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853 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/08/30(木) 23:21:46

全員何も言わず、蹲っていた・・・。
無理もない。せっかくゴクウが助けてくれたというのに、私達はこれから星の爆発に巻き込まれて死ぬのだもの。――――まだ小規模な試練ならば乗り越えられる可能性はある。しかし、星そのものの爆発では、逃げる場所がないではないか。

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

無言。誰も口を開こうとしない。
当たり前だ。ここで笑い話でもしようものなら、そいつは馬鹿か、余程の大物のどちらかに違いない。皆・・・・・何も話さない。

――――――遠くから、雷が落ちたかのような轟音が鳴り響く。・・・・・ゴクウと、フリーザの戦いだ。音だけで彼らがどれほど凄まじい戦いをしているのか判る。・・・これからナメック星が爆発するというのに、何もないように戦いに没頭している。――――彼はこの破滅的な状況に絶望しないのだろうか?

―――――もうこれがチェック・メイトなのだとしたら・・・・・避けることがかなわないのならば・・・・・せめて最後まで悪あがきをしてみよう。せめてこの騎士王の誇りだけは守りきろう。最後まで、足掻くんだ・・・・。

「―――シロウ。もしあなたが生きたいと願うのならば・・・・最後の最後まで足掻きましょう。最後まで、生き汚く、可能性を隅まで模索し尽し、やれるだけのことをやりましょう」

        • 彼は軽蔑したかもしれない。―――去り際は潔く。それが最も美しい最期なのだから。あまりの見苦しさに私を見捨てるかもしれない。でも、私はこの最後に残された時を、黙って静かに過ごしたくなどないのだ・・・。

「・・・・そうだな。うん、セイバーの言う通りだ。悟空さんの残してくれたチャンス、出来る限りまで有効に使うんだ。俺達は、地球へ帰る」
「お、おいおい、正気かよ・・・。お前、衛宮・・・今から星が丸ごと爆発するってのに、どうするってんだよ・・」
「それでも何かあるはずなんだ。慎二、一緒に探そう。・・・・今まで幾度も死に掛けたけど、それでも俺達は生きてきた。俺達は生きてるんだよ!なら・・・やることがあるはずだ」

先程まで蹲っていたキャスター、そしてゴハンも立ち上がり、じっと私とシロウを見つめる。その瞳には、まだ光が輝いていた。

「やりましょう。おとうさんが残してくれたチャンス・・・ボクは無駄にしたくない!」
「・・・・私ともあろう者が不覚だったわ。私は魔女。常識では不可能と言われても、私の魔術で可能にしてみせるわ。そして・・・地球に帰ってみせる」
「シンジ、あなたは・・・・?」
「畜生・・・僕だけいいえって言える訳ないだろ!わかったよ、やるよ!でもまずどうすればいいんだよ!?」

皆の生きる覚悟に、勇気がわいてくる。こんな所で私達は死なない。死んでたまるか!
脱出のために知恵を振り絞る。まずは何をするべきか。

「・・・・令呪を使って脱出、というのはどうだろ?ここと地球との距離は相当あるけど、元々聖杯があるのは地球だし、それを受信器にしたら、何とかならないか?」
「うーーん・・・・私が思うに、それは難しいわ。本来サーヴァントは、聖杯の間にマスターを据えて召喚されるわよね?マスターをアンテナ代わりとするならまだしも、聖杯をアンテナ、というのはちょっと無理があるわ・・・。
私だったら何とかなったけど、生憎、受肉の際に聖杯の縛りが解けちゃったみたいなの。宗一郎様に呼びかけて令呪を使ってもらう、という方法は出来ないわ・・」

ふむ・・・。ならばまた聖杯の複製を作り、地球の聖杯と繋げる、ということはどうだろう?

「駄目よ。肝心の魔力がないし、英雄王の傷をみてごらんなさい。あれは四人揃ったからこそ出来た大魔術よ?」
「で、ではどうすればいいというのですか!」
「それを考えてるんじゃない・・・。熱くならないでちょうだい」

歯がゆい。でも、何かあるはずなんだ。何か・・・・。
皆も必死に頭の中をまさぐり、アイディアを振り絞ろうとしている。・・・・こんなことならば、私も魔術に関して勉強しておくべきだった。

854 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/08/30(木) 23:22:40

「・・・あ!な、なぁ、それならサーヴァントをここに召喚しちまえばいいじゃん!?サーヴァント同士だったら、聖杯とかマスターとかややこしい間柄じゃないし、素直に呼び出せるはずだぜ!」

サーヴァント・・・・サーヴァント・・・・。
己のではない、他人のサーヴァントに令呪を行使するだなんて・・・・。でも、確かに私達は同じ聖杯に繋がった、端末同士だ。理論的なことはいまいちわからないが、でも何かピンとくる感じがした。もしかすれば・・・それが正解なのかもしれない。

「・・・キャスター、どうかな?」
「令呪はあくまでも自分のサーヴァントにしか効かないのだけれど・・・・悪くないかも。早速、呼び出してみましょう。・・・でも成功するとは限らないわよ?」
「シロウ、令呪を・・・」
「わかった!」

少年の手の甲が光り輝く。令呪、発動――――――。

「地球にいるサーヴァント達よ!誰でもいいから、ここ、ナメック星に来てくれ!!」

キャスターは目を瞑って祈り、わかめもお経をあげている。恐らくこれが最後の策だ。時間もない。頼む、成功してくれ――――!
辺りが光に満ち溢れ・・・・それが集約し、人の形と成っていく・・・・。私達の願いが通じたのか、それは見慣れた赤い弓兵へと姿を変えた。

「ア、アーチャー!?」
「――――ふむ。小僧、貴様の声、聞こえたぞ。どうやらリン達の令呪だけでなく、ナメック星にいる者の令呪も必要だったようだな」
「やった!み、みんな僕に感謝しろよな!僕のアイディアなんだから!」
「・・・・ええ、感謝するわ」
「でかした、慎二!」
「ありがとう、わかめさん」
「やりましたね、シンジ」
「・・・・お、おう、どうよ!」

こればかりは本当にわかめのおかげだ。感謝しなければなるまい。
―――弓兵は辺りをキョロキョロ見回した後、私達に振り返り、手を差し伸べてきた。

「詳しい話は後だ、脱出しよう。・・・・・そら、早く掴まんか。急いでいるのではなかったのか?」
「は、はい。で、でも、ゴクウは・・・」

ゴクウの名前を出した時、それまで気絶していたギルガメッシュが顔を上げ、私達を一喝した。

「馬鹿者!・・・・放っておけ。それが礼儀だ」
「し、しかし・・・」
「構わん、我が許可する。手を出す者は、我が許さん」
「・・・・・」

まさか傲岸不遜の彼の口から礼儀という言葉が出てくるとは・・・・。ゴクウの執念は知っている。死んだクリリンのため、彼は意地でもフリーザを倒す気だ。・・・・確かにそれを邪魔するのは礼を失する行為であろう。相手を敬う気持ちがあるならば、放っておくのが一番良いのかもしれない。・・・・・・例えゴクウが死ぬことになろうとも。

「・・・フン、よもや貴様がそこまで入れ込む男がおるとはな。セイバー、せっかくの助言だ。早く飛ぶぞ」
「ええ・・」

全員アーチャーに掴まり、同時に地球にいるリンの令呪の発動により、地球へと消えていく・・・。

さらばナメックの星。短い間であったが、奇想天外な冒険と、夢をありがとう。そして・・・・ゴクウ、ありがとう。必ず、ナメック星から生きて帰ってきてください。帰ってきたら、共にシロウが作ってくれたご馳走を食べましょう。笑って、このナメックでの思い出を語り合いましょう。

様々な想いをこの星に残し、私達は地球へと消え去った。



1、最後の願い
2、宇宙へ旅立つ悟空
3、夢の終わり

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最終更新:2007年09月01日 02:53