「そうか…」
俺は落ち込む。チアキちゃんの話だと南と付き合うのは無理だな。
『あいつを彼氏にだと?ないない!そんなのありえないし!あんな奴、友達ですらないし!』か…
南、裏ではそんな風に思ってたのか。
「すまない。」
「ううん、チアキちゃんが謝ることじゃないよ。こっちこそ、態態ありがとう。俺なんかの為に」
本当、チアキちゃんはいい子だなあ。心が澄んでて、まるで女神だ。俺の心はなんとなく慰んだ。
さて、ここからが私のターンだ!
「なあ藤岡。」
「なんだい?」
「私は、お前になんにもしてやれなかった。」
「だからいいって…」
「藤岡がよくても、私がだめだ!どうにか、その心の傷を癒してやりたい。」
私は藤岡の中でくるっと半回し、脇から腕を回して背中から抱きしめる。
「ちっ、チアキちゃん!?」
私は瞳を少し潤ませ、口説きにかかる。
かかろうとしたのだが、らしくないな。何故だろう。言葉が出ない。演じようとしなくても自然に照れてしまう。
どうしようか。私は、藤岡と見つめあったままなにもできないでいた。
「あ…えと」
「たっだいま~!急いで夕飯作るからぬ…ぇ?」
ねえ様、バッドタイミングです。
こ、これはどういうこと?この二人の体勢って…
「あ、えと…」
「お、お帰りなさい。ハルカ姉様」
「お邪魔、してます…」
うわぁ。空気最悪。ていうか、なんで居間で堂々と…!
私は急いで居間を飛び出し、自室に駆け込む。
し、してたよね、あの二人。二人とも顔を紅潮させて、チアキなんか目が潤んでた。
私だってまだなのに、チアキが、しかも中学生であんな…
あっー、思い出しただけで顔から火がでる!
うぅっ
「…」
「……」
言葉につまる。特に「ナニ」かしていたわけじゃないけど、この状況に第三者が邂逅(この前習った)したら気まずくなって然るべきだ。
ていうかチアキちゃん。
当 た っ て ま す 。
うはぁ、なんか微動しているような…。
「あ、あの、チアキちゃん?」
チアキちゃんが、漸く口を開いた。
「好きだ。」
「え?」
ぼそりと、何かを呟いた。
「私は、藤岡が、好きだ!」
なんだってー!ちょっとどういうことだよ!俺は南が好きなわけで!別にチアキちゃんにアプローチなんて…!
い、いやあそりゃあチアキちゃんも中学生になって女らしい魅力がついてきたよ!けどそれとこれとは!
あっー!
告白をした勇気があるのに、されてこんなに狼狽するなんて…情けない。
そして、動揺しまくった俺には、こんな返事しかできなかった。
これだ
1、2、3ー
「へぇ。」
最終更新:2008年02月21日 20:58