511 :371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg:2008/04/13(日) 22:37:42
「うん、あたち、まきでらかえで!」
「…………おおっと」
思わず俺の頭がテレポーターで石の中になりかけた。
これは一体なんの冗談だろうか。
起き上がり、俺のほうを見た蒔寺が発した第一声は、とても穂群原学園に通う女子学生のものとは思えないものだった。
そう、たとえるなら小学校低学年?
まあ、普段の蒔寺も、頭の中がそれくらいのレベルなんじゃないか、と思えるような奴だったけど、実際にそういう喋り方をされると、当然激しく違和感があるわけで。
「ま、まきでら?」
「ん、なぁに?」
恐る恐る尋ねる俺に、元気よく答える蒔寺(小)。
やはり、いつもとは全く口調が違う。
でもとりあえず、確認は取らないと。
「ま、まきでらは、いま、何歳なの、かな?」
「ななさいー!」
「ぐほぁっ!?」
吐血的な何かが俺の口から迸った。
断っておくが、いくら発言が幼くっても、見た目は今までどおりの冬木の黒豹である。
なまじ、かつての姿を知っているだけに、今の姿のギャップは精神的にかなり堪える……。
けど、これではっきりした。
どうやら冗談でもなんでもなく、蒔寺楓の精神は幼時退行してしまったらしい。
しかも、聞いた限りでは十歳近く若返ってるようだ。
くっ……まさか、足を引っ掛けただけでこんなことになるとは、なんてお約束なっ。
「ねー、ここどこー? あたちのおうちは? そんで、にいちゃんだれ?」
「あー、うー……」
きょろきょろと辺りを見回す精神年齢一桁(推定)の蒔寺楓。
考えてみれば七歳の蒔寺は穂群原なんて知らないだろうし、見ず知らずの場所に居るのと同じなんだよな。
だが、それをどうやって説明すればいいんだ……?
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最終更新:2008年08月19日 03:47