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「おぉ!!今日も素敵な合コン日和だな!!」
キバは空を見上げながらハッハッハと笑った。
駅前にはあさっての方向を眠たそうにしているシカマル・片手にポテチのチョウジ、キバに愛想笑いするナルト。
「あとはサスケだな・・・」
キバから零れたその言葉にナルトはぎくりとする。
サスケに合コンを断られたことをナルトはまだキバに言ってなかったのだ。
「あー・・・あの、キバ・・・実は・・・」
「待たせたな」
後ろから感じ取られたデジャブにナルトは恐る恐る振り返る。
「よーサスケ!!」
ナルトの背後の少年にキバが笑顔で迎える。
デジャブではなく、そこに立っていたのは正真正銘うちはサスケだった。
(な・ん・で・来・て・る・ん・だ・よっ!!!)
ナルトは口角をぴくぴくと痙攣させてサスケを見た。
しかしサスケはナルトを全く見ることはなかった。それがますますナルトの怒りを買う。
(んだよアイツ!!あんなに行かねぇとか言いながらきやがって!本当意味わかんねぇ!!)
ナルトは思いっきり顔をしかめるとフンっとサスケから顔をそらした。
その後女の子たちと合流し、合コン会場へ移動した。
その間、いっさいナルトを見ないサスケにナルトは胸の奥がぎゅっと苦しくなった。


場所は前と同じカラオケ店。
この前と同様の隣の女の子の『攻撃』。ナルトは笑顔でそれをどうにかかわしていた。
そんな中でも小さな部屋だからどうしても目に入るのは向かい側の黒髪の優等生。
彼は以前と違い、歌いはしないものの、隣の女の子の言葉に耳を傾けているようだった。
何を話しているかまでは聴こえない。でも女の子が笑うと彼も小さく微笑んだりしていた。
(何だよ・・・あんな嫌がってたくせに、笑ったりしやがって・・・)
ナルトは胸がなんだかむずむずする気がした。苦しいような、悲しいような。
そんな自分が嫌で、目を反らすけど、でもまた見てしまう。
ナルトはそれを繰り返していた。

「ごめ~ん、私ちょっとトイレ」
「私も~」
暫く経った後、女の子達は次々とそう言って席を立ち、部屋には男のみになった。
彼女達は『作戦タイム』に入ったようだ。
「いやー今回も迷うな!!ハハッ!!」
キバがマイク越しに話し出す。
「どーだよシカマル!?」
「んあ?別に、てかめんどくせぇ・・・」
「チョウジ!てめぇはもっとちゃんと話せよ!!」
「えーちゃんと話してるよ・・・むぐ。」
「ナルトはどうだよ!!」
「へっ?」
ナルトは慌ててキバの方を見る。
「お前、隣の子とイイカンジじゃねぇ?」
「え・・・あぁー・・・そっかなぁ?ははは~」
キバの言葉にナルトは頭をかきながら隣の子のことを思い出す・・・
が、彼女の顔が出てこなかった。
さっきまで隣にいたのに。話してたはずなのに。
代わりに思い出せるのは自分を見ないアイツの顔。
ナルトは自分がサスケばかりみていたことにこのとき初めて気がついた。
(うわっオレってば・・・!!!)
ナルトは羞恥でいっぱいになった。顔が熱くなってくる。それを向かい側のヤツに見られないようにナルトは顔を伏せた。
「それでー、サスケくんは?」
キバは若干躊躇をしつつ流れでサスケにも振った。
シカマル、チョウジもこれは興味あるのかサスケの方を向いた。
一人違う方向を向いていたサスケはちらりと視線をキバに移した。
無視すると思っていたが、何か言うのかとキバたちは喉をゴクリと鳴らす。
「オレは・・・もう決まっている」
その一言にナルトの鼓動が大きく跳ねた。
「えぇ~!!??マジでっ!!」
キバの声はマイクもあいまって部屋中にキーンと鳴り響いた。
「うっせぇよキバ!!」
「うお・・・悪ぃ・・・」
耳を押さえるシカマルにキバは素直に謝る。
「てかサスケ!!誰だよそれって!!まーお前なら誰だって落とせると思うけどさ!!」
キバは身を乗り出してサスケに尋ねる。シカマル、チョウジも相手に興味津々だ。
そんな中でナルトはうつむいたまま、膝の上で握り締めている両手を見つめていた。
心臓の音だけが聴こえる。いつもより大きくて速い鼓動。
それがナルトには苦しくて仕方がなかった。
キバの尋問にサスケが黙秘し続ける間に『作戦会議』を終えた女の子達が帰ってきたため、サスケの『相手』を聞き出すことができなかった。


そのまま合コンは滞りなく終了し、メンバーは店を出た。
「じゃーここで解散ってことで~」
キバがみんなに連絡する。今後は成立したカップルで遊ぶのもよし、少人数になって遊ぶのもよし、ということだ。
サスケの元に数人の女の子がサスケくぅん、と猫なで声をだしつつ近寄っていく。
分かりきっていたことだが、女子のほとんどはサスケ狙い。キバ・シカマル・チョウジは小さくため息をついた。
ナルトはサスケを視線に入れないように違うところを見ていた。
(あの中に、サスケの気になる相手ってのがいるんだろうな・・・。)
そんなことを思うと胸が針を刺されたように痛んだ。
「あのー、ナルト・・・くん」
そんなナルトに話しかけてきた女の子が一人。カラオケで隣にいた子だった。
「よかったらさ、これからも、ちょくちょく遊ばない??」
「えっ!」
ナルトは驚いた。まさかこんなときにこんなことを言われるなんて。
女の子に視線をやると彼女は少し頬を染めながらにこりと笑う。
(うわ・・・オレってば最低・・・)
ナルトが自責の念に駆られているとき突然ぐいっと手をひかれた。
「!!」
驚いてひかれた先を見ればそこにいるのはサスケ。
メンバー全員がサスケを見つめる中、サスケはにやりと口角を上げた。
「悪ぃな。オレはコイツにしか興味ねぇ」
「「「はぁ???」」」
ナルトを筆頭にその場にいた全員が声を揃える。
「行くぞ」
「えっ・・・あっ!おいっ!!!」
そしてサスケはナルトを引きずりながら去っていき、残りのメンバーはぽかんとしてそれを見送った。


「ちょっと、サスケ!!」
しばらく歩いたところでナルトはようやく踏ん張り、サスケの足を止めた。
「何だよ」
「どっどーゆーつもりだよ!!こんなことして、あっあんなこと言って!!絶対みんな勘違いしたぞっ!!」
意味わかんねぇとナルトはサスケを糾弾する。しかしサスケの顔は変わることもなく。
「『勘違い』なんかしてねぇだろ」
「んなわけあるか!!」
「んなわけあるんだよウスラトンカチ」
「はあぁ!!??」
ナルトは顔を思いっきりゆがめる。コイツアホかと顔中で叫ぶ。
「『勘違い』じゃねぇんだよ」
「だから意味わかんねぇよお前っ!!」
ナルトはイライラマックス。サスケはそんなナルトにはぁ、と大きくため息をついた。
「だから、オレはお前が好きだから『勘違い』じゃねぇっつってんだよ、分かれよドベ」
「・・・・・んあっ!!!???」
サスケの言葉にナルトは思わず素っ頓狂な声を上げる。
「おまっ・・・オレ・・・好きっ!!??」
あわあわと自分とサスケを交互に刺しながらナルトが尋ねるとサスケは首を縦に振った。
ナルトは一気に顔が真っ赤になった。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!」
ナルトは叫ぶと頭を抱えてその場に座り込む。頭がごっちゃごちゃで沸騰寸前だ。
(えーっサスケがオレを好きで、オレに興味あるとか言って・・・えぇっ!!??ってかそれよりも何よりもどうしようっ・・・)


オレ、よくわかんないけどすっげぇ嬉しい。


その感情が余計顔を火照らす。穴があったら入って掘りまくって裏側に行きたいくらいだ。
座り込むナルトをサスケは無言でしばらく見つめていた。
「お前、オレが無視してたのにイライラしてたろ?」
ドキ。
「オレが『気になる相手いる』って言ったとき、正直ショックだっただろ」
ドキドキッ。
面白いくらい素直に反応するナルトにサスケは思わず小さく噴き出す。
「ナルト」
サスケの声にナルトはおずおずと涙目で真っ赤な顔を上げる。
「返事は?」
サスケはにやりとお得意のニヒル顔で手を差し出す。ナルトはうぅ~っとうなりながらもその手を取った。


繋いだ手を素直に絡めることなんてまだできないけど。
握ってくる手を握り返すこともまだできないけど。
まだまだ夏は始まったばかり。
彼らもまだ、始まったばかり―――。



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最終更新:2008年12月13日 00:19