878 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/05/23(水) 21:44:32

「まず、水銀燈と出会ったのは……もう、一週間前になるのか。
 たまたま、鞄を拾ったら、中に入ってたのが薔薇乙女《ローゼンメイデン》で……」

 薔薇乙女《ローゼンメイデン》……それは、人形師ローゼンが作り出した、七体の少女型のドール。
 その美しさは、ローゼンが天才的な腕の持ち主だったことを証明するかのように、精巧で、そして緻密。
 俺が見つけたのは、薔薇乙女《ローゼンメイデン》第一ドール、水銀燈だった。

「それで、目を覚ました水銀燈と契約をして、ミーディアムになったんだよな」

 ミーディアムとは、目覚めたドールに力を供給し、より強い力を使えるようにするための媒体だ。
 そして、その証として、左手の薬指に薔薇の指輪を付けられることになる。

「水銀燈は……『ローザミスティカ』っていうもののおかげで生きてるらしいけど。
 それって、魂、みたいなもんなのか?
 じゃあ、ローゼンって第三魔法を……?」

 薔薇乙女《ローゼンメイデン》は、自分の意思で考え、行動するドールだ。
 それを可能にするのが『ローザミスティカ』……薔薇乙女《ローゼンメイデン》の魂だ。
 薔薇乙女《ローゼンメイデン》は、それぞれこの『ローザミスティカ』を一つずつ、その体内に宿している。
 それによって、彼女たちは、自分の意思を持つ事が出来るのだという。

「そして、水銀燈たち、薔薇乙女《ローゼンメイデン》の目的は……『アリスゲーム』に勝利して、究極の少女『アリス』になること」

 人形師ローゼンが求めた究極の少女……それが『アリス』。
 余人から見れば完璧に見える薔薇乙女《ローゼンメイデン》でさえ、ローゼンにとっては究極にはなりえなかった。
 ローゼンはドールたちに『ローザミスティカ』と、『アリスゲーム』という目的だけを与え、彼女たちの前から姿を消した。

「なんか、無責任な話だな。
 自分が作ったドールを置いて居なくなって、しかも、ドール同士の殺し合いをさせるなんて」

 『アリスゲーム』の目的……それは、他のドールが持つ『ローザミスティカ』を、全て集めること。
 『ローザミスティカ』を全て集めることが出来れば、薔薇乙女《ローゼンメイデン》は究極の少女『アリス』になることができるらしい。
 そして、『アリス』となった薔薇乙女《ローゼンメイデン》にのみ、創造主ローゼンはその姿を現すのだそうだ。

「ドールの力は、実際に『nのフィールド』で見たけど……あれ以外にも、いろんな場所に通じてるって言ってたな」

 『nのフィールド』は、薔薇乙女《ローゼンメイデン》が鏡などを通して侵入する事が出来る亜空間のような場所だ。
 そこからは、様々な場所に繋がっていて、人の無意識にすら干渉する。
 薔薇乙女《ローゼンメイデン》は、基本的に『nのフィールド』を舞台にして、戦いを行っているらしい。

879 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/05/23(水) 21:46:07

「薔薇乙女《ローゼンメイデン》は全部で七体。
 そして、俺が今まで見た事があるのは、水銀燈、雛苺、真紅、そして薔薇水晶って奴の四体……いや、四人って言うべきなのか?」

 雛苺は、氷室がミーディアムだったが、今はもう契約を破棄している。
 契約を破棄した薔薇乙女《ローゼンメイデン》は、力の供給を絶たれるため、必然的に敗北したに等しい扱いになる。

 真紅は、アーチャーをミーディアムにしている。
 ミーディアムが英霊だという点で、戦力としては反則に近いのだが、真紅の性格上、少なくとも自分から戦いを挑むことはないだろう。

 問題なのは薔薇水晶。
 こいつが恐らく、アーチャーやキャスターの言っていた「新都に居る好戦的なドール」なんだと思う。
 ただ、好戦的と言ってもバトルマニアだというわけではないらしく、真紅に対して甘い言葉で誘ってみたりもしていた。
 策も弄するのも辞さず、最終的に勝ち残っているのが自分であればいい……そんな、一番厄介なタイプなのかもしれない。
 また、こいつには、未だに姿を見せない、正体不明のミーディアムが居る。
 キャスターの話では、そいつはどうやらサーヴァントであるらしい……可能性としては、ランサーかギルガメッシュあたりなのだが……。

 そして、最後に……。

「水銀燈、か」

 水銀燈も、どちらかと言えば薔薇水晶と同じく戦闘には肯定的な考えの持ち主だった。
 但し、その行動理由は、お父様……ローゼンに認めてもらうため、という一念に拠るところが大きい。
 だから、ローゼンが求める究極の少女になるために、他の何を振り切ってでもその座を得ようとしているのだろう。

「ううん……こうして思い返してみると、一週間の間にホント色々あったよなぁ……」

 まあ、聖杯戦争の時ほどじゃないけど。
 さて、情報の整理は一区切りついた。
 次は、いよいよ……。

「これからのこと、だよな……」


α:とにかく水銀燈を探して、もう一度話をしよう。
β:いや、今は会ってもさっきの二の舞になる。今はまず、冷静に考えるべきだ。
γ:俺ができることはもう何も無い。後は水銀燈を信じて待とう。

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最終更新:2007年05月24日 21:52