273 :アナザー・フェイト ◆K67nNe0PPg:2008/03/26(水) 07:39:03
聖杯戦争。願望器である聖杯をかけて、魔術師が争う儀式。
この冬木の聖杯戦争の特色は、過去の英雄を召喚し、彼らと共に戦うということだ。
私は魔術協会の一員として、今回の聖杯戦争に参加した。
まあ、そこには実際の英雄達に会いたいという子供の頃の夢もあったのだが。
なにより、この聖杯戦争の監督役が『彼』だったからでもあるだろう。
「しかしマスター、監督役に頼んでいいものかね?
ルールを守るんなら、そんな真似ができるとは思えないんだが」
「別にいいでしょう、ランサー。
…まあ、説得は成功しないでしょうが、一夜の宿を借りるくらいなら問題ないでしょう」
それが長引く可能性もありますが、とはつけたさない。
そんな子供っぽい願望を、この英雄の前で口に出すのはあまりにも格好が悪い。
「彼の人柄は知っています。聖職者として彼以上の人間を私は知りません。
宿を取れなかった人間を追い出すような真似は、決してしないでしょう」
そう、宿を取れなかったのだ。なんでも、ちょっとした事件があってホテルが休業したとか。
まったく間が悪い、これでは言峰に迷惑をかけてしまうではないですか。
「…なんか嬉しそうだなぁ、オイ」
「な、なにを言っているのですか…! 私は別に、嬉しいなどとは思っていませんよ。
本当、とんだ迷惑です。時期から考えると、聖杯戦争と無関係とも思えませんんが。
……まあ、久しぶりに彼と会えるというのは喜ばしいことですが」
さっきからこれだ、何度も彼にからかわれてしまった。
まったく、私も不甲斐ない。何故こうも浮かれてしまうのか。
「さて、そろそろ到着しますよ。ランサーは幽体になっていてください。
言峰には私からお願いしておきますから」
「まあ、マスターの言葉なら従うがね。
あんまり心配させないでくれよ、バゼット」
「余計なお世話です、ランサー!」
既に教会は目の前。ランサーが幽体になったのを確認し、扉を開ける。
そこにいたのは――――
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最終更新:2008年08月19日 02:39