1
天正年間は瞬く間に流れた。
家康は小牧長久手の戦に勝利したものの秀吉に下り、天下取りに協力する。
(=゚ω゚)「まだよ……まだ長き道の途中だよぅ」
/`ら^ヽ「それでこそ殿、我ら家臣団も付いていきまする」
秀吉「へっ、甘ぇがや。 徳川を中から崩してやるにゃあも」
秀吉は徳川家臣団の懐柔を狙い、有力な家臣に官位を与えた。
(=゚ω゚)「忠勝は中務大輔、康政は式部大輔、直政は兵部大輔……。 元忠、お主にも任官の沙汰が……」
/`ら^ヽ「結構でござる」
(=゚ω゚)「しかし……」
/`ら^ヽ「殿以外の方から頂く官位、領地は結構にござる! それがしは鳥居彦右衛門のままで結構」
元忠の姿勢は生涯変わらず、のち家康の関東入りに伴い下総矢作に四万石を与えられたが官位は固辞し続けた。
日本史上、唯一の無位無官の大名であった。
/`ら^ヽ「というわけで辞退してきたよ」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「勿体無い気もしますが……」
/`ら^ヽ「官位が戦場で身を守ってくれるかね、腹の足しになるかね?」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「……それもそうですね」
/`ら^ヽ「それにな、わしが死んであの世に行った時……」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「行った時?」
/`ら^ヽ「その……何だ、舅の美濃殿が探しにくいじゃろう?」
堪え切れず、おのうは噴き出した。この亭主はそんな事で官位を受けなかったのかと思うと笑いが止まらなかった。
/`ら^ヽ「こ、こら! もちろん殿に対する忠誠が一番にある!」
ゞゝ゚ ー゚ノゝ「はいはい、夕餉にいたしましょう。 彦右衛門様」
/`ら^ヽ「(官名ではおのうがわしを呼びにくくなるだろうから……と言うのは黙っておこう)」
鳥居彦右衛門、現代で言うツンデレであった。
2
慶長三年、天下人秀吉が世を去る。
(=゚ω゚)「……諦めかけた夢、徳川による泰平の世……燃えてきたぞ、元忠」
/`ら^ヽ「構う事はありませぬ、天下をお取りなされ」
秀吉の死後、家康は三成を始めとする奉行衆を挑発する事に力を注いだ。
露骨とも言える手段により三成を隠居させ、遂には会津の上杉景勝を討つべく軍を興した。
/`ら^ヽ「さぁ、殿がこの伏見城に参られる。 城を清めておけぃ」
この頃、元忠は家康の城となった伏見城の城代を任せられている。
今日、会津遠征に向かう家康がこの城へ入ることになっていた。
久しぶりに主君の顔を見れる、そして共に天下取りの戦に向かえる。そう思うと心が躍った。
(=゚ω゚)「……あぁ」
反面、家康の顔は暗い。間も無く伏見城に着くのが辛くて堪らなかった。
/`ら^ヽ「おっ、殿が参られた! ささ、ごゆるりと御休みなされよ」
(=゚ω゚)「いよぅ……」
/`ら^ヽ「どうしました、元気がありませぬな! この彦右衛門、会津征伐で獅子奮迅の働きを……」
(=゚ω゚)「元忠、話がある。 後で……」
宵も更けて、家康は元忠と対面した。家康は辛そうにぽつりぽつりと語り出した。
元忠は片足を撃ち抜かれて以来、上手く座れず、片足を崩して座に着いている。
(=゚ω゚)「元忠、此度の戦、上杉征伐は名目上のこと……」
/`ら^ヽ「やはりそうでしたか。 殿が上方を留守にした隙に奉行衆が蜂起する、兵を返してそれを討つというわけですな」
(=゚ω゚)「うむ……」
/`ら^ヽ「いやぁ、この老骨も頑張りますぞ。 奉行衆の首は我が隊があげまする!」
(=゚ω゚)「……」
3
家康は元忠の目が見れなかった。ふと不自由になった片足が目に入った。
やはり止めようか、他の者に命じようか。家康は葛藤していた。
やがて家康は決意した。他の誰にも命じられない、この男にしか出来ないと結論に至った為である。
(=゚ω゚)「主としてでは無く義兄弟としての頼みがあるよぅ」
/`ら^ヽ「……何なりと」
(=゚ω゚)「お主には引き続き、伏見城を守ってもらいたい」
これは事実上、死ねという命令であった。
上方で兵が起これば徳川家の城はこの伏見城だけとなる。即刻囲まれ、落ちるのを待つだけの城になるのだ。
起こればではなく、必ず起こる。家康はこの二年間その為の布石を打ってきたのだ。
下手な武将に任せると降伏して城を開けるかもしれないが、忠義の塊であるこの男ならそんな事にはなるまい。
/`ら^ヽ「……」
(=゚ω゚)「……」
二人の間をしばしの沈黙が流れた。やがて元忠はにやりと笑い、こう続けた。
/`ら^ヽ「殿……我が舅、美濃守殿の死に様……見事でしたなぁ」
(=゚ω゚)「(……!!)ああ、見事だったよぅ」
不遇であった今川傘下の頃より、兄弟のように育った二人である。これだけで話は通じた。
自分もあのような死に花を咲かせて御覧にいれよう、そういう意味である。
4
(=゚ω゚)「さぁ、酒にしよぅ。 昔話を肴にな」
/`ら^ヽ「いやぁ、旨い酒ですな」
(=゚ω゚)「そういえば駿河にいた頃、百舌を……」
/`ら^ヽ「ありましたなぁ」
別れの盃は夜更けまで続いた。
/`ら^ヽ「殿は三方ヶ原から戻った時、尻から味噌を生み出す幻術を……」
(#゚ω゚)「その話はするなよぅ!」
/`ら^ヽ「ははは。 さて、そろそろお暇いたします。 殿もお休みなさいませ」
(=゚ω゚)「わしはもう少し一人で呑んで寝るよぅ」
/`ら^ヽ「で、ござるか。 では」
元忠が去った後、家康は空になった盃を見つめた。
しばらくして急に涙が溢れ、頬を伝った。
(=;ω;)「……すまぬ。 元忠、すまぬぅう……」
五十年来の友人であり、家臣である男を殺さねばならない苦衷は身を裂くようであった。
5
家康が伏見を去った半月後、石田三成らが蜂起。
更に半月後の七月十八日、西軍は伏見城を取り囲んだ。
/`ら^ヽ「ははは、正に四面楚歌。 さぁて何日持つのやら」
もともと落ちる城である。元忠は西軍蜂起の報を家康に既に送っていた。
これで悔いは無い、潔く逝けると思った。
/`ら^ヽ「城を囲まれはや半月……そろそろ潮時か」
八月一日、元忠は自ら刀槍を持って戦った。
/`ら^ヽ「……これまでだな」
雑賀孫一「鳥居彦右衛門殿とお見受けいたす。 その首、頂戴する」
/`ら^ヽ「ああ、良いぞ。 持って行け」
/`ら^ヽ「(さらばじゃ、おのう)」
──────伏見城落城、鳥居元忠討ち死に
「……殿、……殿」
/`ら^ヽ「やかましいのう」
死んだ後くらい静かにしろ、と元忠は思った。この半月、銃声やら鬨の声で喧しかったのだ。
「婿殿」
その言葉でハッとすると、憧れ続けてきた舅の姿がそこにあった。
6
彡`Д´ミ「婿殿……、ああやっと起きられたか」
/゚ら゚ヽ「み……美濃守殿」
彡`Д´ミ「まずは礼を言おう、おのうが世話になった」
深々と頭を下げたその老将はこう続けた。
彡`Д´ミ「見事な死に花を咲かせられたな、そなたこそ三河武士の鑑。 舅のわしも鼻が高いわ」
/`ら^ヽ「勿体無きお言葉……」
彡`Д´ミ「今、穢土では天下分け目の大いくさが始まろうとしとる……」
(`・ω・´)「家康殿は三方ヶ原の敗戦を糧に大きく成長なされたな」
/`ら^ヽ「山県三郎兵衛殿!」
(’ー’*)「どちらが勝ちますかねぇ、西軍には喜兵衛が加わるようですよ」
/`ら^ヽ「高坂弾正忠殿!」
( ^ω^)「西軍は足並みが揃ってないお。 烏合の衆とまで言えるお」
/`ら^ヽ「……? どなたでござるか」
( TωT)「ひどいぉおおおおお! 我こそ武田の副将、内藤修理亮だお!」
彡`Д´ミ「……さておき。 聞くまでもないが、婿殿はどちらが勝つと思われるかな?」
/`ら^ヽ「……は、もちろん……」
兵を返した家康の軍旗が関ヶ原に翻るのは元忠死後より一月半後であった。
┃ ┠| ̄ 丶
/┃\ ┃| / \
┿━┿ ┠|_ / │
│厭│ ┃| `ヽ |
│離│ ┠|∠ ) ̄ |
│穢│ ⊿\ノ\ /
│土│ ┃ \ /
│欣│ ┃ ヽ/
│求│ ┃
│浄│ ┃
│土│ ┃
└─┘ ┃
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃ 完
最終更新:2009年12月15日 22:11