はただ一つ…ハルカに会うためだった。
マンションに到着し、震えながらエレベーターを待っていると中から何故かオシャレな服を着た千秋が現れた。
「あれ?マコちゃん、どうしたんだ?」
「えっと、カナに大事な用があるって言われて…」
「そうか。マコちゃんもバカな先輩を持って大変だな。」
「ア…アハハハハ……と、ところで南はそんなにオシャレして何所に行くんだ?」
「えっ…私は……その、初詣に…」
「…一人で?」
「……と、とにかく私は急ぐから!じゃあな。」
そう言うと南は心なしか足が痛そうにしながらも、顔を赤くして行ってしまった。
家に到着し、インターホンを鳴らすと何故か内田がマコちゃんを迎え入れた。
「マコちゃん、いらっしゃーい。」
「あれ、内田?お前も呼ばれてたのか?」
「そうなの…私寒いの苦手だからあんまり出たくなかったんだけど…カナちゃんが来いって…。」
「…で、そのカナはどうしたんだよ?」
「コタツに入ってテレビ見てるよ。立ち話もなんだしマコちゃんも早く入りなよ。」
「あ…うん、おじゃまします…。」
こうしてマコちゃんは南家に来たのに内田に迎え入れられ、居間へ向かった。
そこにはダラケきった人間の見本の様なカナがコタツでみかんを食べながら溶けていた。
すかさず内田もコタツに飛び込み、幸せそうな顔をして溶けていく…。
そして同じくコタツに入ったマコちゃんは、家の中をキョロキョロと見渡しハルカの姿を探していた。
「なぁカナ、ハルカさんはいないのか?」
「おぉ~…マコちゃん着てたのか。ハルカなら風呂に入ってるぞー。」
「そっか…そう言えば南とさっき外で会ったんだけど、一人で初詣に行ったのか?」
「千秋…?あぁ、なんだか3日までしか出店が無いから絶対に今日藤岡と行くとか言ってたかな…。」
「藤岡…ってカナの友達だろ?なんで南とカナの友達が一緒に行くんだ?」
マコちゃんがそう聞くと、さっきまで溶けていた内田の目が大きく開きシャキッと座った。
「それはやっぱり千秋が藤岡君の事をなんて言うか、あ…いや、そこまでは言わないけど、ねっ!いや~、若いって良いね!」
「内田?何言ってるんだ?」
「だ・か・ら、特別な思いを…愛って言うか……いやいや、そんな恥ずかしい…エヘヘッ!もうまいっちゃうよねっ!」
「…?」
内田は一人でテンションを上げて、何故か自分が顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに話し続けていた。
マコちゃんはその内田を放置し、カナに今日呼ばれた理由を聞く事にした。
「ところでカナ、今日呼びだした用って何なんだ?」
「……マコちゃんよ、お前は今日私に呼ばれて来たんだよな?」
「…?そうだけど…?」
「なんで最初にハルカの話題、次に千秋…そして最後にこのカナ様……ちょっと順序がおかしく無いか?普通私が最初だろ!」
「はぁ…それは悪かったけど……で、用って何かな?」
「あぁ、正月特番にもそろそろ飽きて私は暇なんだ。だから遊び相手をしろ!」
「…暇なら南達と一緒に初詣に行けば良かったんじゃないのか?」
マコちゃんがそう言うと、先程まで一人で壁に向かってヘラヘラと喋っていた内田が二人を見て熱弁しだした。
「ダメダメッ!そんな事したら、千秋はすー……っごく怒ると思うな!」
「…どうしてだよ?」
「どうしてって…それは……その…エヘヘッ…恋する乙女…って言うか…ヤダヤダっ!も~、恥ずかしいよ…アハハッ…」
「…カナ、内田はいったいどうしたんだ?」
「うん…まぁ
お正月だからねぇ……頭にお花畑でも出来てるんじゃないの?……おぃ!内田、よだれ よだれ!」
「そうなのか…。」
そう言いながらマコちゃんとカナは、脳内花畑を走り回る内田を気の毒そうに眺めていた。
そんな内田をしばらく眺めていると、マコちゃんは何かを思い立った様に立ち上がった。
「カナッ!このお年玉で買ったんだけど、このスカートどうだ?ハルカさんは気に入りそうか?!」
「あー…そうだな、この寒い中ミニスカートを穿いてきた心意気はハルカも認めるだろう。」
「ほんとに?そうか…ハルカさんも喜んでくれるか……エヘヘ…」
「だが!…お前、ミニスカートの下にトランクスはどうかと思うぞ?」
「…え?」
この時マコちゃんが穿いていたスカートは短く、少し動けばトランクスが見えてしまうほどだった。
更に座っているカナには、動かなくとも立ちあがったマコちゃんのトランクスは丸見えだった。
ちなみにトランクスと言う言葉に反応した内田にもバッチリ見えていた。
「カ、カ…カナ!オレはいったいどうすればいいんだ!?」
「まぁ落ち着けマコちゃんよ…」
「そうだ!カナ、オレにパンツを貸してくれ!」
「バカヤロー!どこの世界に男にパンツを貸してと言われて貸す女がいるんだ!」
「…いたい…ぃたいよぉ……ほめんらはぃ…ごめんらはぃ……はぅぅ……ん?」
その時、カナにほっぺをつねられるマコちゃんの目に内田の姿が映った。
内田もスカートだが、マコちゃんより遙かに長いロングスカートだ…。
「内田!今パンツ穿いてるよな?」
「えぇ?!…そ、そりゃ穿いてるけど…。」
「500円上げるからそのパンツ貸してくれ!ちゃんと洗って返すから!」
「えぇぇぇ?!」
「……誰が穿いてるパンツ貸すんだよコノヤロー!」
「うわぁ!……ごめんなさい、ごめんなさい…。」
カナはマコちゃんの頭にチョップ連打している。
(マコちゃんの頭には、パンツではなく長いスカートかズボンをカナちゃんに貸しりると言う事は思いつかなかったのかな…)
内田はそう思いながらスカートの中のパンツにかけた手を、カナに気付かれない様にそっと離した。
内田ビジョン
「あぅぅ…っ……酷いよ、いたいよぉ……」
カナちゃんに連打チョップをお見舞いされたマコちゃんは、その場で涙を浮かべ頭を押さえてうずくまっていた。
私はそんなマコちゃんがあまりにも不憫で、先ほど思いついた事を提案する事にした。
「あのねマコちゃん…その…パンツを借りるんじゃなくて、カナちゃんにズボ……んんー…っ!!」
マコちゃんへの助言を私が途中まで言ったところで、カナちゃんが強引に私の口を押さえた。
カナちゃんの顔を見ると何やら、『面白い事を思いついた』…と言わんばかりに不気味にニヤケている…
「マコちゃん、喜べ!良い事を思いついたぞ!!」
「…ほ、ホントか?!」
「あぁ、良く考えればそんなもの穿いてるからスカートの裾から見えちゃうんだ、脱いじゃえば問題ないだろ?」
「…でも……それって逆効果なんじゃ無いのか?」
「大丈夫だ、私を信じろ!脱いでしまえばスカートがめくり上がらない限り何も見えないだろ?」
「…でも……」
「お前…今ハルカにそのトランクスが見られたら、一生お前は女装趣味のある変態男と思われるんだぞ!」
「うぅ……それは…」
「だが脱いでみろ!見える確率はグンと下がる!万が一見えたとしても、女装趣味の変態男と思われるだけだ!」
「…え?…それじゃあ同じ結果なんじゃ…?」
「…お前バカなのか?同じ結果になるなら、そうなる確率の低い方がお得だろ?ほら考えてみろ、どっちが得だ?」
「それは…えっと……あっ!…脱いだ方が得なのかも!」
私はその一連の話をただ聞いているだけだった……そしてこう思った…さすがは中学生、頭が良い。
確かにバレた時に同じ結果になるなら、少しでもバレにくい方が得だもん!
マコちゃんも納得した顔で、カナちゃんにお礼を言いながらトランクスを脱ぎ捨てた。
カナちゃんの言葉に納得していたとは言え、さすがに恥ずかしいのかマコちゃんはスカートの裾を下に引っ張っている。
…そうこうしていると玄関の近くから扉が開く音がし、ハルカちゃんがお風呂から出てきた。
「はぁー、いいお湯だった。…あら、マコちゃんも来てたの?あけましておめでとう、今年もよろしくね。」
「…ぁ…あぁ…あけまししし……おめ、おめで……」
「…おいハルカ、一応こんなんでも客人なんだからバスタオル1枚で出てくるなよ。」
「えっ?…あ、ごめんなさいね。」
―――パサッ…
そう言うと同時に、ハルカちゃんの胸元で止めていたバスタオルが床に舞い落ちた。
「おっと…失礼。…最近バスタオルを巻いてもすぐ落ちて困るのよね…。」
「…お前、それは胸が大きくなりすぎてタオルが上手く巻けないと自慢しているのか?」
「そ、そう言う事じゃ……」
「あ…あははっ……技が…すごい技が……アハハ…」
「!!…カ、カナちゃん、大変!マコちゃんが目をまわして倒れちゃった!!」
「え…?!た、大変!大丈夫マコちゃん?!」
「おいハルカ!マコちゃんを殺す気か!!ここは私たちが何とかするからハルカは早く部屋で服を着てこい!」
「…え?」
カナちゃんはそう言ってハルカちゃんを部屋に追い返した。
マコちゃんは目をまわして倒れたまま天井を見上げ、いぜん技がどうとか一人で呟いている…。
するとカナちゃんは、マコちゃんのスカート辺りを見て私に話しかけてきた。
「なぁ、内田。こいつを見てどう思う?」
「こいつ…って?」
「このスカートの膨らみだよ。せっかく私が名案を出してやったのに…さすがにこれじゃあマズイだろ?」
確かに…マコちゃんのスカートの真ん中あたりが少し膨らんでいるような気がする…
カナちゃんはスカートに手を伸ばし、そのまま勢いよくスカートをめくり上げた。
カナが勢いよくマコちゃんのスカートをめくると、そこにはマコちゃんなりに大きくしたソレが姿を現した。
「キャ…ッ!ちょ、ちょっとカナちゃん!!」
「ふむふむ……」
恥ずかしそうに両手で顔を押さえて恥ずかしがる内田と、頬を赤らめながらも興味津津と言わんばかりに眺めるカナ。
「…カ、カナちゃん!そんなの見せないでよ!!」
「…内田、お前みたいのか見たくないのかハッキリしろよ。」
「ハッキリしろって…さっきから私は、見せないでってハッキリいってるよーっ!」
「…いや、でもお前指の隙間からばっちり見てるじゃないか。」
「………ぎくっ…」
内田は顔を両手で覆っていたものの、指の隙間からこっそりとマコちゃんのそれを覗きこんでいた…
…と言うよりカナと話している最中も、こっそりとは言えない程指を大きく開いて凝視していた。
「あのなぁ、内田…いいか?年頃の女の子が男の子の体に興味を持つことは恥ずかしくない事なんだ。」
「…はぃ。」
「だからこれは勉強だ!内田も恥ずかしがらずに見るんだ!マコちゃんの男っぷりを!!」
「そ、そっか…これは勉強……うん!わかったよカナちゃん!」
そう言うと内田は正座して両手を膝に置き、ジッとマコちゃんのそれを見つめだした。
「どうだ内田?なにか分かった事とか感じた事はあるか?」
「う~ん…ずっと大きくなったままピクピクしてるみたい…。」
「確かに……まったくマコちゃんの奴…ちょっとハルカの裸を見たくらいでこんなに大きくしやがって!
もしかして普段から私たちの事見ても、勝手に想像して大きくしてるんじゃないのか?」
「……でも私の裸見た時は別に大きくならなかったょ…。なんでかな…かな……。」
「…えぇ?!」
内田がその言葉を言った時、それはそれは内田とは思えないほど顔に影を落とし暗い顔をしていた。
カナからしても今の発言はツッコミどころ満載だったのだが、その顔を見てつっこめる訳がなかった…
カナはとりあえず話題を変えたい為に、半ば強引に話を進めた。
「よ、よ~し!じゃあ見た後は触ってみよう!!」
「…さ、さわるってコレに?」
「当たり前だ!さぁ内田、触れ!握れ!いじくりまわせ!!」
「えぇ?!私が触るの?!…ヤ、ヤダよ…汚いよぉ……」
「…内田、お前好きな人が出来たとか言ってたよな?」
カナがそう聞くと、内田は顔を赤くしながら語り始めた。
「…エヘヘッ……うん。出来たよ!名前は分からなかったんだけど…マキちゃんと一緒にいたからね…
ハルカちゃんなら名前知ってると思って特徴を言ったら、保坂先輩と思うって言ってた!!」
「そうか…で、もしその保坂先輩とやらがお前と付き合ったとしよう。」
「え…えぇー!!そ、そ、そ…そんな急に付き合うなんて!…えっと……カ、カナちゃん、私…どうしよう!」
「落ち着け内田。まだ付き合った訳じゃない…いや、むしろお前には付き合う事など到底無理な話だ。」
そう言うと内田は、赤くしていた顔をあっという間に真っ青に変えた。
「どうして?!ねぇ、カナちゃん。どうして私は付き合えないの?何がいけないの?!」
「…だってお前、男女が付き合うと言うなら…いずれそれはそれはおかしな事が起こるだろ?」
「え…えーっと、…う、うん。」
「その時にだ!お前は保坂先輩と言う男のソレを見て、今みたいに『汚いから触りたくない』とか言うのか?」
「えっと…好きな人のなら平気と思うけど…」
「あまーい!!お前、好きなのはハルカの先輩なんだろ?…って事はマコちゃんのなんて目じゃないくらい大きいんだぞ?」
「…そ、そうなの?!」
「それに毛とかも生えててグロテスクなんだぞ!お前、いきなりそんなもの触ったりできるのか?」
「…うぅ……それは…。」
「だから今マコちゃんで練習するんだ。幸いマコちゃんのココは毛も生えて無いし、モノ自体も小さい方だと思う。
今後の自分のためと思ってひと思いに握れ!擦れ!咥えるんだ!!」
意を決した内田は、カナの命令が酷くなっている事を気にもせずマコちゃんの股間へ手を伸ばした。
―――ムギュッ!!!……内田は残酷なほどに力いっぱいマコちゃんのそれを握った…。
これには、さすがに目を回していたマコちゃんも痛みで飛び起きた。
それに気づき、『これは…その、違うの!!』と言って慌てて手を離す内田。
その起き上がったマコちゃんを押し倒し、上に乗るカナ…この間約3秒だった。
「いてて…おい、カナ!どう言うつもりだよ!!」
「勉強だ、内田の未来のためだ、私の暇つぶしのためだ!これくらい我慢しろ!」
「はぁ?!そんなの知らないよ!いいから退いてくれよ!!」
「……ほーぅ…私にそんな口きいていいのかマコちゃん?」
「…な、なにがだよ…?」
「お前のこの家での地位を、『私の可愛い後輩』から『女装が趣味の変態』に落とすこともできるんだぞ?」
「…なっ……」
「いやー、それだけじゃないな。ハルカと千秋をだましていたと言う事で…確実に我が家を永久追放だな。」
「ず、ずるいぞカナ!そんな横暴が許され…イタッ……ほめんなはぃ…ほめんなはぃ……」
「まぁなんとでも言え……さて、じゃあ私は今からマコちゃんの言う通りここから退こう…。
その後立ちあがって私たちを拒否するか、寝たまま勉強に付き合うかはマコちゃん次第だ。」
「…うぅ……」
「安心しろ、痛くはしない……それどころか気持ち良よくしてやるぞ?
それにお前だってハルカとおかしな事になった時に、それが始めてだなんて恥ずかしいだろ?」
「えぇ?!オレが…ハ、ハルカさんとおかしな事?!…そんな事………あ、あるかも!」
「だろ?…だったら私たち3人の答えは一つじゃないか!」
カナはそう言ってマコちゃんの上から退いた。
内田は気まずそうにマコちゃんと目を合わせないよう辺りをキョロキョロしている。
そしてマコちゃんはその場に寝転がったまま言い放った。
「よし!内田!!どこからでもかかってこい!!オレと勉強してください!!」
こうして内田、カナ、マコちゃんの勉強会は開催された…。
最終更新:2008年03月12日 15:54