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「じゃあ僕は隣の部屋にいるから。今日はゆっくり休みなさい。」
「おっす!ヤマト隊長おやすみなさいってばよ!」
「おやすみなさい。」
にっと笑うナルトと静かに微笑むサイを見たヤマトはおやすみ、と言って隣の部屋に帰って行った。


ヤマト率いる第7班のサクラ・ナルト・サイは火の国を訪れていた大名の護衛の任務を任された。
一週間の長旅の末、無事大名を御殿まで送った4人は大名からのはからいで1晩宿に泊まることになった。
「やったー布団だってばよーっ!」
ナルトは敷いてある布団におもいっきりダイブした。布団からは太陽のにおいがする。
「しばらく野宿だったからね。」
隣の布団に座ったサイは言った。
「久しぶりにゆっくり眠れるってば!あー幸せ!!」ナルトは布団の上でゴロゴロしながら叫んだ。
「本当ナルトは子供だね。あんまり動くと浴衣がはだけてチ…」
「わーっそれ以上言うなってば!」
ナルトは慌てて起き上がりサイを制した。
そして若干着崩れていた浴衣を直す。
「ったく、もうちょい言葉を選べってばよサイ!」
「僕は端的に言おうとしただけだけど。言葉って難しいんだね。」
まったく悪気の感じられないサイの言葉と笑顔に言っても無駄だと感じ、ナルトはもう何も言わなかった。「明日早いから早く寝た方がいいよ。寝坊してたらぶん殴るから。」
笑顔で言うサイにへいへいとナルトは答えると布団に入った。
そして数分も経たないうちにナルトは深い眠りに陥った。
「本当に子供だな…」
横目でナルトを見つつ無表情でサイがつぶやくと、サイも布団に入り目を瞑った。


夜が深くなったころ、サイは妙な音を聞き目を覚ました。
それは隣から聞こえてくるようだ。
(ナルト?)
不審に思い体を起こすと、布団をけっとばし、大の字になってナルトが寝ていた。
呆れてサイがナルトの顏を覗きこむと、ナルトは眉間に皺を寄せ、汗をかきながらうめいていた。
うぅ、うめきつつ顏を左右に振るナルトはどうやら悪夢にうなされているようだった。
顏から首筋に流れたナルトの汗をサイは目で追った。
汗は首筋から鎖骨に伝わり、大きくはだけた胸元に伝っていく。
ナルトが体を揺らすと浴衣からナルトの日焼けしていない白い足が大胆に覗いた。
普段からはみてとれないナルトのその艶めかしい姿にサイは思わずごくりと喉をならした。
そんななか、ナルトはぐっと右手に力を入れた。
「うわぁあっ!」
「!!」
ナルトが一際大きなうめき声を上げたと同時に、ナルトの右手がサイに向かって飛んできた。
瞬時にサイはその右手を左手で受け止める。
「なんて寝相だ…」
サイは思わず溜め息をついた。
すると、うめいていたナルトの瞳から涙が溢れ始めた。
今度はどうしたんだ?とサイがナルトを見つめていると、ナルトの瞳がうっすらと開いた。
蒼く揺らめく瞳はサイを見つめた。
そして、握っていた右手をサイの左手に絡めた。
「サっ…!」
涙を溢しながら言葉を発すると、ナルトはサイの胸に飛び付いてきた。
とっさにナルトを受け止めると、ナルトはサイの胸にすがりついて涙を溢し続けた。
「も…はなさ…ってば…」
うわ言のようにナルトがつぶやくと、絡めた右手がぎゅっとサイの手を握った。
しばらくサイがそのまま動かないでいると、ナルトは泣き疲れたのか、また深い眠りについた。
ナルトが離れないので、サイは自分の布団を引っ張り、自分とナルトにかけ、そのままナルトを抱えつつ横になった。

「君はここにいないのに、こんなにも彼の心をを捕えているんだね。」

サイは眠るナルトを見ながらそうつぶやくとある少年を思い浮かべた。
自分と同じ黒髪に黒い瞳を持つ少年。
自分の前にこの班にいた少年。
名門・うちはの血を持つ写輪眼の後継者。

そして、ナルトが全てをかけて求める少年―――うちはサスケ。
ナルトを苦しめ、悲しませ、傷付け、そしてきっと、幸せにすることのできる唯一の存在。

「まぁ、『今の時点で』ってことだけどね。」
そうつぶやくとサイは暗く微笑んだ。
サイにとってナルトは、やっと見つけたつながりであり、大事なものであり、希望の光だった。
もう絶対にはなさない。誰にも渡さない。絶対に。
サイの瞳が冷たく光ると、ナルトの手をぎゅっと握り、強く抱き締めた。
そして、ナルトの頭に顏を埋めて囁いた。



「そう簡単には手放さないよ。覚悟してね、ナルト。」







最終更新:2009年02月19日 00:56