絹旗「ふあぁー」
絹旗(ふぅ、超よく寝ました。時間は……あれ、まだ五時半です)
絹旗(仕事も無い日だというのに超早く目が醒めてしまいました)
絹旗(浜面もまだ寝ているでしょうし超ヒマですね。超仕方がないのでテレビでも見ますか)
「超機動少女カナミン!」
絹旗(超機動少女カナミン? アニメの再放送ですかね。馬鹿らしい、チャンネルを変え……)
絹旗(……あれ? 意外と面白い?)
絹旗(……)
「きゃあああーっ!」
絹旗(カナミン超ピンチです! どうなってしまうのでしょうか!?)
「みんなの平和の為に私は負けない!」
絹旗(頑張れカナミン!)
「てりゃあああああ!」
絹旗(凄いです、レベル5相当の攻撃です……)
「来週もまた見てね!」
絹旗(超あっという間に終わってしまいました……)
絹旗(超機動少女カナミン、不覚にも超はまってしまいそうです)
絹旗(でも他の皆さんに知られたら子供っぽいとか言って馬鹿にされるんでしょうね)
絹旗(カナミンのことは誰にもばれないように超気をつけましょう)
浜面「うーっす、今日は早いな絹旗」
絹旗「っ!? おおおおはようございます! えーとその、いつからそこに!?」
浜面「ん? 今きたばかりだぞ」
絹旗(どうやらカナミンのことは見られてないようですね。超安心しました)
浜面「にしても今日は朝早いな」
絹旗「折角なのでお兄ちゃんの寝顔でも超写真にとればよかったですかね」
浜面「あーもう、いつぞやは悪かった! 反省してるからいい加減そのお兄ちゃんって呼ぶの止めてくれ!」
絹旗「超嫌ですよー。私が超飽きるまで浜面は私の兄ですこれは超確定事項です」
浜面「ちくしょう、あの時の俺の馬鹿野郎!」
絹旗「そんなに私の兄は嫌ですか?」
浜面「いや違うぞ。俺が嫌なのは麦野とフレンダから妹フェチ扱いされることであってだな……」
絹旗「その分超可愛い妹が超慰めてあげますよ。超よしよし」
浜面「おっ、今のはちょっとグッときた」
絹旗(やりました! 浜面を超ときめかせられました!)
浜面「多少馬鹿にされてもこういう妹ができるならそれはそれでいいかもな」
絹旗(ああ。そういえば今のは妹の絹旗に向けての言葉でしたね……)
絹旗「お兄ちゃん超キモい発言しないでください」
浜面「は!? 俺なんか失言したか!?」
絹旗「それぐらい自分で考えて下さい」
浜面「俺無神経だからさ、マジで悪気は無いのに失言しちまうことがあるんだ。
だから気に入らないところがあったなら言ってくれないと分からないぞ」
絹旗(全く浜面ときたら一々深く考え込んだりして超面倒くさい人ですね)
絹旗(そういうとこも超好きなんですけど)
絹旗「頭」
浜面「俺の頭が気に入らないと!? いや、流石にそれは自分じゃどうしようも」
絹旗「超違います! えーと、私の頭を撫でてくださいってことです」
浜面「ああ、そういうことか。ほらよ」
絹旗「どうもです。やっぱりこうしてもらえると超落ち着きます」
浜面「お前も好きだよなー、頭撫でられるの」
絹旗「私の超サラサラな髪に触れるあなたは超幸運ですよ」
浜面「そういうの自分で言うなっての」
絹旗「えへへ」
浜面(こうやって素直な時のこいつは年相応に可愛いよなあ……)
浜面「そうだ絹旗、ちょっとコンビニ行かね?」
絹旗「ええー! もうちょっとこうしてダラダラしてましょうよー」
浜面「そうしたいのはやまやまなんだが食パンが切れちまっててな。買いに行かないと朝食に不備が出るんだ」
絹旗「なるほど、そういうことですか。分かりました、超お供します」
フレンダ「おっ、二人とも朝早いじゃん」
絹旗「おはようございます。そういうあなたこそ超早いじゃないですか」
フレンダ「私はほら、結局この時間にやってる釣り番組が目当てって訳」
浜面「お前本当に魚好きだよな」
フレンダ「そうだね。結局サバ缶が最強だけど、それ以外の魚も大好きな訳!」
絹旗「ねえ、そんな魚馬鹿は超ほっといてさっさと出かけましょうよ」
フレンダ「あれれ? 浜面兄妹はどっか行くつもりなの?」
絹旗(浜面兄妹……ということは私は浜面最愛!?)
浜面「誰が兄妹だっつの! ちょいとコンビニに出てくるだけだ」
フレンダ「ふーん。ま、仲よくねー」
絹旗「わっ、外は超寒いですね」
浜面「春だってのに最近一段と冷え込むな」
絹旗「浜面の手は相っ変わらず超生暖かいです。超カイロ代わり」
浜面「最近抵抗無く手を繋ぐようになってきたよな」
絹旗「ふふん、絹旗サマに手を繋いで頂けるなんて超有り難く思いなさい!」
浜面「人のぬくもりっつーの? そういうもんをとんと感じてなかったからか、実際お前と手繋ぐのは好きだけどな」
絹旗「えっ!? ほほほ本当ですか!?」
浜面「んな嘘つく必要ないだろ」
絹旗(あ、ああっ、顔が超にやけそうです……。我慢しないと……)
絹旗「ううーっ」
浜面(難しい顔して唸ってるけどどうしたんだこいつ?)
絹旗(浜面が私を覗き込んで……っ、超まずいです! 顔が赤くなってきました!)
浜面「おい絹旗! 顔赤いけど大丈夫か!?」
絹旗「ななっ、なんでもありません! こっちを見ないでください!」
浜面「もしかして風邪か!? まずいな、早く引き返そう!」
絹旗「ああもうっ、だから超違いますって!」
浜面「本当か?」
絹旗「本当です超本当です!」
浜面「ならいいんだけどよ、あんま無理すんなよ」
絹旗(うぅぅ、悪いのはあなたなんですよ!)
絹旗(でも心配してくれてありがとうございます浜面)
「いらっしゃいませー」
浜面「食パン食パンっと」
絹旗「ん、これは……」
絹旗(超機動少女カナミンのシール付きパン!? 超欲しいです!)
絹旗(あああっ、だけどでもそんなこと言ったら絶対に超子供扱いされます! どうしようどうしよう)
浜面(さっきからアニメもののパンを真剣に見てんな。欲しいのか?)
浜面「これも購入っと」
絹旗「えっ!? もしかして浜面もカナミンが……?」
浜面(あー、違うんだけどな……。こいつの気持ち考えると、ここは肯定しとくべきか?)
浜面「その口ぶりからしてお前もカナミンが好きなんだな」
絹旗「麦野達には超内緒ですよ!」
浜面「分かってるって。二人だけの秘密な?」
絹旗(二人だけの秘密……)
絹旗「ふふ」
浜面「ん?」
絹旗「二人だけの秘密って超素敵な響きだなと思いまして」
浜面「そういうもんかねえ」
??「ミサカもカナミン大好きってミサカはミサカは話に割り込んでみたり!」
??「おいクソガキィ、人様の会話に割って入ってンじゃねェぞォ! 迷惑だろうがァ!」
打ち止め「あなたの大声の方が迷惑だと思うってミサカはミサカは反論してみたり!」
一方「ンだとォ!?」
絹旗(なんなんですかこの人達は? 白い方は、浜面と映画館に行った時に見かけたコーヒー買い込み男でしょうか)
打ち止め「この人がご迷惑おかけしましたって、ミサカはミサカは大人な対応をしてみたり!」
浜面「ああいや、別に迷惑なんかじゃ」
一方「つか打ち止めァ、なンで俺が全面的に悪いみたいになってンだァ!」
打ち止め「いーやー、頭ぐりぐりしないでー! ってミサカはミサカは悲鳴をあげてみる!」
絹旗「なんだか超仲のいい兄妹ですね」
通行止め「兄妹!?」
絹旗(あれ、違ったんでしょうか?)
打ち止め「もしそうならあなたはミサカ一方通行になるの?
って、ミサカはミサカはその響きがまんざらでもなかったり!」
絹旗「ちょっと待ってください。あなた今一方通行と言いましたか?」
打ち止め「うん、この人は学園都市第一位の一方通行なのってミサカはミサカは暴露してみたり!」
浜面「第一位ぃ!?」
一方「クソガキィ! あまりそういうこと外で言うンじゃねェよ!」
打ち止め「ううーっ、ごめんなさいってミサカはミサカは素直に謝ってみる」
浜面「はー、しかしまあこんな身近にレベル5がいたとは。びっくりだな絹旗」
絹旗「……」
浜面「絹旗?」
絹旗「あなたさえいなければ……」
浜面「お、おい! どうしたってんだ!?」
打ち止め「あわわわわってミサカはミサカは突然の空気の変化におろおろしてみる!」
一方(この女、訳ありか……。まァ心当たりなら腐るほどある)
絹旗(暗闇の五月計画。一番思い出したくないものを思い出してしまいました……)
第一位「一方通行」の演算方法を参考に、能力の運営を最適化させて強大な能力者を生み出すプラン。
それが暗闇の五月計画。
絹旗「また薬を飲まなければならないのですか?」
研究者「なんだ、その不満そうな目は」
絹旗「……すみません」
研究者「何度も言うように薬による頭痛はあくまで一時的なものだ。そう怯えるな」
実験の日々は辛かったが、悪いことばかりではなかった。
私には同じような境遇の仲間がいたからだ。
茶髪の少年(以下茶髪)「ああもうマジ頭いってぇ!」
少女「こればかりは慣れないよね」
絹旗「あはは」
茶髪「どうした?」
絹旗「三人とも同じ痛みに悩まされていると考えたら、なんだか超馬鹿らしくなってしまって」
少女「ふふ、言われてみればちょっとシュールな図よね」
茶髪「全然笑えねえっつの!」
投薬にも、脳を機械でいじられることにも、過酷な能力トレーニングにだって、仲間がいたからなんとか持ち堪えられた。
いつも検体番号で呼ばれる為、自分の名前すら知らない私達。
だけどもっと大切なものを三人は確かに持っていた。
色々なものが崩れるあの日までは。
ある日、一緒に実験を受けていた女の子が激しく苦しみだした。
少女「頭、痛い……」
茶髪「は? そりゃいつものことだろ?」
少女「違うの、ちが―――」
ブシュッ、血管から血が噴き出す音がした。
絹旗「え?」
見れば女の子はこめかみあたりから血を垂れ流していた。
これは普段の頭痛とは違う、私達はようやくそう気付く。
少女「痛いよ! 痛いよぉ!」
絹旗「どどどどうしましょう!?」
茶髪「おいチビィ! 俺は研究者どもんとこ行ってくる! テメェはそいつについててやれ!」
絹旗「は、はいっ!」
冷静さを欠く私を余所に、彼は研究棟へと駆けていった。
少女「ああああぁ……」
苦しげに呻く彼女に何もしてやれない自分が歯がゆかった。
少女「手……、握ってくれる……?」
絹旗「分かりました」
震えながら差し出してきた手を両手で包みこむ。
私は彼女のあまりの体温の低さに驚いた。
少女「あなたの手、あたたかいのね……」
そうではない、あなたが冷たいんだなどとは、言える筈もなかった。
とにかく自分が弱気を見せてはいけないと、不安を表情に出さないようにするので精一杯だった。
少女「今までありがとう、大好きだったよ……」
絹旗「今までだなんて超不吉な言い方しないでください!」
少女「分かるよ。自分のことだもの」
彼女は強く思いつめたような表情を浮かべた。
しかしそれもすぐに崩れ、代わりに涙がぼろぼろと零れはじめる。
気がつけば私の両の目からも同じように涙が溢れ出していた。
少女「やっぱり……死にたくないよぉ……」
絹旗「死にません! 超絶対あなたは死にません!」
少女「そうだと、いいなぁ」
絹旗「いつか研究所の外に出て三人で遊ぼうって約束していたじゃないですか!」
少女「公園、服屋さん、学校、それに映画館……。皆で行ってみたかったね」
絹旗「そっ、そうですよ! あなた映画が超好きなのに、いつもDVDでしか見せてもらえなかったじゃないですか!
映画館で映画を見るまでは超死んじゃ駄目です!」
少女「うん、私生きなくちゃね。三人でいっぱい思い出作ろうね」
彼女が息を引き取ったのはそれから数分後のことだった。
茶髪「よぉ」
絹旗「……」
茶髪「薬が強すぎたか、早急に被検体の替えを注文しなくては。
あいつの変調を伝えたら、研究者どもは真っ先にそうほざきやがった」
彼は背中から生やした白い羽根を撫でながらそう言った。
周囲には研究者やガードマンの亡骸が散らばっている。
茶髪「今までにないぐらいムカついてよぉ、気がつけばこんな有様だ」
絹旗「……あの子は亡くなりました」
茶髪「そうか」
絹旗「何故そんなに平然としていられるのですか!?」
茶髪「壊れちまったからさ」
彼は自分の頭を指さし、自嘲気味に笑って見せた。
茶髪「決めたよ、俺は学園都市を変える。
ただし潰しはしない。上層部の力を利用して俺の好きなようにしてやる」
絹旗「超無謀としか言いようがありません! レベル3一人で何ができると―――」
茶髪「壁なら越えたさ」
確かに彼の羽は、今までとは比べモノにならない大きさだった。
これならレベル3という枠は大きく超えているだろう。
だがそれでも独力で学園都市をひっくり返そうだなんて無謀すぎると思った。
それこそ学園都市第一位クラスでもなければ、そんなことはまず不可能なのだから。
茶髪「お前に一つ言っておきたいことがある」
絹旗「そんな風に改まるのは超あなたらしくないですよ」
茶髪「ははっ、違いねえ。……今後お前が俺の前に立ちはだかることがあれば、その時は容赦しないぞ」
絹旗「本気ですか!?」
茶髪「ああ。これから俺は俺の理想の為だけに生きる」
絹旗「待って! ちょっと待って下さい!」
茶髪「お前とアイツと俺、三人で馬鹿話す時間は嫌いじゃなかったぜ。んじゃ達者でな」
彼はそう言い残して飛び立っていった。
これらは全て数年前のことだ。
あの日から今日までの間に私は自分の本名を調べ、能力を磨き、アイテム正規メンバーの地位を得た。
しかし学園都市のあり方は何一つ変わってはいない。
恐らく彼は志半ばでこの街の闇に呑まれて消えたのだろう。
――――現在――――
絹旗「第一位、暗闇の五月計画というプラン名に聞き覚えは?」
一方「……成程な、お前はあれの被験者か」
絹旗「私はあの計画に超大切な人を奪われました」
一方「それは気の毒なこって。ンで、テメェはオレに何をさせたい」
絹旗「それは……」
一方「あれは別にオレが言いだしたモンじゃねェ。
考えようによっては勝手にデータを使われたオレだって被害者だ」
絹旗「私はただあなたに謝ってほしくて!」
一方「テメェの不幸を人様に押し付けてンじゃねェ」
絹旗「っ!?」
浜面「ちょっ、待てよ絹旗! おい!」
打ち止め「事情はよく分からないけど言いすぎだよってミサカはミサカは怒ってみる!」
一方「オレは悪くねェよ。悪いのは筋違いな怒りをぶつけてきたあっちだ」
打ち止め「言い訳しないの! ってミサカはミサカはまるで保護者。
さっきの人を追いかけて謝ったら? 今ならまだ間に合うよ、ってミサカはミサカは助言してみたり!」
一方「けっ……」
浜面「はぁはぁ、はぁ……やっと追い付いた」
絹旗「……」
浜面「なあ絹旗、一体どうしたんだ?」
絹旗「一方通行の言う通りなんです。私はあの人に超八つ当たりをしていました」
浜面「八つ当たり?」
絹旗「私は今まで辛い目に遭うたび、心の中でそれを一方通行のせいにしてきました。
全ての不満をぶつける対象を持つことで心の平静を保っていたのです」
浜面「しかし今さっきそれが理不尽だということに気がついたと?」
絹旗「そういうことです。自分が超惨めになりました」
浜面「俺にも似たような経験があるからな。気持ちは分かる」
浜面「少し前までの俺は全ての能力者を逆恨みして荒れていた。
今ではそれもおかしなことだったと分かっているが、当時の俺にはそうするしかなかった」
絹旗「浜面はそこからどうやって立ち直ったんですか?」
浜面「俺の前にな、くだらねえ幻想をぶち殺してくれる奴が現れたんだ」
絹旗「幻想をぶち殺す、ですか。超面白い表現をしますね」
浜面「あんな鮮やかに泥臭い真似は俺にはできない。けど、けどよ」
絹旗「ちょっ、ちょっと、浜面から抱きつくのは―――」
浜面「悲しみだろうが怒りだろうが、これからお前の辛いもんは俺が全部受け止める。それじゃあ駄目か?」
絹旗「……どうしてそこまで言ってくれるんですか?」
浜面「悪いものを燻らせてるお前を見るのが何より辛いからだよ」
絹旗「私の八つ当たりは超激しいかもしれませんよ?」
浜面「お前がさっきみたいな顔するよりはマシさ」
絹旗「それにえっとその、えっと……えへへ。超ぎゅーっ!」
浜面「そうそう、それでいいんだ」
打ち止め「あーっ! さっきの二人を発見したよってミサカはミサカは報告してみる!」
絹旗「あ……」
一方「チッ……」
打ち止め「こーらー! ちゃんと言うことがあるでしょ!? ってミサカはミサカは急かしてみたり!」
一方「あー、あれだ。ちっと言いすぎた、悪かったな」
絹旗「え!? あ、いえ、私の方こそ」
浜面「なんとか和解できたようでよかったよ」
打ち止め「めでたしめでたしってミサカはミサカはまとめてみたり!」
フレンダ「おかえり二人とも、随分時間かかったじゃん」
浜面「ちょっと色々あってな」
フレンダ「あんたらいっつもドタバタしてるねえ。
って、あれ? 買い物行った筈なのになんで手ぶらなの?」
絹旗&浜面「ああああああっ!?」
絹旗「超ドンマイです浜面もう一回超頑張ってきてください浜面」
浜面「おい! 元を辿ればお前のせいだろが!」
絹旗「大切なのは過去より今です未来です!」
浜面「それっぽいこと行って煙に巻くんじゃねぇええええ!」
フレンダ「やれやれ。結局二人は朝から騒がしすぎって訳」
絹旗(それにしても超久々に昔のことを思い出しました。
よく考えると茶髪のあの男の子、誰かに超似ていたような……)
垣根「……」
心理定規「なんだかイライラしているようだけどどうしたの? あなたらしくもない」
垣根「別に。テメェには関係のないことだ」
心理「あ、そう」
垣根「……おい。今俺の心をいじろうとしやがったろ」
心理「やっぱりあなたには通じないのね」
垣根「死ね。もう一度こんな真似をしてみろ、そのイカれた脳をぶっ潰してやる」
心理「あら怖い」
垣根(なぜだ、なぜ俺はこうも苛立っている)
垣根(あの女だ。映画館で出会ったあの女のことが俺の心から離れやがらねぇ)
垣根(絹旗、どうやらお前は気がつかなかったようだが、俺は……)
垣根(だが俺は暗部に生きる身、再びアイツと関わる訳にはいかない。忘れよう)
ヘッドギアの男「リーダー、他の暗部組織のデータがあがったぞ」
垣根「おうサンキュ。これから必要になるからな、心理定規と狙撃手も後で目ぇ通しとけよ」
心理「分かったわ」
狙撃手「了解」
垣根(さて、まずは一度妨害をくらった経験のあるアイテムから……)
垣根「ぶうううううっ!」
心理「ちょっと汚い! 止めてよね、飲み物を吹き出すなんて下品な真似」
垣根「あ、ああ、すまねえ」
垣根(待て待て待て、なんで絹旗がここに所属してやがる!?)
垣根(それしか生きる術が無かったってことなのかもしれねえけどよ)
垣根(……考えてみれば映画館で会ったアイツは俺の名を知っていた)
垣根(あれが何故なのか少し気になっていたが、絹旗がアイテムの構成員だとすれば納得できることだ)
垣根(しゃーねえな。どうせアイテムは邪魔な存在だ、ぶっ潰しがてらちっと介入するか)
最終更新:2011年01月27日 00:59