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剃毛編
上条の部屋には、ベランダに通じる大きな掃出窓があった。
その窓の向こうには別の学校の寮が見えるくらいで、普通に生活している分にはカーテンがなくても室内を覗かれる心配はほとんどない。
件の寮から、望遠鏡を使えば別かもしれないが、ヘテロであるならば好き好んで男子寮を覗く者もいないだろう。
それでも、上条部屋のみならず、だいたいの部屋の掃出窓にはカーテンが据え付けられている。太陽の光や音を防ぐため、必要だからだ。
だが、それも全開にしてしまっていれば、まったくカーテンは機能しない。
ついでに窓まで開けてしまえば、音まで外に漏れるだろう。
「美琴」
「う、うん」
掃出窓を背にした上条に促され、美琴は頷いた。
季節は春の、時刻は夕暮れ。太陽はかなり傾いているが、まだまだ人通りが絶えるまでは時間がある。
上条の部屋は一階や二階という低い階層ではないが、それでも人の行き交う声や気配は、十分に感じられた。
カーテンが開いてなければ、あるいは窓が閉まっていたならば、また話が別だったかもしれないが。
赤く染まった美琴の顔は、カーテンから入ってくる夕焼けに照らされているから、上条という想い人と二人でいるから、というだけではなかった。
常盤台の制服姿。
いつもの格好である彼女の足元に、その原因のひとつがあった。
短パンが、落ちている。
脱いでそこに置いた、という風情ではなく、両足の甲にくしゃりと乗っかかった状態である。留めているボタンを外し、重力に任せて落とした、という感じだった。
ついさきほど、美琴が自ら、そうしたものだ。
「・・・・・・」
上条は薄い笑みを口元に張り付かせたまま、床に座り込んでいた。見上げてくる視線は優しげであるが、多分に揶揄を孕んだものだ。
その揶揄はおそらく、短パンの内側が妙に濡れていることと、無関係ではない。
「ぅ・・・」
その視線に、ゾクリとした何かを感じ、美琴は身を震わせた。
まるでパブロフの犬のように、身体の奥が熱くなってくる。
その熱に後押しされた美琴の指が、小さく震えながら己がスカートの裾を、ちょい、と摘んだ。
こくっ、と唾を飲む。上条の顔をしっかりと見ながら、美琴は唇を開く。
「み、見てください、ご主人様・・・」
言いながら、ゆっくりとスカートをめくりあげはじめた。
お嬢様学校ゆえにそれなりに長い裾が徐々に持ち上がる。
膝がまず、覗いた。
指や唇と同様、小さく震える膝。だがそれは緊張ゆえでは、ない。
次に太股が見えた。
普段は短パンに隠れた、まだ未成熟な曲線。だがいま、その曲線はいびつに歪んでいる。バイブレーターに繋がる、遠隔リモコン部分を固定するための、革ベルトによって。
そしてーーースカートが、腰骨の高さにまで、持ち上げられた。
下着が見える。
白い、飾り気の少ない下着が。
溢れ出した粘液によってジュクジュクに濡れ、肌に張り付いている下着が。
隠した部分から生えたバイブレータによって、クロッチ部分だけは大きく盛り上がった、下着。
上条の視線が、恥ずべき部分に向いている。
いやそれだけではない。
カーテンどころか、窓自体が開けられた状況。
赤い空と、道を挟んだ向かいの寮に、淫らな姿を晒しているのだ。
「っ」
美琴の背筋に、小さな電撃が走った。
バイブレーターを飲み込むように膣内がうごめき、スイッチを切られて動きを止めているはずの性具が、モゾリと揺れる。
「それで? 今日はいつから、こんなことをしてたんだ?」
自らすべてを命じておきながら、上条は尋ねた。
「ん、んぅ・・・あ、朝から、です」
己の吐く息の熱を唇で感じながら、美琴が答える。
恥ずかしい。
染まった顔は、燃えるほど熱い。
恥ずかしい。
心臓は、全力で走ったとき以上に早い。
だがーーー気持ちいい。
見られる快感。
浅ましい自分を晒す快楽が、胸を、身体を、そして股間を強く疼かせる。
その疼きに追い立てられるように、美琴の秘裂からは、とろりとろりと蜜が雫として零れ、太股を伝って流れて落ちていった。
「いつ、これを入れたんだ?」
「あ、朝、黒子が、シャワー、浴びてる間にっ」
「どこで? トイレかどこかでか?」
「い、いいえ、んぅっ・・・自分の、ベッドで、です・・・」
「ベッドで? 白井が出てくるとか思わなかったのか?」
「あの娘、いつも時間どおりに、ぁんっ、出てきます、から」
「でもよくこんなの入ったな。ローションとか、使ったんだろ?」
「いえ、その・・・じ、自分で・・・」
「自分で、なんだよ。はっきり言えって、前に教えたよな?」
「んあっ」
上条の指が、ツン、と下着越しにバイブレーターの頭をつついた。
パチッ、と美琴の前髪から電気が弾ける。
「ご、ごめんなさい、あっ、やっ、突かないでっ、くださ、あっ」
「・・・・・・」
「ああっ、くふっ、オ、オナニーっ、あっ、オナニーしてっ、自分で濡らしっ、あっ、あっ、ああっ、ああんっ!」
「ふーん」
ひとしきり突いてから、上条の指がバイブレーターから離れた。ツツッ、と糸が、下着と彼の指先とを繋ぐ。
「ローション使ってもいいって言ったのに、自分で濡らしたんだな。なんでだ?」
上条は自分の人差し指についた蜜を親指で弄びながら、美琴を見上げた。
「あ、う・・・それは、」
「・・・・・・」
「が、我慢、できなかったんです・・・」
「・・・・・・」
「前の夜からドキドキして・・・朝起きたら、もう、その・・・アソコ、ぬ、濡れてて・・・」
「アソコ?」
上条の両目が、すうっ、と細まり、
「ああっ、ふあっ、ああんっ、オ、あぅっ、オマンコ、ですっ、ああっ、オマンコっ、濡れてましたぁっ、んんんっ」
弾けた電気の音が、艶に染まった美琴の声と重なる。
上条は、意地が悪そうに苦笑。
「おいおい美琴。そんなに大きな声だしたら、外に聞こえちまうぜ?」
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・で、でも、こんな、我慢が・・・」
「まぁ聞かせたいってんならいいけどな。・・・結局美琴は、昨日からバイブを挿れたくて挿れたくて仕方なかったってわけだ」
「ぅ・・・そ、そうです・・・挿れたくて、仕方ありませんでした・・・」
「美琴」
「は、はい」
上条は口元の笑みを消し、美琴の目を見た。
「淫乱」
「んぅっ!」
言葉に反応し、とぷっ、と股間から粘液が漏れた。
今までよりも僅かに多く分泌された蜜は、太股を流れるよりも早く重力に囚われて珠となって落下する。
ポタリと、短パンに大きな染みができた。
「んあっ、はあっ、はあっ、そうですっ、私は、美琴は淫乱ですっ。イヤラシイんですっ」
外に聞こえるほど大きな美琴の声。耐え切れなくなったように、くるり、くるり、と少女の腰が淫らなダンスを踊り始める。
「まったく」はぁ、とため息をつく上条。「こんなイヤラシイやつには、お仕置きが必要だよな?」
「っ」
お仕置き。
その単語が耳に入った瞬間、美琴の胸が大きく鼓動をうった。円を描く股間がさらなる蜜を分泌し、触れてもいないバイブレーターが再びモゾリと動く。
なにをされるのだろう。どんな目にあうのだろう。
美琴は、口内で舌を回してから、粘度のあがった唾液を飲み込む。
「あっ、はあっ」
こくっ、と喉の動いた美琴が、淫蕩な笑みを浮かべた。
「は、はい・・・お仕置きしてください、ご主人様・・・」
「こら、もうちょっと緩めろよ美琴」
少女の左太股に右手を添え、上条は少女の脚を撫であげた。
「んあっ、はっ、はいぃ」
その言葉に、美琴は喘ぎまじりの返事を返す。
膝ほどまでずり下げられた、彼女の下着。
すでにべっとりと濡れた下着に、新たにポタリ、ポタリと粘液が落ちていった。
秘裂が根本までくわえこんでいたバイブレーター。それに上条の左手が添えられ、不規則に動かされていた。
押し込む動きではない。
左右に小刻みに震わされながらも、バイブレーターは僅かずつ引き抜かれていく。
「あっ、あっ、ああっ」
ずっ、ずっ、と性具が膣壁を擦っていく度に、美琴に口から艶めかしい嬌声が漏れる。
よほど強い力で締め付けているせいか、バイブレーターは中々秘裂から解放されない。
それを言葉では叱りながらも、上条の口元には笑みが浮かぶ。いくら貪欲に締め付けようが、その気になれば引き抜くのは容易だ。
それをしない理由など、ひとつしかない。
「あくっ、あはあっ、ひあっ、ああっ」
時に円を描き、時に押し戻す。
そんなことを繰り返しようやく、バイブレーターの先端が秘裂から抜け落ちた。
「ふああんっ」
ビクッ、と美琴の腰が跳ねる。膣内に溜まっていた白濁の愛液が、下着に、床に、大粒の雫を降らせていく。
「はあっ、はあっ、はあっ」
身体を苛んでいた快楽の源泉がなくなり、荒い息をつく美琴。
今朝からずっと身を凌辱し、恥辱を与えられ続けていたモノをなくした秘裂は、だが、ヒクヒクと物欲しそうに震えていた。
「美琴。お前のここ、また突っ込んでほしいって言ってるみたいだぜ?」
ツン、と上条の指が濡れた膣口を突く。
「ああんっ」
ビクッ、と美琴が震え、腰がひけた。
欲情の汗に濡れた少女の頬。そこに張り付いた髪がパチパチと音をたてるが、太股に添えられた右手のせいか、直ぐさま掻き消える。
「ん・・・んんぅ・・・ご主人様ぁ・・・」
スカートを持ち上げたまま、美琴はむずがるように、しゃがみこむ上条を見た。
見下ろす視線に含まれているのは精一杯の媚び。
彼の右手に触られている限り、美琴には抵抗する術はない。能力は封じられ、力では上条に叶わない。それに、彼の携帯電話には、もう何枚もの己の恥態が納められている。
(あぁ・・・私、絶対に逆らえないんだ・・・)
抵抗するつもりはない。
だが「抵抗すらできない」という状況を思うだけで、美琴の胸中は被虐の悦びに彩られる。
これからどんなお仕置きをされるのだろう。どんな恥ずかしいことをされるのだろう。
それを考えるだけで太股をゆるりと蜜が滑り、すりすりと両膝がすり合わされる。
ニチャ、と下着が、粘質の音をたてた。
「まったく、イヤラシイやつだな」
それを目の端に捉えながら、上条が立ち上がる。
そして彼は右手を美琴の頬に添えると、美琴の唇に左手のバイブレーターが押し当てた。
「んむっ!」
美琴はそれに逆らわない。
大きく口をあけ、自分の愛液でぬめぬめとするバイブレーターを先端からくわえ込んだ。さらに、上条が押し込むまでもなく、自分から奥まで飲み込んでいく。
(あぁ、私の味がするぅ・・・イヤラシイよぉ・・・)
美琴の表情が自虐の悦楽にとろりと溶ける。
バイブレーターと唇の隙間から愛液交じりの唾液が漏れ、顎にまで伝っていった。
「どうだ? 美味いかよ美琴」
「んぁんっ」
バイブレーターの表面をなめ回しながら頷く彼女の表情に、嫌悪感はまったくない。それどころか、口内でも快楽を得ているかのように、とぷっ、と秘裂から新たな雫が落ちていった。
「よぉし、じゃあ離すなよ? それから、動くな」
「んぅ」
んふー、んふー、と鼻だけで呼吸を繰り返す美琴。
スカートを持ち上げたまま、ブラジャーをつけていない胸に掻き抱かれた両手には、固くしこりたった乳首の感触がある。
股間からの快楽のない今、すぐに刺激したかった。
しかし「動くな」と命令された以上、そんな勝手なことはできない。
自分で貪ることもできない、目の前にある快楽に、美琴の瞳が濁りかすんでいく。
「いい子だ、美琴」
ニヤリと笑う上条。
彼は触れるか触れないかの加減を保ちながら、頬、顎、首と、下に下に右手を滑らせた。
ふぅんふぅんと美琴が鳴く。やがて、右手は、美琴の慎ましやかな胸の曲線にまで達した。
「んんんっ・・・んんっ、むふんっ・・・」
ブラウス越しに、彼の右手。
揉みしだかれる、あるいは摘まれる期待に、美琴はさらにバイブレーターをなめ回す。
右手がゆっくりと、確かめるようになだらかな膨らみをさすりーー
「・・・・・・」
深くなる上条の笑み。
次の瞬間、空いていた彼の左手中指が、一息に美琴の秘裂に滑り込んだ。
「んんんーっ!?」
ガクッ、と美琴の身体が跳ねる。
反射的に爪先立ちになった美琴。しかし上条は彼女の身体が下りてくるのを待たず、左手を激しく上下させる。
「んんっ! んふんっ! んむっ! んんんっ! んむんんーっ!」
美琴は目を白黒させながら喘ぎ続ける。
だが彼女の腰は、まったく驚きを無視して、中指にあわせて前後し始めた。
上条の右手が素早くブラウスのボタンを外し、中に滑り込んだ。しかし彼がその胸を弄ぶより早く、美琴のスカートを抱えた両手が、ぎゅうっ、と上条の右手を乳房に押し当て、ぐりぐりと刺激する。
「んんんっ、んんっ、んっ、んっ、んっ」
(気持ちいいっ! あああっ、すっごく気持ちいいよぉ!)
水音が連続し、唇の隙間からよだれが垂れていく。
朝からバイブレーターの刺激を受け、上条に焦らされた揚句、さらなる快楽を注ぎ込まれた美琴の身体は、あっさりと最高点までの道程を駆け上がった。
「むふっ! んんんっ! んんっ! んんっ! んんんーっ!」
(あっ、あっ、もうイクっ、もうイッちゃうっ、ああっ、ああっ)
絶頂の予感。
頭の中が真っ白に染まり、目の前がチカチカとする。股間ではグチュグチュと蜜が泡立っていた。右手に触れられながらも前髪から溢れた紫電が、パチッ、と音をたてる。
「んんんっ、んんんっ、んんーっ!」
股間の中指が、抜けかかるほど大きく下がった。次の挿入を深くしようとするための動き。
「っ!」
美琴がそれにあわせ、最後の一突きを味わおうと、ぐっ、と腰を落とした、その瞬間。
「おっと」
「んふうっ!?」
あっさりと、上条は中指を秘裂から抜き出した。
駆け上がっていた階段がいきなり崩れたような感覚に、美琴が上条を見る。
「んんーっ! んんんーっ!」
涙すら浮かべ、美琴が首を左右に振る。涸れることなく蜜を零す腰はクネクネと踊り、胸元の手はさらに強く上条の手を掻き抱く。
しかし、
「ダメだ」
上条はブラウスの中から無理矢理右手を引っ張り抜き、ニヤリと笑う。
「ここまでは、お仕置きの準備なんだからな」
言いながら、上条はズボンの後ろポケットから、隠していた「それ」を取り出した。
「っ!」
美琴が大きく目を見開く。
T字型のそれがなんなのか、美琴だって知っている。
そしてこの状況で、それをどう使うのかも、予想がついた。
コンビニでも売っている、安い粗末な「それ」は、
「ほら、美琴」
上条が楽しそうに「それ」の、カミソリの、包装ビニールを破り開けた。
「キレイに、してやるからな?」
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