371 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2006/08/06(日) 16:45:39


ざっ、ざっ。
ざっ、ざっ。

姿勢はまっすぐ、動かす手はリズム良く、目線は足元に。
箒によって巻き上げられた落葉が、右へ右へと移動していく。

今日は日曜日。
青空が広がるいい天気の下、ふと庭を見るといつの間にか落葉が目立つようになっていた。
流石に散るがままに任せておくわけにはいかないので、箒と塵取りを携えて孤独な戦場に参上した次第。ステージ1、衛宮邸(庭)、といったところか。

誰かに手伝ってもらおうかとも思ったが、それほど散らかりきっているわけでもないし、軽く片付ける程度、と考えていたので一人で庭を掃くことにしたわけだ。
以前セイバーに、手の空いている者がいるなら手伝わせるべきです、と言われたことがあるが、性分なんだから仕方ないよな、と最近の俺は開き直り気味。

「……よし」

ぐるっと見回して、ここ二時間の成果を確かめる。
始まる前はあちらこちらに散らばっていた落葉も、俺と箒一本の努力によって、今では庭の隅に積み上げられている。

「ちょっと、本気でやりすぎたか?」

見れば、集めた落ち葉の量はかなりのもので、ちょっとした小山だ。

「……いいか。誰が困るわけでもなし」

軽く片付ける程度じゃすまなくなっていたが、問題ないだろう。
……セイバーに見つかったら、また何か言われてしまいそうではあるが。

「ついでだ、玄関周りもやっつけちまいますか」

ステージクリア、次のステージへ。
より一層開き直ってしまった俺は、集めた落葉の始末は後回しにして、庭から直接玄関まで——

「………………をお?」

赴いたところで、思わず間の抜けた声を出してしまった。
何故って、玄関先には、見慣れないものが置いてあったからだ。
おかしい。朝見たときには、こんなものは無かったぞ。
その奇妙な落し物とは——

α:箱に入れられた子猫だった。
β:箱に入れられた赤ん坊だった。
γ:箱、というか大きなトランクだった。

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最終更新:2006年09月15日 05:53