著:2スレ目>>209殿
1
天正三年、武田勝頼は背信の奥平貞昌を討つべく諸将を集め出陣を命じた
(`・ω・´) 昌景「奥平貞昌・・・・・・馬鹿な男よな、家康にそそのかされるとは」
彡`Д´ミ信房「せん無き事やも知れぬ。 我らと徳川の間で迷った末での決断じゃ」
( ^ω^)昌豊「大勢力に挟まれた小豪族とはつらいものだお・・・・・・」
(`・ω・´) 昌景「しかし我ら四人があれほど言うても出陣を取りやめぬとは、勝頼様も頑固なお方よ・・・・・・」
( ^ω^)昌豊「弾正は?」
(`・ω・´) 昌景「まだ勝頼様に談判しておる」
2
(’ー’*)昌信「勝頼様! どうかお聞き届け下さいませ!」
勝頼「しつこいわ。 何度も言うておろう、我が命に一切の変更はありえぬ」
(’ー’*)昌信「亡き信玄公は無暗に兵を動かすことを最も忌んでおられましたぞ!」
勝頼「お主らは何かと言えば父上を持ち出すのう」
(’ー’*)昌信「そもそも三年は喪を隠し、兵を動かさぬ事を御遺言に! それを破り東美濃を攻めてより・・・・・・」
勝頼「よし、わかった」
(’ー’*)昌信「お聞き届けくださいますか!」
勝頼「弾正、お前は此度の戦に出陣せんでよい。 海津城に入り上杉に備えよ」
(’ー’*)昌信「勝頼様! 勝頼様ぁー!!」
3
(`・ω・´) 昌景「おお、弾正。 首尾はどうじゃった」
(’ー’*)昌信「駄目でした……。 それどころか私は留守居を命じられました」
彡`Д´ミ信房「何と!」
( ^ω^)昌豊「弾正がいないといささか不安だお……」
(’ー’*)昌信「……」
彡`Д´ミ信房「弾正、そう暗い顔をするでないわ。 絶対に我が軍に無理はさせぬよ」
(’ー’*)昌信「長篠の城を攻めるだけならこれ程は言いませぬ。 必ずや徳川が援軍に来ます」
(`・ω・´) 昌景「家康としても今度は面子が掛かっておるからのう」
(’ー’*)昌信「それだけではござらぬ。 伊勢長島を落としたあの天魔王が……」
彡`Д´ミ信房「松平珍保宝斎……じゃなかった、信長か」
(’ー’*)昌信「長島の障壁が無くなった今、信長は必ず出てきます!」
彡`Д´ミ信房「かも知れぬ。 あやつは人ではない、どんな策を用いてくるやら……」
(`・ω・´) 昌景「ともかく心配するな。 信長が出てきたら必ず兵を退かせる」
(’ー’*)昌信「……」
4
馬場美濃守邸……
彡`Д´ミ信房「ふっ、ふっ」
彼は息を切らしつつ、木組み作りで使う土を捏ねていた。別に築城の命があるわけでは無いが、こうしていると落ち着くのだ。
彡`Д´ミ信房(お師よ……道鬼殿よ……)
彼は城取りの師、山本勘助に思いを馳せていた。
彡`Д´ミ信房(わしもお師と歳が近くなってきましたぞ。 お師には及ばぬかも知れぬが城取りも中々の腕になりましてな)
彡`Д´ミ信房(一国の器量人などと呼ばれております、ガハハ)
彡`Д´ミ信房(道鬼流築城術の粋と呼べる城も出来ました。 駿河田中城がそれにござる)
彡`Д´ミ信房(もっとも、お師が見たら文句をおっしゃるかも知れませんがな)
彡`Д´ミ信房「六十一か……わしも長くは無いかも知れませぬ。 そちらに行ったらまた城取りを御教授願いたい」
それだけ口に出すと信房は土捏ねを止め、出陣の準備にかかった。
5
内藤修理亮邸……
( ^ω^)昌豊「明日は出陣だお……」
ξ(゚、 ゚*ξ昌豊・妻「別に昌豊様の御武運なんて祈りませんからねっ!」
(;^ω^)昌豊「ちょwwwおまwww」
( ^ω^)昌豊(本当の気持ちは分かってるお……)
<丶´`A´`>釣閑斎「御免下され。 夜分に申し訳ない」
ξ(゚、 ゚*ξ昌豊・妻「あら、お珍しい! 釣閑斎様!」
( ^ω^)昌豊「……」
<丶´`A´`>釣閑斎「良いかな?」
( ^ω^)昌豊「……構わんお」
6
( ^ω^)昌豊「何用だお? まさかお前がうちに来るとは夢にも思わなかったお」
<丶´`A´`>釣閑斎「……ふむ、百姓上がりにしては良い所に住んでおるな」
( ^ω^)昌豊「軍神の血祭りに上げられたいのかお?」
<丶´`A´`>釣閑斎「…………本当はこんな事を言いに来たのではないのだ」
言うなり、釣閑斎は頭を床に擦りつけた。
<丶´`A´`>釣閑斎「内藤修理亮殿。 これまでの非礼、伏してお詫び申しまする」
( ^ω^)昌豊「!?」
急な釣閑斎の土下座に昌豊は戸惑いを隠せなかった。
<丶´`A´`>釣閑斎「わしは……わしは……」
( ^ω^)昌豊「……何も言うなお。 頭を上げてくれお」
<丶´;A;`>釣閑斎「いっ、いや! このままでいさせてくれ!」
釣閑斎の涙が床に落ちる。土下座の姿勢のままならば泣き顔は見られないのだ。
<丶´;A;`>釣閑斎「わっ、わしはこっ、此度の戦には出陣せぬが……」
嗚咽を交えながら釣閑斎は言葉を継げる。
<丶´;A;`>釣閑斎「内藤修理亮殿のっ……御武運をっ、お祈り申しておりまする……!」
( ^ω^)昌豊「……お言葉、ありがたく!」
7
昌豊は釣閑斎を見送りに出た。
<丶´`A´`>釣閑斎「わしはお主に嫉妬しておったのだ。 武田の副将と呼ばれるお主を」
( ^ω^)昌豊「……」
<丶´`A´`>釣閑斎「わしが喉から手が出るほど欲しい、戦働きの感状を受け取らぬお主に」
<丶´`A´`>釣閑斎「だが気付いたのだ、この醜い嫉妬にな。 わしが認めよう。 お主こそ名将、甲州武士の鑑だと」
( ^ω^)昌豊「……」
<丶´`A´`>釣閑斎「……死ぬなよ、百姓上がり」
( ^ω^)昌豊「誰が死ぬかお」
二人は笑みを交わし、別れた。
8
山県三郎兵衛尉邸……
リ・ω・川
上村氏「昌景様、明日は出陣なされるのですね」
(`・ω・´)昌景「うむ、長陣になるやもしれぬ。 しっかり家を守ってくれよ」
リ・ω・川 上村氏「もう御休みになられますか?」
(`・ω・´)昌景「そうしよう」
その晩、昌景は夢を見た。
(`メω・´)虎昌「うおおおっ! げんしろーっ!!」
(´゙゚'ω゚') 昌景「げえっ! 兄者!」
(`メω・´)虎昌「久しぶりよのう、源四郎! 元気にしておったか?」
(;`・ω・´)昌景「あ……兄者もお変わりなく……」
(`メω・´)虎昌「何がお変わりなくじゃ! 死んどるっちゅーねん!」
(;`・ω・´)昌景「その性格では閻魔様にも煙たがられましょうな」
(`メω・´)虎昌「放っておけ! それより将棋じゃ! 囲碁じゃ!」
(;`・ω・´)昌景「明日は出陣なのですが……」
(`メω・´)虎昌「い い か ら !!」
9
翌朝
(´つω・)昌景「う……寝た心地がせぬ……」
リ・ω・川 上村氏「義兄上様が……」
(`・ω・´)昌景「そうじゃ、夢で一晩中相手をさせられたわ。 おかげで寝不足よ」
リ・ω・川 上村氏「それはもしかしたら、此度の戦に昌景様が行く事を止められたのでは?」
(`・ω・´)昌景「……兄者が」
リ・ω・川 上村氏「心配性の義兄上様のことですから」
(`・ω・´)昌景「フフ、かもしれぬな」
(`・ω・´)( ^ω^)彡`Д´ミ「では、行ってまいる!」
その日の甲斐の空は青く澄み、府中の町は出陣を見送る人々で賑わったという。
最終更新:2009年12月15日 16:33