151 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA :2007/10/26(金) 16:43:30

(悪い話から言え。手遅れにならないうちに、一刻も早くにだ)
(さっすがー、すんごいネガティブですねマスター)
(早くするんだ)
(はいはーい、えーとですね、この部屋にもうすぐ来ます、別のマスターが)

悪い話から聞いておいて正解だった。この男の事だ、悪い話を後回しにしていたら敵が
きてから、「実は悪いニュースというのはここに敵が近づいているという事でした。
あははー」とか言っていたのだろう。

私はハサンが「この部屋に」と言った辺りでさっきまで戦っていた相手が逃げるのに
使ったのとは別の扉から脱出していた。疲労の溜まりきった足に無理をさせ、廊下の
真ん中辺りまで一気に辿り着く。

(マスター逃げるのはやっ!このヘタレめー!)
(魔力を使い切ったばかりの私に連戦しろと言うのかお前は)
(ちなみに逃げなかった場合は頑固者、逃げられなかった場合はノロマと罵る予定でした)
(・・・普通のニュースといいニュースとやらも聞かせてもらおうか)
(スルーですか、ハサン少し悲しいです。まあいいでしょ、それじゃあいいニュースから)

その場に腰を下ろし、休憩しながら残りの話を聞く事にする。とっさの判断とはいえ
我ながら悪くはない避難場所だ。
部屋から通じる扉が七つに対して廊下は二つ、敵に見つかる確率は単純に考えて
半分以下になる。しかも、こうして中間点に座っていれば廊下の歪曲のおかげで入り口
からは見えないので入り口の扉を開けられても運がよければやりすごせられる。

(ではいいニュースです。先程の戦いの結果マスターは見事勝利。バゼットさんは脱落と
なりました)
(バゼット?)
(バゼット=フラガ=マクレミッツ、先程までマスターが戦っていた相手の名前ですよ。
もう脱落したんだし名前を隠す必要もないですからね。こう呼んだほうが分かりやすい
でしょ)
(しかし、彼女は)
(はい、まだ生きていますよ)

いったい何を言っているんだこいつは。生きているのならすなわち脱落はしていないと
いうことだ。発言の前後が明らかに矛盾している。

(彼女は自らの切り札によりあなたの魔術を無力化し、あの状況を切り抜けましたが
発動のタイミングが遅れたせいで完全には防ぎきれなかったみたいです。運悪く片腕を
負傷し、しかもそれが令呪のある方の腕だったんですよ)
(そういう事か)
(はい、現在彼女とのラインが切れちゃってます。つまり生きてはいるがマスターでは
ないという事です。そして今後マスターとそうでないものが出会ったなら・・・?)

バゼットはなすすべもなく今度こそ敗北するのだろう。マスターで無くなった以上、
相手はハサンの支援を受けながら戦えるのだから。

152 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA :2007/10/26(金) 16:44:41


事実上強敵が一人脱落した。それ自体は喜ばしい事なのだが、さっきの発言事態に気に
なる事があった。

(しかしハサン)
(はい、質問ですか〜?)
(お前は直接自分の手ではこの建物内のマスター以外の人間を処分できないのか?)
(いえ、出来ますよ。極端な話ですが、ここにいる全てのマスターが肉体ごと強引に
令呪を切り離したりした場合は、私は全力を持って相手をしてやりますよ。ただし、
そうではない場合、先程の例の様な緊急事態でない限りは私が直接動く事はありませんよ。
だって、そんな事したら私の拷問術が皆さんに見てもらえる機会が減るじゃありませんか。
私は観客のいないショーなんてまっぴらごめんですよ)
(どうせ戦うのなら、英霊としての自分の技量を現代の魔術師に見てもらいたい、
そういう事か?)
(んー、少しニュアンスが違いますね。聖杯から得た現代の知識で例えるなら私自身が
今すぐに彼女を処分するのが個室ビデオ、他のマスターと共にいる時にマスターを
助けるという名目でやるのが夜の公園での公開露出プレイ、後者の方が遥かに興奮
するという事が分かっていただけるでしょうか)

英霊として明らかに間違っている言葉の選択。その下劣さに対し私はすぐには返事が
出来なかった。

(私の拷問は拷問を受けている側の悲鳴と拷問を仕掛けた側の、この場合は私のマスター
の誰かの表情が移り変わって行く様子と合わさって初めて完成と言えるのです。
最初は私の攻撃方法に拒絶をしようとも、やがては私に促される事なく、私と一緒に
動けなくなった敵の背中に鋸を引くようになる。嘗ては理想を目指していた高潔な
魔術師が愚鈍な一人のサドに変わる瞬間の顔、これですよ。嗚呼、早く誰かがバゼット
さんと出会ってくれないかなぁ♡)
(意味としては理解したが、共感はできんな)

今まで悪趣味な奴だとは思っていたがこいつに対する考えを改めなければならない。
こいつは悪趣味なのではなく悪そのもの、人の道を踏み外した外道。私の一族が狩って
きた者達。
もし、この様な状況でなかったなら、こいつに命を握られた状況でなかったなら今すぐ
にでも舌を引っこ抜いて黙らせてやりたい。

(それでですね、最後に普通のニュースなんですが)
[選択肢]
イ.今すぐ来た道を戻りハサンの力を借りずにバゼットと決着を付ける。
武士の情けとか悪魔狩りとしての使命感とかではない。
それが今私がハサンにしてやれる最大の嫌がらせなのだから。
ロ.ニュースを聞きながらリラックス。全ては聖杯の為。
ここに来るまでに私が失ったものに比べたら他人、それも競争相手の命や尊厳がどう
扱われようと気にするものではない。

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最終更新:2007年11月17日 13:04