211 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [空気読まないで投下sage] 投稿日: 2006/11/24(金) 03:24:20


「さっき、正義《レッド》の兄ちゃんを見かけたんだけど」

「は?」

 正義《レッド》の兄ちゃん?
 ……って、そういえば、確か以前、蒔寺たちが誰かのことをそう評していたような。
 というか、そんな呼び名で思い浮かぶ男など、一人くらいしか居やしないのだが。

 アーチャー。
 弓兵のサーヴァント、そして目の前に居る遠坂の契約者。

「本当に、興味深いお話ですね。
 いまどき正義のお兄さんとは」

 当の遠坂はというと、蒔寺の話を先に聞いていたらしく、にっこりと笑ったままだ。
 しかしアイツが、一般人の前に姿を現しただと……?

「なあ、アイツをどこで見かけたって?」

 俺が尋ねると、蒔寺はやや不審そうにしながらも答えてくれた。

「あ? 朝練が終わった後で、校門からこっち見てるのに気付いてね。
 戻りがけにもう一度見たら、もういなかったけど、ありゃあ正義《レッド》の兄ちゃんに間違いないね」

 英霊であるアーチャーが、一般人の蒔寺にうっかり目撃されるなど有り得ないはずだ。
 いや、どっかの金ぴかアーチャーはそんなうっかりをやらかしそうではあるが、少なくともこっちのアーチャーはしないはずだ。
 アイツが用もなく学校まで来るとは思えないし、こりゃ何かあるのか……?

「衛宮、あの兄ちゃんとは知り合いか?」

 俺が考え込んでいると、今度は蒔寺のほうから質問された。
 知り合い……知り合い、か。

「あー……まあな。
 ほら、前にランサーっていう男と会った事があるだろ。
 あのランサーと同じようなきっかけで知り合った奴だよ」

「あ、やっぱり。
 すごく運動神経よさそうだったし、そうじゃないかなって思ってたんだ」

 三枝が声を弾ませている。
 そういや、枝の上の子猫を助けたところを目撃してたんだったっけ。

「ほー、じゃああの正義《レッド》の兄ちゃんも何かの選手ってことか?
 なに? 短距離?」

 本業は弓、しかもビルの屋上からの狙撃が得意です。

「まあまあ、お話はそのくらいにしませんか?
 ほら、そろそろホームルームが始まりますし」

 遠坂に促されて備え付けの時計を見れば、確かに後数分もしないうちに予鈴が鳴ろうかという時間になっていた。
 いつの間にか、随分話し込んでしまったようだ。

「そうだな。じゃあな、遠坂、蒔寺、三枝」

「んだよー、中途半端なところで話をきるなよなー」

「じゃあね、衛宮くん」

「ええ、また後でね」

 三人に見送られて、3年A組の教室を出る。

「……さて、どうしたものか」

 小走りにC組まで急ぎながら、俺は今日の行動予定を考えていた。
 さしあたっては、昼休みだが……。


α:アーチャーが学校にいるかどうか探す。
β:遠坂が「また後でね」って言った時は話があるって合図だ。
γ:一成と昼食を取り、放課後に柳洞寺へ行くことを言っておこう。

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最終更新:2006年11月24日 10:41