451 名前: 仮面ライダールート#ED-1 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:47

――――美綴綾子は、暗いトンネルの中に倒れていた。


教会を構成していた石や木、そんなモノが偶然重なって生まれたトンネルのような隙間に倒れていた。

――前方には光。

強くは無いが、綺麗な――赤色の光。

それが出口なのだろうと思った。

砂利や石ころやらを押しのけてゆっくりと進み、穴から外にでる。



―――――そこは、赤い大地だった。

どこまでも、赤い地面が広がっていた。

空までも赤い。

それは、多分周囲でゴウゴウと燃えている焔の所為だろう、と美綴綾子は思う。

もう一度、一面の赤を見まわして、


―――そして、彼女は見つけた。






首に巻いた赤い布切れを、吹き荒れる風になびかせて独り立つ、衛宮士郎を。


――――――ああ、と美綴綾子は気付く。


衛宮士郎は、帰ってきた。

仮面ライダーに憧れた、あの少年は帰ってきた。

――振り向いた彼は、小さく少女に笑いかけ、

そして―――そのまま、倒れた。


「衛宮―――!」


後には、燃え盛る教会と、


少年に駆け寄る少女のみが、残された。


452 名前: 仮面ライダールート#ED-2 (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:48

……音がした。

 からりと引き戸を開く音がした。
 しん、と静まり返った土蔵に昼の日光が染み入るように広がった。

「――――っ」
 眠りから目覚めようとする意識が、
「なんだ衛宮、また土蔵で寝てたのか?」
 近づいてくる足音と、春の外気を感じ取った。

「……ん。おはよう、美綴」
「はい。おはよう……って、土蔵で寝るなよな」
 もう馴れてきたのか、美綴はあきれたようにに笑ってため息をついた。

「衛宮、もうすぐ昼飯だぞ。まだ時間はあるけど、ここで眠っていられたらあたしが藤村先生に怒られるんだよ」
「と……そうだな。よく起こしに来てくれた。いつもすまない」
「お、お前を起こしに来たんじゃないっ! 衛宮、いいかげん普通に部屋で寝ろっ!
 ……たく、なんであたしが毎回毎回お前をこんなふうに探して起こさなきゃいけないんだ」
 ……?
 何が恥ずかしいのか、美綴はいつもよりあたふたしている。

「……そうかあ。そんなに美綴に起こされてるかな、俺。
 けど藤ねえには起こされる前にたたき殺されるから、美綴の方が助かる。……うん、これに懲りずに次は頑張る」
 ……寝起きの頭で返答する。
 あんまり頭を使っていないもんで、自分でも何を言っているか判らなかった。
「これに懲りてがんばるんだろうが! ……でも頑張ってもらわない方が少し嬉しいけどな、あたしは」
 美綴は何故か一人でぐるぐるしていた。
 ……いかん。まだ寝ぼけていて、マトモな台詞を口にしなかったようだ。

「―――ちょっと待ってくれ。すぐ起きるから」
 深呼吸をして頭を切り換える。
 春の暖かい空気は、こういう時に役に立つ。
 暖気は寝不足で停止していた思考を、ゆっくりと暖めてくれた。

 ……目の前には同級生で弓道部の主将でもある美綴綾子がいる。
 ここは土蔵で、時刻は正午少し前、というところ。
「……衛宮?」
「ああ、目が覚めた。ごめんな美綴、またやっちまった。昼飯の支度、手伝うよ」
「この馬鹿。お前、昨日の晩もぶっ倒れるまで鍛錬してたろ? なら少し休んでろ。昼食の支度はあたしがやるから」
 ちょっと弾むような声で美綴が言う。
 ……変だな。今朝の美綴は怒ったり優しかったり極端だ。
「そういう訳にいくか。よし、目が覚めてきた。それじゃ一緒に作ろうか、美綴」
「あ……いや、その、衛宮」
「? なんだよ、他に何かあるのか」
「いや、そういうコトじゃないんだけど ……その、今日出発なんだろ?」
「ん……ああ」



―――――結局、あの後、俺は無事に助かった。

教会で起こった爆発に気が付いた遠坂が強引に病院を抜け出して駆けつけ、

衛宮士郎を治療してくれた。

でまあ、聖杯を壊したとか言ったら、案の定思いきり起こられた挙句、


『半年は絶対静養!』

の宣告を受けた。


それが、大体1年くらい前のこと。

――――状況は、大きく変わっている。


長野県の遺跡発掘隊の謎の失踪。

そして、それから同時期に起こり始めた連続猟奇殺人事件。

現場は、長野から――東京へと線のように繋がっている。


『アマダム』を持つ衛宮士郎にはわかる。
グロンギ族が復活したのだ。

―――――――衛宮士郎は、仮面ライダーである限り、奴らを撃破しなければならない。


454 名前: 仮面ライダールート#ED-BULE SKY (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:49

「――――藤ねえ、向こうの連絡先はわかってるよな?」

「一条さんの家でしょ?メモとったし!」

「俺が居ない間、美綴に迷惑かけるなよ?」

「わかってるわよー。あたし、コレでも先生なんだから!」






衛宮家の玄関前。

バイクに跨った衛宮と、藤ねえのなんとも緊張感の無い会話が続く。


なんでも衛宮が、
『警察官を目指して色々教わるために東京へ行く』という名目で藤村先生を説得したところ、

なんというかアッサリ承諾されて、知り合いの刑事さんの家に下宿させてくれ、しかも『ポレポレ』という喫茶店のアルバイトまで取り付けてくれたのだそうだ。

―――正直言って、見なおしました、藤村先生。



「衛宮!」

ぱたぱた、とドアからあたしは衛宮へと走り寄る。

「ん?どうした、美綴?」
「どうした、はないだろう。あたしだって、見送りしたいんだから」

うん、氷室やら牧村やら三枝やら遠坂やらから、強気で行け、とのアドバイスを頂いたのだし。

「――衛宮」
「……ん?」

ちょっとだけ背伸びをして、衛宮の肩を抑えると。
あたしは、強引に唇を重ねた。

「――――――!!??」

目を白黒させる衛宮に笑いかける。

「衛宮!東京行っても彼女なんか造るなよ……『あたしが』いるんだから…!」

―――衛宮の顔は真っ赤で、あたしの顔もきっと真っ赤で。






――――――――そして、衛宮は笑うと、行ってしまった。










バイクが走り去っていくのを見送ってから、あたしは家の中へと戻った。

何故だか藤村先生が固まっていたけれど、後数分もすれば帰って来るだろう。

なんとも無しにラジオをつけて、あたしは縁側に腰を下ろした。

《え――――それでは、本日最後の曲となりました》

あたしは充分満足だ、と空を見上げながら思う。

だって、あの最後の瞬間、衛宮は。

《―冬木のトラさんのリクエストで》

――――――幸せそうに、笑っていたのだから。


《青空になるよ》


456 名前: 仮面ライダールート#ED-BULE SKY (M8z3Z2VY) [sage] 投稿日: 2004/11/24(水) 01:51



《重い荷物を 枕にしたら》
《深呼吸 青空になる》



《目を開けてても つぶっても》
《同じ景色は過ぎてゆくけど》
《今、見てなくちゃ・・・気づけない》


《君を連れて行こう 哀しみのない未来まで》
《君がくれた笑顔だけ ポケットにしまって》
《僕は・・・青空になる》



《昨日のことも 明日のことも》
《ちょっと待って 口笛になる》



《走ってみても 歩いても》
《同じ場所には辿り着くけど》
《走り出さなくちゃ・・・変わらない》



《君を連れて行こう 争いのない未来まで》
《君と過ごした思い出を アルバムに残して》
《僕は・・・》



《君を連れて行こう 哀しみのない未来まで》
《君がくれた笑顔だけ ポケットにしまって》
《僕は、僕は・・・青空になる》




原作
 石ノ森章太郎
 TYPE-MOON




オープニングテーマ
 『THIS ILLUSION』


挿入歌
 『仮面ライダークウガ!』


エンディングテーマ
 『青空になる』









製作
  M8z3Z2VY

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スペシャルサンクス

TYPE-MOON総合板

パンツの中の人




―――――AND YOU―――!







Fate/stay night


MASKED RIDER

F I N


to be continured...
Masked-Rider KUUGA

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最終更新:2006年09月15日 09:38