冥王星

☆長編スクスカ&冥

スクスカ「お前が冥か。今回、お前の守護を任される事になった」
冥「…」
スクスカ「まだ至らぬところもあるかもしれんが、これから宜しく頼む」
冥「…帰って」
スクスカ「…悪いがその頼みは聞けない。役割を放棄するわけにはいかないからな」
冥「私には守りなんて必要ないもの。あなたも見たでしょう? この防壁」
スクスカ「そういえば随分と頑丈だな。それがどうかしたか」
冥「この防壁はね? …私を守る為のものじゃないんだよ。その逆。
私を閉じ込めて、この力が表に出ないようにする為の檻なんだよ」
スクスカ「檻…か」
冥「そう。檻。ここは檻なんだよ。私の為に作られた破られることのない檻。
…あなたは、その番人として選ばれた。…そんなところかな」
スクスカ「そうか。…なら俺はその番人としての役割を果たすまで」
冥「ふふ、仕事熱心なんだね。でもさっきも言ったでしょ? 守りなんか必要ないって。
…そう、必要ないんだよ。あなたの守りも。こんな力も」
冥「――こんな力を持って生まれた私自身も」
スクスカ「ふざけるなぁッ!!」
冥「ひっ!?」
スクスカ「必要ない、だと? それは必要とされながら消えていった者達への冒涜だぞ!」
冥「…冒涜…」
スクスカ「かつて国があった。必要とされながら消えていった国がな」
冥「…何の…」
スクスカ「いいから聞け。…一部の者は逃げ延び、また一部の者は国と共に滅びる事を選んだ」
スクスカ「やがて国は滅び、後には悲しみだけが残った」
冥「…みんな…死んじゃったの…?」
スクスカ「残った者はな。だが」
冥「…だが?」
スクスカ「滅びを選んだ者達の中には子供に希望を託した者達もいた。その子供たちは世界の各地に散り、
あの国の思い出と共に今も生きている――俺のようにな」
冥「…え?」
スクスカ「なんだ気付かなかったのか。他の奴らと風貌が違うだろう?」
冥「あんまり…表、出たことないから…」
スクスカ「そうか。よし冥、表に出るぞ」
冥「え・・・でも」
スクスカ「何の為に俺がいると思ってる。いいから行くぞ」
冥「…うん」
スクスカ「いつかお前が必要とされる時が来る」
冥「…そう、かな…?」
スクスカ「あぁ。俺が保障してやる」
冥「…うん。ありがと。…ねぇ。ねぇ、もしも…」
スクスカ「ん? なんだ?」
冥「うぅん。何でもない。行こう」



カルデラ「ではガンボル、この子を頼む」
ガンボル「承知した」
スクスカ「……」
ガンボル「しかし本当に逃げないのか? この国はもうおしまいだ
それにこの子だって家族がいたほうが…」
カルデラ「俺はこの国に骨を埋めるつもりだ」
カルデラ「俺たちはこの国で生まれ、育った。だがこの子はまだ幼い。未来がある。きっと俺たちの分も生きてくれるさ」
カルデラ「この子のことは弐寺出身の君に任せておけば大丈夫だろう」
ガンボル「…そうか。決意は固いな。」

ガンボル「…そろそろ夜が明ける。」
カルデラ「スクスカ、さよならだ」
スクスカ「……!」
スクスカ「父さん!」
カルデラ「…なんだ?」
スクスカ「ボク、絶対強くなる! 強くなって父さんみたいに国を守る戦士になる!」
カルデラ「……そうか」
ガンボル「さあ、行こう」
スクスカ「父さん! さようなら!!」


~~~~~~~~~
スクスカ「ん……」
スクスカ「夢か…… 随分昔の」
スクスカ(……俺はがむしゃらに修行を重ねた)
スクスカ(そして得たEX曲としての使命、そして☆12の栄誉)
スクスカ(父さん……。見ていてくれているか)






スクスカ「よくぞここまできた。我が名はSCREAM SQUAD」
スクスカ「我らが姫君、冥様のためにもここを通すわけには行かない。」
スクスカ「そなたが冥様とやり合える力があるかどうか…見させてもらおう」

(READY!)


(クリア時)
スクスカ「ぐはっ…ふっ…さすがだな…」
スクスカ「しかし…冥様は…私の様にはいかんぞ…」
スクスカ「あのお方の潜在能力は…未だ計り知れない…。しかし姫君はまだ若すぎる…」
スクスカ「それゆえ姫は…その自らの力を…制御できずにいるのだ…」
スクスカ「頼む…姫を止めてくれ…後は…頼んだぞ…」

すると急に目の前にドアが現れた。


冥「こんにちは。初めまして、かな?」
冥「私の名前は冥。近作のワンモアをやらせてもらってるの」
冥「あなたはそのドアを開けて私の所に来た。それはつまり」
冥「私を守ってくれるって約束したあの人はもう居ない。そういう事なんだよね?」
冥「ふふ、そうなんだ。あなたがあの人を倒したんだ」
冥「なら私も全力で相手をしなくちゃね」

冥「でも覚えておいて。あの人を倒したあなたを、私は絶対に許さない」

冥「さぁ、始めよう? 絶望の中で、もがき、苦しみ」
冥「――死ね」

プレイヤーは「冥」をクリアした!

冥「…ありがとう。」
冥「もう…この力に振り回されなくてすむんだね。」
スクスカ「ありがとう。これで俺も漸く…」
冥「うん。一緒に…休も…う」
スクスカ「ああ…。…再び、呼ばれるそのときまで」
冥「…じゃあね!」
スクスカ「また会おう…」


~END~


番外

あるプレイヤー
「なんか今回のEX微妙じゃね?」
「つーかこれでワンモア出すのとか無理だから」
「CALFって誰よ」
「なんか皿ばっかだしさ。五鍵臭くてやってらんねーよ」
「まーなんつーか」
「――必要ないよな」

スクスカ「…夢か」
冥「どうしたの? 随分うなされてたよ?」
スクスカ「いや…何でもない。なぁ冥、もしも、もしもこの世に本当に必要ないものがあるとするなら――」
冥「この世に必要ないものなんかない。…そう私に教えてくれたのはあなただよ?」
スクスカ「…そうだな。少し感傷的になっていたようだ。すまない」
スクスカ「開店までまだ時間がある。もう一眠りしておこう」
最終更新:2009年03月10日 22:11