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墜天日について

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正直に言って私が書き記すことができることはそう多くないが、忌々しいあの日について私が知り得る限りをここに示す。

今日、人々の間で『墜天日(ついてんび)』と一般的に呼称されているのは20██年██月██日、および一連の現象が起きた夜が明けるまでを指す。

一晩で人類史上、類を見ないほどの流星が隕石となって地上に降り注いだその夜を示す言葉だ。
第一報は日本時間22:04にニュースで飛び込んできた。
白昼のロンドンで隕石が落下し、民間人数十人が犠牲になったというショッキングなニュースだった。
空に青く光るそれを見つけた時にはすでに遅く、逃げ遅れた人々が隕石の衝撃に巻き込まれた。
事前の避難勧告などがなかったことで、イギリスの天文学者たちはネットで凄まじい非難を浴びた。

しかし彼らは揃って『直前までそのような隕石は観測できなかった』と口を揃えており、当然ながらそれを信じる者はその時、ほんのごくわずかしかおらず、大半は彼らの苦しい言い訳だと冷ややかな反応だった。

だがそれは間違いだったとすぐに私たちは知った。
92分後、アメリカのワシントンに同様の隕石が落ちた。

それからはまるで堰を切ったかのようだった。
世界各地でそれまで観測されていなかった隕石がまるで空にいきなり現れたかのように次々と地表に降り注ぎ始めたのだ。

日本ももちろん例外ではなかった。
最初に隕石が落ちたのは最初のロンドンから117分後。日付が変わった直後のことだった。

最初に落ちたのは██県の山中だった。
幸い、この最初の隕石で死傷者は出なかったがこれをきっかけにして山火事が発生。
世界各地で隕石による被害が知らされる中で、日本国民は一気にパニックになった。
収集などつきようがなかった。

その後、約6分程度の間隔で隕石が降り注いだからだ。
これは私が把握できた限り、つまり日本国内だけのデータだ。おそらく世界単位で見れば間隔はもっと小さくなるだろう。

大小様々な隕石がバラバラに降り注いできたのだ。
1分間にいくつも落ちてきた時もあれば、30分以上なにも落ちてこなった時もある。

パニックになった人々は恐慌に陥り、必死に避難しようとしたが誰も結局逃れることはできなかった。
なぜならどこに隕石が降ってくるのか、誰にも分らなかったのだから。

誰もが自分のもとに落ちてこないようにと祈りながら天を仰いだ。
そして誰もが目にした。

あの、降り注ぐ絶望を。
絶望は忌々しいほどに美しかったのだ。


太陽が昇り、それが沈む頃になってようやく空は静けさを取り戻したが、地上はまさに地獄の様相だった。
あちらこちらに隕石によるクレーターができ、ひどいところでは地形が変わった箇所もあった。
おおよそ目立つ建造物のほとんどは原型をとどめておらず、あちらこちらで怒号と悲鳴と泣き声が響いていた。

交通網はもちろん、少ない食料や飲料水を求めて暴徒が現れる始末だった。

そして何よりも人々を苦しめたのが墜天日以降、人を襲い始めたマリグナントというバケモノだ。

しかし、あのバケモノの存在が結果として、人類が生き残る糧になるというのはなんという皮肉だろうか。



レポートはここで途絶えている……

最終更新:2016年11月29日 23:00