554 名前: ミルクナイト ◆M14FoGRRQI [sage] 投稿日: 2007/05/09(水) 03:34:21

「言峰神父!頼むから止めてください!」
なんでかはわからない。なんでかはわからないけれど俺は赤いのが悪霊だと言われても
言峰神父を止めるために声を張り上げていた。

「俺達の話を聞いていたのならあなたも知っているはずです!そいつも一応は三家と戦う
意思を示した協力者なんです!」
「なるほど。―どうやら君はこの男に情が移ってしまったようだな。だが衛宮士郎、
それこそが悪霊の常套手段なのだよ」

言峰神父は俺の方を見ようともせず悪霊要の武器を赤いのの額に向けて構えながら言葉を
紡いでいく。

「悪霊・悪魔・悪人、古くから現在まで呼称に悪の付くものは決まって同じ手段をとる。
彼らの言葉はあらゆる意味で魅力的に聞こえるだろうが、それはまやかしにすぎない。
もしその言葉に従ったならば、最後には魂まで喰らい尽くされるだろう。
この男についての話、及び藤村大河についてはその後で君達が納得するまで語ってやろう。
だから、君が正義を志すのならば、そして聖杯戦争での勝者となりたいのならば邪魔を
せず見ていたまえ」

長年こういった仕事をしてきたであろう言峰神父の言葉には強い説得力があった。
恐らく赤いのが悪霊なのも本当なのだろうし、悪霊が人に不幸を与えるというのも
間違いない。ゆえに神父は正しいし、それを止めようとする俺は間違っている。

理屈では納得できた。だが、それでも俺は赤いのを助けたいと思い続けている。
しかもその思いは言峰神父の言葉を聞いてから弱まるどころかさらに強まっているのだ。
ひょっとしてこれが悪霊に魅入られるという事なのだろうか?

ふと壁に打ち付けられた赤いのの方を見る。与えられたダメージそのものはランサーの
攻撃を喰らった時より少なそうで意識もはっきりとしている様だが、正体が悪霊だから
なのだろうか、精神的に相当追い詰められているらしく顔は青ざめており、反撃も回避
もしようとはせず、負け惜しみの言葉を吐く事もなく、ただ全身を小刻みに震わせていた。

その姿を見て気付いた。なぜ俺が赤いのを必死に助けようとしているのか、なんでこんな
藤ねえは踏むし俺を助けたと思ったら殺しにかかるし食事に文句はつけるしおまけに実は
悪霊だった奴を助けようとしているのか。

それはあの男が俺だからだ。もちろん俺と赤いのが同一人物という事ではない。
今現在圧倒的な力で押さえつけられ何もできずに自らの死が理不尽に迫ってくるのを感じ、
恐怖する事しかできない赤いのの姿、それは正に昨日と今日カレイドルビーに追い詰め
られた時の俺と同じ状況である。

俺があの日切嗣に誓った正義の味方になるという事、それは弱き人に手を差し伸べ、
一人でも多くの人の命を救う事だ。バゼットさんにランサーに赤いの、そして十年前に
俺に手を差し伸べてくれた切嗣の様に今度は俺が赤いのを救う番が来たのだ。
ここで奴を助けずに何が正義の味方か。言峰神父は武器を振り上げて除霊の為の詠唱
らしきものを唱え始めていた。これがラストチャンス―、力でも思いでも止められずとも
まだ手は残っている。絶対に成功させる!

【選択肢】
さあ始まるザマスよ:ハッタリで押し通す。
いくでガンス:色気でアタックする。
フンガー:バカミサイルを使用する。
カーイカイカイカーイカイカイユカイツーカイ怪物君は:さらなる力を手にする。

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最終更新:2007年05月11日 23:46