442 :もしハサ ◆yfIvtTVRmA :2007/11/10(土) 07:52:03
「分かった、話を聞いてやってもいい。だからまずはそれを返してもらえないか」
自分でも無茶な要求をしているのは分かっている。相手が私に対して強気に出られるのは
武器を奪ったという事実によるところが大きいからだ。ゆえにこの要求にどう応えるかで
相手の真意と誠意というのが見えてくる。
程無くして拳銃二丁とホルスターが廊下を滑って私の下に返ってきた。
罠を仕掛けられたり、銃弾を抜かれた様子も無い。
とりあえず、戦闘を続けるかどうかは話を聞いてから決めてもいいだろうと判断。
彼女の方に銃を構え私は言う。
「それでは話を聞かせてもらおうか」
もし、情報が有益ではないと判断できた時、あるいは話に嘘が混じっていると感じた時に
すぐさま引き金を引ける体勢で彼女の話を聞く事にした。
「えっと、私の提案というのはですね、単刀直入に言うと——————————」
完全に意表を突かれてしまった。てっきり彼女は論理的な話の組み立てや感情論で
マスター同士の戦いを止めようと私に訴えかけるのだろうとばかり思っていたのだが、
この提案は完全に予想外である。しかし、彼女のいう方法なら、聖杯を手にする必要が
なくなる。すなわち、私の戦う理由も消滅する。おまけに聖杯に願いを言うよりも
確実な手段である様に感じる。
だがこの方法での解決は、まさしく悪魔に魂を売る行為そのものではなかろうか。
「いいだろう、君の考えに私も賛成する」
銃を降ろし、ゆっくりと部屋の中の彼女の下へと歩み寄る。
例え、彼女の提案が悪魔からの囁きだったとしても構わない。そう思える自分自身に
対して、喜びも悲しみもなく、ただ変わってしまったのだとだけ思った。
かつての私なら今、この瞬間にも彼女に向けて引き金を引いていただろう。
だが、私の悪魔狩りとしての人生はかつての仲間達を返り討ちにしたあの日に既に
終わっていたのかもしれない。
この男の話はここでおしまい。そしてこの物語もいよいよ折り返し点です。
それでは次章のタイトルを選んでください。
[選択肢]
イ.もしも猫の手も借りたかったら
ロ.もしも自分の人生にもう選択肢なんて存在しなかったら
ハ.もしも姉が言う事を聞いてくれなかったら
ニ.もしも(もしも)夢の中(夢の中)ハさんに(ハさんに)であったなら(であったなら)
風吹く砂の道〜ハさんに出会ったなら〜
最終更新:2008年01月17日 18:22