「おじゃまするよー」
そう言いながら速水先輩がリビングに入って来る。
「やっほー」
「こんにちはー」
「こんにちは」
雑談していたチアキと内田が挨拶を返した。
「あれー、二人だけかい?」
「ハルカお姉様は大分前に買い物に行ったままで、バカ野郎はどっかほっつき歩いてます」
「ちょっと来るのが早かったかー、マキやアツコも来てないようだね」



「まぁ、いないならいないで楽しんどこーかな」
そう言いつつおみやげに持って来た袋をアピールする。
「チアキちゃん、キッチン貸りるね」
「ああ、それなら私がやります」
「いいのいいの、若い者は楽しんでなさい」
「これからもっと楽しくなるんだから」
「「?」」
意味深な速水先輩の言葉にチアキと内田は首を傾げた。



「お待たせ」
しばらくしてリビングに戻ってくる速水先輩、何故か手には2つしかコップを持っていなかった。
「あれ?先輩の分は」
「私はハルカ達が帰ってきてから飲むから今はいいのよ」
そう言ってぷらぷらと手を振る。
「そういうことなら遠慮なく」
「いただきまーす」
チアキと内田はコップのジュースを一気に飲みほした。



「かっ」
「あれー?」
いつもどうりの反応を見せるチアキと普段とたいして変わらない様子の内田
速水先輩は二人の様子を見て楽しそうに笑う。
「ん、あっ、あれぇ」
目を細めたままどことなくふらふらしているチアキ、この子は免疫がないとかじゃなくて根本的に下戸なのだろう。
「なんだかこの白いジュース少し苦かった気がする」
対して内田は普段とほとんど変わりない様子だった。



「ちゅーもーく」
二人の反応を楽しんでいた速水先輩だったが、突然声を上げる。
それに気付いた二人は落ち着きなくだが速水先輩の方へと振り返る。
「世界が回るよ」
いつものことながらこの時点でチアキはすっかりできあがっていた。
「はいはーい、前にチアキちゃんは『おかしなこと』について興味あるって言ってたよね、今でも興味あるのかな~」
心底愉しそうに喋る。
この人は悪い人だ。
「興味ありますぅ、ハルカお姉様に聞いれもはぐらかされるばっかりれぇ」
「何々?『おかしなこと』って、あたしも知りたいでーす」
チアキは所々呂律が回っていない。
今回速水先輩が持って来たジュースはそんなに強いものではなかったが、チアキには充分過ぎたようだった。



「よし、それなら今回は特別に私が教えてあげよう」
「ほんろですかぁ」
「わーい」
知識が増えることを純粋に喜ぶ二人だが、速水先輩も違う意味で喜んでいた。
「そうねぇ、じゃあ手始めに」
「始めにぃ?」
「服を脱いじゃいましょう」



「えー!?」
あからさまに拒絶の意を見せる内田に速水先輩は語りかける。
「どうしたのかな内田ちゃん?」
「だ、だって服を脱ぐなんて恥ずかしいじゃないですか」
「(ちょっとこの子にアレだけじゃ弱かったかな)」
速水先輩がそんな黒いことを考えていると、不意に横からチアキが飛び掛かった。
「コラー、ユカー!」
「え、キャッ、ちょっ、ちょっとぉ」
既にチアキは下着姿だった、速水先輩に言われてすぐに服を脱いだらしい。
そして中々言うことを聞こうとしない内田にたいして実力公使にでる。
「(酔ってる時は名前覚えてるんだ)」
速水先輩はふとそんなことを考えた。
「キャッー、ちょっとチアキ。それはブラジャーだよー」
悲しく響く内田の悲鳴
「ああ、大丈夫ダイジョーブ」
「最終的にはそこまでいくから」
チアキを促すような速水先輩の言葉。
「そこってどこー」
抵抗虚しくチアキの耳に内田の言葉は届かなかった。

最終更新:2008年02月16日 23:39