1
長篠の戦において武田家は信玄以来の将を数多く失った。
山県昌景は采配を口に加え指揮を執っていた所を狙撃された。
内藤昌豊は三つ目の馬防柵を破った後に討ち死に。その際に
( ^ω^)「我が子孫末代に至るまでNHKに受信料を払う事無かれ。 またヤンマガも購入するべからず」
と遺言を残したと言われる(『戦国最強の荷駄武将・内藤修理亮』民明書房 より)。
中でも馬場信春の壮絶な死に様は敵味方ともに感嘆を禁じ得なかったという。
敵将を褒める事の少ない信長ですら例外では無かった。
( <●><●>)佐久間信盛「これで大きく武田の力を削ぐ事が出来たのは分かってます」
(*‘ω‘ *) 信長「(見事ぽっぽ……武田の老将よ)」
( <●><●>)「畿内にいる光秀殿にも我が軍の勝利をお知らせしなけらばなりませんね」
(*‘ω‘ *) 「これで天下布武が大きく邁進したぽっぽ……」
(///<●><●>)「それもこれも私達家臣が優秀だからですよね、分かってます」
( <●><●>)「(これで三方ヶ原で逃走した事、朝倉義景を逃がしてしまった事は帳消しですね)」
(#‘ω‘ *)「(この愚図が……次に失態があったら追放してやるぽっぽ)」
(///<●><●>)「(殿が私に信頼の眼差しを向けてますね、分かってます)」
2
(=゚ω゚)「山県も馬場も討ち死にしたか……」
/`ら^ヽ「……見事な最期でございましたな」
元忠は信春の死に様に深く感じ入っていた。
自分もこのような死に花をいつか咲かせられたら、そう思った。
(=゚ω゚)「これで少しは重き荷が減らせるというもの……だが長き道はまだ先だよぅ」
/`ら^ヽ「まずは武田に奪われた城を取り返さねば」
家康はただちに遠州に築かれた武田氏の拠点、諏訪原城に侵攻した。
元忠も一隊を率い、城攻めに加わった。
(=゚ω゚)「むぅ、さすがは城取りの達人馬場美濃の築きし城。 一筋縄ではいかぬようだよぅ」
/`ら^ヽ「そりゃ、突っ込めい!」
(=゚ω゚)「元忠め……少々前に出すぎだよぅ。 あっ!」
/`ら^ヽ「ぐぅわ!」
城兵の放った鉄砲が元忠の足を打ち抜いた。
その衝撃で落馬したものの、命に別条は無かった。
/`ら^ヽ「いつつ……流石は馬場殿。 見事な置き土産を武田に遺したものよ」
だが元忠はこの傷により、生涯片足が不自由となる。
3
天正十年は激動の年だった。
三月、天目山において武田氏が滅ぶ。信長は川尻秀隆に甲斐を与え、統治を任せた。
だがその信長も六月、京・本能寺において……
(>< )光秀「とうとうやっちまったんです! もう後には退けないんです!」
光秀の謀反にあい、本能寺の業火の中に消えた。
(*‘ω‘ *)「滅せぬものなど有りはしないぽっぽ……第六天魔王に相応しい幕引きぽっぽ」
本能寺の変を受けて、甲斐府中も混乱した。
川尻秀隆「な、何じゃお主らは!」
国人「うるさいわ! 信長と言う後ろ盾のない貴様なぞこうしてくれるわ!」
川尻秀隆「ぎゃあああっ! しっ尻が裂けるうっ!?」
国人「ふんっ! ふんふんっ!!」
川尻秀隆「痛いっ! 痛いーっ!! うっ動かないで・・・っ!!」
こうして無政府状態となった甲斐を併呑しようと、家康は兵を出した。
(=゚ω゚)「噂だが、甲斐府中にはあの馬場美濃の娘がいるというよぅ……。元忠よ」
/`ら^ヽ「妾になさりたい……と?」
(=゚ω゚)「あの鬼美濃が嫁に出すのが惜しくて留めていたという女だよぅ」
/`ら^ヽ「……」
元忠は乗り気がしなかった。
今川に人質になっていた頃から兄弟同然に育った主君だったが、今回の命令は聞く気がしなかった。
府中に入った元忠はまず街を視察した。
4
/`ら^ヽ「荒れとるなぁ。 ……ん?」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「……」
沿道に並ぶ民衆の中に、一際目を引く女の姿を見て元忠は馬を止めた。
/`ら^ヽ「その方、もしや……」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「馬場美濃守が四女、おのうと申します。 あなた様は……」
/`ら^ヽ「(やはり……)それがしは徳川家名代、鳥居彦右衛門と申す」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「!」
おのうは父に教えられた元忠の話を聞いて以来、まだ見ぬ男に対して憧れを抱き続けてきた。
それは父が討ち死にしても、武田が滅んでも変わらなかった。
その男が今、目の前にいる。その驚きは並々では無かった。
/`ら^ヽ「今は荒れておる府中でござるが……我が主君は大器にござれば、信玄公の頃にも劣らぬ平安をもたらせましょう」
/`ら^ヽ「見回りの途中でござるゆえ、これにて」
元忠もまた、この初めて会った女性の前で格好付けている自分を不思議に感じた。
武辺一辺倒に生きた男である。先年亡くなった妻(松平家広の娘)には感じた事の無い感情であった。
尊敬する馬場美濃の娘だからなのかと自問してみたが、どうも違うようだ。
その日以来、おのうは同じ時刻に同じ場所に立ち、元忠の巡回を待った。
元忠もまたそれを楽しみにし、二言三言交わしてはその場を去った。
二人が結ばれるのに、そう時間はかからなかった。
5
(#゚ω゚)「ええい! まだ見つからぬのかよぅ」
/`ら^ヽ「存じませぬなぁ」
(=゚ω゚)「どこへ隠れたのやら……もしくは此度の混乱で殺されてしまったのか」
/`ら^ヽ「……ふふふ」
やがて、家康の耳に元忠が新しく妻を迎えるという話が届いた。
武家では原則、主君の許しの無い婚姻は認められない。
(=゚ω゚)「どこかの地下女でも妾にしたのかよぅ」
/`ら^ヽ「武田の遺臣の娘にございまする」
(=゚ω゚)「武田の遺臣? まさか……」
/`ら^ヽ「ご察しの通り、馬場美濃守殿の四女おのうにございます」
その言葉で家康の頭には血が昇った。
(#゚ω゚)「もっ! 元忠ァア!」
/`ら^ヽ「どうぞお斬り下さいませ。 兄弟のように育った上様に斬られるなら本望にござる」
(#゚ω゚)「……」
/`ら^ヽ「……」
(=゚ω゚)「ふぅ……。 よい、元忠。 認めるよぅ」
/`ら^ヽ「有難き幸せ。 元忠これより一層忠義に励みまする」
(=゚ω゚)「……そうじゃ、先の黒駒合戦での恩賞を与えるよぅ。 北条を退けた働き見事であった」
(=゚ω゚)「甲斐郡内を与えるよぅ。 しかと治めよ」
馬場美濃の娘を嫁にした元忠なら武田の遺臣もなびき易い、と踏んだ抜け目のない家康であった。
/`ら^ヽ「とうとう、城を任せらる程の将となったぞ。 おのうのおかげじゃ!」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「彦右衛門様の働きあっての事。 おめでとうございまする」
/`ら^ヽ「美濃守殿には及ばぬが、まだまだこれからよ」
ゞゝ゚ -゚ノゝ「父は生前、敵ながら見事と彦右衛門様を褒めておりましたよ」
/`ら^ヽ「あの美濃守殿がのう……」
元忠は涙ぐんだ。
元忠はおのうとの間に三男一女をもうけた。
鳥居忠勝、忠頼、忠昌、戸澤政盛の妻がそれである(寛政重修諸家譜より)。
最終更新:2009年12月15日 22:08