720 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/05/20(日) 00:35:16

不定期掌編『その頃の氷室さん』

「くしゅんっ」

「んあ? どした氷室、風邪か?」

「鐘ちゃん、大丈夫? 具合悪いの?」

「む……いや、体調は問題ない。
 誰かに噂でもされたのではないか?」

「そ、そう?
 でも、こないだ学校をお休みしたばっかりだし……」

「おいおい由紀っち、こないだも言っただろ?
 あれは病欠じゃなくてズル休み、衛宮とらぶらぶデートしてただけだっつーの」

「ら、らぶらぶ……でーと?」

「…………………………………………まあ、否定はしないが」

「うわ怖っ!
 なんだ今の氷室らしからぬ百面相っぷり!?
 あの氷室が笑ったり困ったり赤くなったりしてたぞ!?
 あまつさえその後に『否定はしないが』だとぉ!?
 お前本当に氷室鐘か!?」

「……君も大概に失礼な女だな。
 疑うなら、蒔の字がかつて夏の地方大会で巻き起こした例のエピソードについて詳細に説明してさしあげるが」

「ししし仕方ない、今日のところは引き分けにしといてやるぜっ!!」

「どこの敵役だ、それは……っ、くしゅん!」

「わ、また……」

「へー、二回目か。
 くしゃみ一回褒められて、くしゃみ二回で憎まれて……だから、今頃どこかで氷室の悪口を言われてるかもな」

「よく知っているな、蒔の字……しかし悪口か、心当たりは無くもないが」

「え、鐘ちゃん誰かに嫌われてるの……?」

「ほうほう、柳に風が身上の氷室女史も、嫌われる事があったのかい?」

「私だって人の子だ、万人に好かれるような性格じゃないのは自覚している。
 特に最近は黒い羽の…………っ、くしゅん!!」

「あ」

「……三回目かよ……」

「蒔ちゃん、くしゃみ三回だと、どんな噂なの?」

「……うがーっ!! そんなことをこのアタシに聞くんじゃねーっっ!!」

「え? ええ?」

「……ふふふ、そうか、三回か……」

「あれ? 鐘ちゃん、なんでそんなに嬉しそうなの?」

「ん? そう見えるかね? ……まあ、否定はしないが。ふふ」


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最終更新:2007年05月20日 01:49