日本ユニセフ協会
日本における「ユニセフ国内委員会」として[5]、世界におけるユニセフの活動を支援するために、日本において寄付募集、広報・啓蒙活動、政策提言協力を行うことを使命としている[6]。
日本ユニセフ協会と国連ユニセフ(UNICEF)は基本的に別組織である。
活動内容
街頭キャンペーン、募金箱、ダイレクトメール等による募金事業や、グリーティングカードなどの販売事業を行っている。また、日本においては、飢餓に苦しむ子どもたちの人権擁護、開発途上国の子どもの人権状況や、国際協力に関する啓発活動、子どもの権利条約締結や児童買春禁止に関する支援活動をおこなう。
協会ビル「ユニセフハウス」において、併設のホール、展示スペース、ミニシアターを使用して活動状況や子どもが置かれている現状について、主に子どもが学習できる場として公開し、広報活動を行っている[7]。また、ショップにて、一部が国際連合児童基金への募金となる商品の販売をしている[8]。ユニセフハウス内には元専務理事橋本正(第24・36代厚生大臣橋本龍伍の妻)の名を冠したホールがある[9]。
同協会では、近年、募金を活用した相続対策として、「ユニセフ・相続セミナー」などの遺贈プログラムも展開している[10]。
地域組織
日本ユニセフ協会では本部以外にも各地に活動拠点を設置しており、19ヶ所に道府県支部、6ヶ所に友の会、1ヶ所に募金事務局が設立されている[11]。これらの活動拠点を、日本ユニセフ協会では「地域組織」[11]と呼称している。
なお、地域組織の一つである「財団法人日本ユニセフ協会北海道支部」は、公式ウェブサイトのトップページのtitleタグに「ユニセフ北海道支部ホームページ」と表記している。同じく地域組織の一つである「財団法人日本ユニセフ協会奈良県支部」は、公式ウェブサイトのtitleタグに「ユニセフ奈良」と表記している。しかし、これらの地域組織は国際連合児童基金(ユニセフ)の支部ではなく、あくまで日本ユニセフ協会の支部である。[除去提案]
沿革
1949年、当時、日本はユニセフからの支援を受けていた[12]。ユニセフからの要請に基づき、財団法人日本国際連合協会が人員を募集し、支援物資の提供元への礼状を書く作業を始めたのがその起源である[8]。
1950年には財団法人日本国際連合協会から独立し、任意団体日本ユニセフ協会となった[8]。当初は、共同募金の一部をユニセフに送金する運動などを行った[8]。1954年に募金活動を開始。最初の募金は、まだユニセフからの支援を受けていた日本への援助に当てられた。
1955年、財団法人となる[12][8]。
1977年、ユニセフ本部の承認を受け、正式なユニセフ日本委員会となった[12][8]。
2001年6月、協会ビル「ユニセフハウス」を建設し、本部を同地に移した[13]。
2003年、ユニセフ本部への拠出金が1億ドルに達し、すべての国内委員会の中で最高となった[8]。しかし、2007年はドイツ国内委員会が最高額となり、日本ユニセフ協会拠出額は2位となった。
ユニセフ本部(国際連合児童基金)との関係
「ユニセフ」という名称を含むが、国際連合児童基金 (ユニセフ) の日本事務所ではない[5]。日本ユニセフ協会はユニセフ本部と協力協定を結んでいる団体であり、日本において民間人・民間団体・企業向けにユニセフを代表する唯一の組織である[3]。日本における民間協力の窓口として運営されている非政府組織であって、国連機関ではない[3][4]。ユニセフ本部は東京都内に「ユニセフ東京事務所」を設置しているが、この事務所もユニセフ日本支部ではない[14]。(後述)
民間団体として国連へ拠出
日本ユニセフ協会は国際連合(UN)内の国際連合児童基金(ユニセフ)と協力協定を結び、日本からの民間拠出金を取りまとめている、あくまで民間協力の団体である[3]。従って、職員の身分は国際公務員・国家公務員ではなく、団体職員である。
なお、日本ユニセフ協会はユニセフ本部との協定により、専ら協会の活動費として用いられる会費の他に[15]、寄付金の一部(上限25%)を協会自身の活動資金やユニセフ活動への広報・啓蒙活動の為に留保しており、留保額を除いた寄付金がユニセフ本部に拠出されている[7]。
しかし、国際連合児童基金とは別団体とは必ずしも言い切れない。ユニセフ公式サイトには、日本ユニセフ協会を含む各国国内委員会までを含めてユニセフであると明示している部分が複数箇所ある。[16][17][18]
ユニセフ東京事務所との関係
日本における国際連合児童基金の出先機関[19]は、東京都渋谷区神宮前の国連大学ビルにある「国際連合児童基金東京事務所」(ユニセフ東京事務所。国連機関のため職員は「国際公務員」)である[14]。なお、この機関は、主に日本政府及び韓国政府との交渉を主な業務としており、募金は直接は受け付けてはいない。日本に於ける民間人・民間団体・民間企業向けのユニセフ募金の受付先は公式に日本ユニセフ協会である[20]。
ユニセフ東京事務所によれば、「財団法人日本ユニセフ協会と密接に協力しながら」(日本ユニセフ協会サイトによる)各種の交渉などに当たっていることになっている[14]。ほぼ同一の意味の言及は、ユニセフ公式サイトにもあり[21]、日本ユニセフ協会は、ユニセフ東京事務所の業務の一部にも関わりを持っている。
なお、先進諸国に「ユニセフ国内委員会」が設けられているのは「ユニセフ本部」が当初は第二次世界大戦の被災国における子供の直接支援を目的として設けられた国連機関であり[22][23]、先進国内向けには主に募金収集を目的としている事による。先進諸国におかれている「ユニセフ事務所」は、その国の「ユニセフ国内委員会」との渉外窓口としての機能も担っており、「ユニセフ国内委員会」はユニセフ主旨の啓蒙、募金収集を担っている。
日本ユニセフ協会大使
日本ユニセフ協会が授与する称号として、「日本ユニセフ協会大使」が存在する[24] 。1998年4月に歌手のアグネス・チャンを、2007年4月には医師の日野原重明を日本ユニセフ協会大使に任命し、広報活動や調査活動を委託している[24]。
「アグネス・チャン」も参照
ユニセフ公認の「大使」[25]には大別して「親善大使」「地域大使」「国内委員会大使」の3種がある[25]。このうち、「親善大使」と「地域大使」は、それぞれ国際連合児童基金の本部と地域事務所が任命する[25]。「国内委員会大使」は、各国のユニセフ国内委員会が任命し、ユニセフ本部が承認する[25]。従って、「国内委員会大使」であるアグネス、日野原はともに、ユニセフ本部公認の「国内委員会大使」である。ユニセフ本部サイトでは、両人の名が「National Ambassador」として明記されている[26]。
「ユニセフ親善大使」との相違点
なお、黒柳徹子が務める「ユニセフ親善大使」は、ユニセフ(国際連合児童基金)が直接任命している[27]。黒柳の場合、ユニセフ東京事務所がその活動をサポートしている[14]。
黒柳の持つ肩書きは「親善大使[28]」(International Ambassador)で、アグネスや日野原は「国内委員会大使[29]」(National Ambassador)という違いはあるが、どちらもユニセフ本部が任命あるいは承認した「大使[30]」(Goodwill ambassador)であるという点は同じである
寄付金の使途
日本ユニセフ協会が集めた寄付金等の収入は、専ら協会の活動費として用いられる会費の他は[15]、ユニセフとの協定に基づき、一部(25%以内)をその活動費(人材育成・広報・人件費・光熱水費等)やユニセフ活動の啓蒙費等に当てた後、残額がユニセフに拠出される[31]。この方式は他すべてのユニセフ国内委員会で共通の条件であり、特に日本ユニセフ協会に特有のシステムではない[7]。
日本国内では、日本ユニセフ協会への寄付金は税制上の優遇措置がある。
2007年度は、日本ユニセフ協会は176億5671万円を集め、その81%をユニセフ本部に拠出した。[32]。
職員数は約40名[33]。天下りについては「理事、評議員の中に官庁出身者がおりますが、民間出身で常勤の専務理事を除き、会長以下すべて無給のボランティアとして協力しています。」[34]と説明しているが専任の職員が報酬を得ているため、人件費がゼロになることはない。
批判
日本ユニセフ協会が集めた寄付金等の収入は、ユニセフ本部に、その全額が送金されるのではない[7]。募金活動の際にその旨明記されていないことが多い点や、その用途が適切かについて議論がある。
寄付金の使途
日本ユニセフ協会へ募金を行っても、全額がユニセフ本部に送金されるわけではない[7]。そこで、指定口座宛の送金を全額ユニセフ本部に送金することを表明している黒柳徹子の個人名義口座に送金すべきだ、と主張する者がインターネットなどにいる。この点に関し、評論家の山形浩生[35]は、ユニセフ協会が本部ビルを寄付金で建てたことを「本部の所在地はある程度のステータスにはなる」と日本ユニセフ協会を擁護するとともに、「黒柳徹子が勝手に開いてる口座」に寄付しても事情は何も変わらないと黒柳を非難し、「日本ユニセフ協会がなくなれば、まったく同じ活動がユニセフ直轄で、たぶんもっと効率悪く行われるだけ」と主張している。
なお、黒柳の個人名義口座宛の送金方法は、ユニセフ本部が提示する日本からの送金方法には存在しない。ただし、ユニセフ公式サイトには、黒柳が独自に募金を集めたことに関する言及がある[36]また、領収書は発行されず、日本国内法による税制上の優遇措置は得られない。
名簿の流用
日本ユニセフ協会では、近年、ダイレクトメールの活用で、募金額が急増しているが、日本ユニセフ協会は、他国のユニセフ国内委員会が同手法を用いている先例があるとして、これを1993年から本格実施しているとしている[10]。
このダイレクトメールは厳密には「日本ユニセフ協会」だけのダイレクトメールではない。ニューヨーク国連本部から、国際連合児童基金が差出人となって発送するもので、ユニセフ事務局長と日本ユニセフ協会会長がそれぞれ日本ユニセフ協会宛の募金・献金を求めるという形式になっている。
かつて、『東京新聞』は「『地球の歩き方』読者の名簿を出版社から入手し、これを同協会が使用した」ことを報じた[37]。このときのダイレクトメールは同じく国連本部から送付され、ユニセフ事務局長、日本ユニセフ協会会長とともに、『地球の歩き方』の出版元の社長が共同でユニセフ募金を求めるという形をとった。
2006年末には複数の名簿業者から個人情報を買取り、苗字だけのダイレクトメールを送り、受取人からの問合せが、消費生活センターに相次いだ[要出典]。なお、日本ユニセフ協会は「宛て名については、電話帳やダイレクトメールを取り扱う会社の各種名簿を基に」[38]送付していると説明している。
協会ビルの建設
2001年6月、25億円を使って、都内でも有数の一等地である港区高輪に、協会のビル「ユニセフハウス」(地下1階、地上5階建、延床面積3,702平方メートル[39])を建設した[7]。そこで、このようなビルを建てるのが寄付金の具体的使い道の妥当性として問題にされている。
日本ユニセフ協会の説明によると、1969年度から「会館建設積立金」を計上しており、31年間で25億円が準備できたため建設したとしている[40]。また、建設のメリットとして「賃貸ビルを借用し続けるより、土地・建物を所有するほうが、当協会の財産として残り、かつ経費の節減にもつながる」としている[40]。
なくそう! 子どもポルノキャンペーン
2008年3月11日に開始されたなくそう! 子どもポルノキャンペーンに、ECPAT/ストップ子ども買春の会 、マイクロソフト株式会社、ヤフー株式会社 などと共に、賛同団体として名を連ねている[41][42]。このキャンペーンは、日本ユニセフ協会の単独キャンペーンではない[41][42]。ただし、署名の送付先は日本ユニセフ協会であった[43]。
このキャンペーンでは「児童ポルノの単純所持禁止、ゲームや漫画等で児童を性的に描いたものも準児童ポルノとして禁止するべきだ」として、政府、国会に求める動きを見せ、児童ポルノに対する規制の強化を求めて署名活動を行った[42]。具体的には、下記の2点を要望している[42]。
1.「準児童ポルノ」への法規制の適用
2.「児童ポルノの単純所持禁止」の導入
「児童ポルノ#単純所持の禁止と問題点」も参照
役員
任期は2008年(平成18年)11月30日から2010年(平成20年)11月29日まで。
会長 赤松良子(前副会長、会長代行、文京学院大学顧問、元文部大臣、元駐ウルグアイ大使)
副会長 東郷良尚 (前専務理事)
専務理事 早水研
他、常務理事3名、理事9名
評議員は50名。
日本ユニセフ評議員:朝比奈豊(株)毎日新聞社代表取締役社長
[44]
ほか、秋山耿太郎(朝日新聞社社長)等のマスコミ関係者、麻生渡(全国知事会会長)等の政治家、五十嵐敬一(白洋舎相談役)等の財界人、壷内明(全日本中学校長会会長)等の教育関係者、小和田優美子(皇太子妃雅子母)等の著名人等から構成されている。
日本ユニセフ協会本部への交通
品川駅(JR東日本・JR東海・京浜急行電鉄)より徒歩7分
都営地下鉄浅草線高輪台駅より徒歩7分
最終更新:2011年02月02日 23:40