864 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/09/01(土) 01:08:08
――――目を開けると、そこには見慣れた和風建築があった。
大きく立派な屋敷。いやに広い庭。誰もここの住民がかつては年端もいかない少年のみだったとは思わないだろう。
「――――俺の家だ。地球に、帰ってきたんだ・・・」
空を見ると・・・青い。太陽は一つだけ。時刻は昼、か。地面に生えてる草も、よく知っているものだ。
「――――――や、やったぁーーー!僕達は、帰ってきたんだぁーーー!!!」
「へへっ、やったな、慎二!」
「・・・・やったわ」
「――――リン達マスターに感謝するんだな。彼女達が動かなければ、お前達は死んでたぞ」
そういえば、縁側にリンや桜、バゼットが立っていた。・・・・すぐに気付いてやれなかったことが悔やまれる。
特に―――リンがじっとりとした目で、こちらを見つめていた。
「ふん、いい気なものよね。こっちはアンタ達を助けるために大変だったんだから。・・・・せめて行く前に一言くらい相談してくれても良かったんじゃない?」
ぷんぷんと怒るリンに対し、シロウがあたふたと「ゴメン」を連呼する。確かに彼女の言うとおりだが、あの時はフリーザ共がいるなど思ってもみなかったのだ。
「リン、それよりもこやつをどうしたものかね?どうやら瀕死のようだが・・・」
「・・・ギルガメッシュがこんな目に遭うなんてね。その隙を狙って討つ、だなんてナシよ?早く治療しましょう」
「――――ふむ、相変わらず君は優しい。私ならこんな絶好の機会、逃さないがね」
一言二言のいがみ合いを終えたあと、呆然と直立している私達に向き合うリン。
ギルガメッシュがアーチャーに抱えられ、どこかへ運ばれていった後・・・リン、そして桜も加わって説教が始まり、何も敷かれていない地面へ正座させられる。・・・直後――――庭先に光が発生した。
「ん、他のサーヴァント達も帰ってきたようね。・・・ナメック星人かぁ、どんな容姿をしてるんだろ?」
「えっ、リン?ナメック星の人達は、フリーザ一味に全滅させられたはずですが・・・・」
まずライダーが現れ、ランサー、バーサーカー、アサシン、・・・・・最後に、見たこともない、全身に模様が刻まれた男が現れた。その誰もが、大勢のナメック星人を抱えている。・・・・その中には死んだデンデ、そして最長老殿がいた。
「あっ!デ、デンデ君・・・最長老様・・・し、死んだはずじゃあ・・・」
「ふむ・・・確かに私は寿命を迎え、死んだ。ですがこちらのドラゴンボールにより、生き返ったようだ。・・・もっとも、寿命が延びることはない。後一刻もたたぬうちに、私は再び死ぬでしょうが・・」
地球のドラゴンボール・・・・。
そういえば、そもそもゴハン達はこちらのドラゴンボールが消えてしまったから、ナメック星に行ってきたのだ。それがピッコロという人物が甦ったことにより、地球のドラゴンボールが復活したのだ。そして誰かが願いを叶えて、彼らを生き返らせたのだろう。
「これで全員、か。―――生憎と、私は殺しが専門なのだが・・・。魔術師殿が待っている、去るとしよう」
「■■■■■■■ーー!!!」
「ち、この俺が人助けだなんて・・・一生の汚名だぜ。じゃーな、お前ら。多分一生会うことはないだろうさ」
抱えていたナメック星人を離した後・・・・アサシンとバーサーカーと見知らぬ黒い男は去って行った。―――何故だかバゼットの表情は寂しそうであったが。
そのすぐ後・・・・信じられないことだが、空からナメック星の七つのドラゴンボールが、最長老殿の下に降り注いだ。持ち主を追って、飛んできたのだ。
「石から元のボールに戻っていますね・・・。そういえば、最後の願いがまだでした。シロウ、どうしますか?」
「えっと・・・・慎二、お前はもういいのか?」
「・・・・・・構わないさ。自分の力で目指すって決めたからね。その内お前に追いついてみせるって」
わかめの意外な辞退に驚く。あれ程魔術師に固着していたというのに、どういう心境の変化なのだろう?ナメック星での体験が、彼を変えたのだろうか・・・?ならば願いは一つだけだ。ゴハンもそれを悟っているらしく、おずおずと口を開く。
「士郎さん・・・」
「うん、わかってる。悟空さんのことだろ?・・・・そろそろ決着はついているはずだ。星の爆発も迫っている。・・・・・彼を、ここに呼び戻す」
「願いを叶えるのならば急いだほうがいい。私の寿命も、もうすぐ尽きようとしていますから」
865 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/09/01(土) 01:09:11
「緑色の坊や!」
「はいっ!」
デンデの呪文により、再びあのドラゴン、ポルンガが呼び出される。空は暗くなり、巨大すぎる彼が呼び出された。
「すっ、凄いわね・・・これが何でも願いを叶える龍かぁ・・・・ふひひ」
「姉さん、いやらしい笑い方をしないでください・・・」
「デンデ、あの・・・・もし、ゴクウとフリーザの勝負の決着がついているのなら、ゴクウを地球へ転送してくれ、とポルンガに言ってください!」
「決着がついたら、ですか・・・?はい、わかりました」
デンデが不思議そうに私を見つめる。・・・そう言ったのは、やはり未決着のまま彼を転送するのは躊躇われたからだ。それにギルガメッシュの言葉も重用したい。
――――そうしてナメック語による願いは叶えられた。
「(ゴクウ、どうかフリーザを倒し、無事でいてください・・・)」
ポルンガの目が、パッと光る。
胸が高鳴る。どうなったのか?ゴクウは帰れるのか!?・・・・願いは成功するのか!?
(・・・・・決着はついたようだ。―――願いは叶えたぞ。さらば!)
役目を終えたポルンガは消え、空に浮かんだドラゴンボールは四方へと散っていく。そして――――私達の願いが通じたのか、何もない所から傷だらけの、金髪じゃない、黒髪のゴクウが現れ・・・・・地面に倒れた。
「おとうさん!」
「ゴクウ!」
ゴハンと一緒に、慌ててゴクウが倒れている場所に駆け込む。・・・・擦り傷、打撲、骨折・・・・見事なまでにボロボロだ。
デンデに視線を向ける。一瞬でその意味を理解したデンデが、ゴクウの所へ駆けつけ手を当てた。そしておぼろげな光を発し傷を癒す。・・・ゴクウも回復したのか、口を動かし始めた。
「う・・・く、ここは・・・どこだ・・」
「地球です。ドラゴンボールの力で、あなたを地球に転移させました。・・・・決着は、つけたのですか?」
「・・・・・・・ああ」
戦いが大好きなゴクウなのに・・・・勝利の知らせは、妙に元気がなかった。何でだろう?
―――それより、ゴクウが帰ってきたのだ!祝おう、盛大に!
「おとうさん・・・・帰ってきてくれて、良かったです・・・!」
「・・・ああ、心配かけて、すまねぇ」
「へへっ、ハッピーエンド、か。悪くないじゃないか」
「苦労したからな・・・。慎二、お前もよくやったよ」
「・・・私は宗一郎様の所に戻るわ。知らせたいこともあるしね。それじゃ失礼するわね。・・・・さようなら」
「デンデ、ギルガメッシュとベジータも回復させてあげてください。二人とも重症ですから」
最初ベジータを回復させることだけは嫌がっていたデンデだったが、何とか説得し、ベジータの下まで行かせる。・・・彼もまた、この勝利の貢献者なのだから。
「孫君も無事戻ってきたしね・・・・・って、そうだ、クリリン君のこと・・・」
賑わっていた場の空気が、一気に冷める。不覚だった。クリリンのことを一瞬忘れてしまうとは・・・。
―――ゴクウは無念の顔つきで、下を向いている。
「あの、悟空さん。地球のドラゴンボールも甦ったみたいだし、ナメック星のドラゴンボールもある訳だし、それらを使って甦らせられないかな?ドラゴンボールって何でも願いが叶うみたいだし・・・・」
「・・・・・・・無理だ」
「なんでさ!」
歯を食いしばりながら、無念を顔に宿らせ、ゴクウが口を開く。
「あいつは一度死んで甦っている。二度死人を甦らせるのは、ドラゴンボールでもできねぇ・・・」
「そんな・・・・」
冷めた空気が更に重く澱む。クリリンはもう、生き返れない。いや、死んだ人物を甦らせるなんてことが、そもそも都合が良かったのかも・・・・。
「―――いえ、地球のドラゴンボールはともかく、ナメック星のものは何度でも死人を甦らせることが出来ますよ」
「何だって!?そ、そりゃホントかい、じっちゃん!」
「え、ええ・・・。その代わり、私はもう死ぬ。代わりにムーリ、お前が私の後を引き継ぎなさい・・・・」
「はい・・」
多くのナメック星人から一人が前へ出、最長老殿の手を包む。続いて周りにいる彼らも、一人、また一人と最長老殿の手を包んだ。
――――最長老殿は微笑を浮かべ、多くのナメック星人に見守られながら・・・・息を引き取った。
866 名前: Fate/Ball TM ◆QWcajfuhO. [sage] 投稿日: 2007/09/01(土) 01:09:57
―――三ヵ月後
「バグバグバグバグ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「す、凄いですね、悟空さんって・・」
「は、ははは・・」
――――驚いた。私もそれなりに食べるのを自覚していたが・・・・それでも彼を見ていると食欲が失せてくる。テーブル一面に、大皿で並ばれた料理を、まるでわんこソバのようにペロリと平らげる。
「おかわり!」
「・・・・もう食材なんてないよ。ぎ、ぎぶあっぷ・・・」
もう冷蔵庫は空だ。これでも数日分の食料なのに・・・。
「ま、いっか。腹八分目っていうしな」
「「「「「ギャフン!」」」」」
本当に、彼には色々驚かされる・・・・。
「・・・あ、そうそう!セイバー、大ニュースがあったんだ!キャスターと葛木、今度正式に結婚式挙げるんだってさ」
「ええっ!!?それは真ですかっ、シロウ!!!」
まさかサーヴァントとマスターが結婚式とは・・・・。いや、しかしキャスター、戸籍はどうしたんだろう??まさか○○○・・・?
「あ、それ私も知ってます。キャスターさん、とても幸せそうでした・・・・。同じ女として、やっぱり憧れますよ」
あの後・・・・・。
多少は変化があるとはいえ、私達はいつも通りの日常を送っていた。次にドラゴンボールが復活するのは三ヵ月後――――――。それまで、私達は思い思いの日々を過ごしていた。
一番得る物があったのは、やはりキャスターだろう。
受肉する願いを叶え、彼女は正真正銘の人間となった。聖杯の繋がりだって消えたし、子どもだってできる。よって、彼女は葛木に猛烈にアタックしているとか。それが実っての結婚式だろう。
そして次にわかめだ。
彼も何を思ったのか、それまでのウジウジした所がなくなり、以降、魔術回路を開く鍛錬を重ねているらしい。桜曰く、別人のようだとか。――――間桐の鍛錬は虫を使う。彼にとっては茨の道だろうが・・・・それでも密かに応援してあげたくなる。
英雄王は・・・・。
回復したのち、教会へ帰っていったのだが、無断で何日も出て行ったことで、マスターにこっぴどく搾られたとか。そのせいか、長らく子どもモードに入っている。
私やシロウにとってはこれといって変化もなく、衛宮低に遊びに来たゴクウやゴハン、ブルマ達と遊んだり話したりしている。以前とは比べ物にすらならなかった強さも、聖杯に登録されたデータに沿って、徐々に弱まっていった。――――まぁ、聖杯との繋がりをなくしたキャスターが、現時点ではサーヴァント最強だったりするが。
「そういやさ、そろそろ三ヶ月経つだろ?もうナメック星のドラゴンボールも復活してるだろうし、探しに行こうぜ!早くクリリンを生き返らせてやりてえ」
「よっし、それじゃあブルマさんにドラゴンレーダーを借りに行こう!・・・へへ、今度はなるべくトラブルがないといいな」
「シ、シロウ、また行く気ですか?」
「うん。このままじゃ終われないしね。クリリンさんを生き返らせてからじゃないと」
- 呆れた。あれだけ酷い目に遭ったというのに、彼は全く懲りていない。目をキラキラさせ、まるで幼い子どものようだ。
「まったく・・・・。わかりました、わかりましたよ!行きましょう、再び!」
「へへっ、そうこないと!」
「先輩、今度は私も連れて行ってください!お願いしますっ!」
「サクラがそう言うのなら・・・・士郎、私も連れて行ってください」
「あ、あなた達まで来るのですか・・・。これは賑やかになりそうだ」
――――まだ私達の冒険は終わっていない。
ドラゴンワールドは、もうちょっとだけ続いていたりする。
Fin
最終更新:2007年09月01日 02:54