602 名前: 運命夜行 ◆ujszivMec6 [sage 吊るされた男の逆位置] 投稿日: 2007/03/10(土) 21:43:36
新都駅前のバス停に行くと、ちょうど深山町行きのバスが発車するとこだった。
「おわっ、待った待ったぁ!」
慌てて駆け込み乗車。セーフ。
危ねえ危ねえ。これ逃したら確実に六時限目には間に合わねえとこだった。
この時間帯は帰宅ラッシュの直前なので、バスはわりと空いている。
悠々と座席に座って、窓の外なんぞを眺めてみる。
……ん? さっきの銀髪シスターがバス停にいる。バスに乗り遅れたらしい。
なんかすげえ悔しそうだ。いや、バスに乗り遅れたからとかじゃなくて、まるで「獲物を逃がした」と言わんばかりに。
……もしかして狙いはバスじゃなくてオレだったのだろうか?
「……なワケねえよなあ」
オレの方はあんなシスター知らないし。
校内をチャイムが鳴り響く中、階段を駆け上り、廊下を爆走し、教室のドアを開けて滑り込みセーフ!
「衛宮杏里、本鈴が鳴る前には着席しているように」
六時限目は倫理だった。
こうして、オレは無事に葛木の授業を受けたのだった。
放課後、士郎が2年A組の教室にやって来た。
「すまん、衛宮杏里はいるか?」
「む、衛宮の赤い方か。黒い方の衛宮ならほれ、そこにいるぞ」
「……氷室、赤い方ってのはやめてくれ」
どうやら氷室はオレたちを色で区別してるらしい。
「おーい、杏里、藤ねえがお前を探してたぞ」
「藤ねえが? なんでさ」
「なんでも何も、お前、今日の藤ねえの授業サボったそうじゃないか」
……げ。
そういや、今日の五時限目は、英語、だったような。
「藤ねえ、かなり怒ってたぞ」
「……だろうな」
「今にも虎竹刀の封印を破りそうな勢いだった」
「……助けてくれ、士郎」
「……すまん、藤ねえが相手じゃ、俺には助けられそうにない」
士郎ー!!
「じゃあ俺、これからネコさんの所にヘルプに行かなくちゃいけないから。桜には遅くなるって伝えといてくれ」
「テメエそれが助けを求める兄弟にかける言葉か!?」
「今回は杏里の自業自得だろうが。悪い事は言わないから、観念して謝って来い」
そう言い残して、士郎は去って行った。
……こんなことなら新都で遊んでいた方がよかっただろうか。
晩飯まで逃げ切れば藤ねえの怒りも少しは収まっていたかもしれん。
何でわざわざ虎のテリトリーに戻って来てしまったんだオレは!
こうなったら―――
死神の正位置:士郎の言うとおり素直に謝ろう。
死神の正位置:まだ諦めるのは早い! 晩飯まで逃げ切ろう。
死神の正位置:桜に仲介役を頼むというのはどうだ?
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最終更新:2007年03月10日 23:44