南場さん視点
「あ。ほらほら来たっすよ」
「は、早いんですね」
「これぐらいが普通………」
国内店舗数最多の牛丼チェーン店、す○家。
今店内の時計は、午後10時半頃を指している。
こんな時間、こんな場所で、誕生日のお祝いをする女子高生の姿があった。
「じゃあ、早速………」
「そうですね」
「
モモさん、お誕生日おめでとうございます!!」
「おめでとうございます」
「オメ……」
「ありがとうっすー」
………しかも、ケーキの代わりにうな丼で。
ついでに言うと、モモさんの誕生日は今日ではない。明日、7/26だ。
………店員さんの目線が痛い。
~~~
『せっかくだから、モモの誕生日オフやろうぜ』
『でも当日は、先輩や麻雀部の皆と約束があるんすよ』
『じゃあ前日でもよくね?』
『平日ですね………』
『じゃあ前日の夜だな。休日前だし、いつもの活動時間帯にオフってのもいいだろ』
『そういえば、モモさんの誕生日は土用の丑の日と重なってますね』
『久々にうなぎ食いてぇ』
『す○家とか吉○家いけば食えるだろ。安物だけど』
『そんなとこ行ったことねぇよ』
『さすがのどっちさん』
『………そういえば、そういうとこって深夜にもやってるっすよね』
『………え?』
確か、こんな感じだった。結局、のどっちさんのす○家デビューも兼ねることになった。
……相変わらず、店員さんの目が痛い。そんな変な目で見ないでほしい。
「じゃあ、先に渡しておく………」
「そうですね」
「モモさん、受け取って下さい。3人からの
プレゼントです」
「わわわ、何か重いっすよ。これ何すか?」
「開けてみて………」
「あー!
麻雀牌!!めっちゃ嬉しいっす!!」
「麻雀部で是非使って下さい」
「打ち心地も最高っすー!!」
スパァァァンスパァァァン
「も、モモさん、店員さんが見てますよ」
鶴賀学園麻雀部では、学内サーバーを用いたネット麻雀がメインらしい。
やはり、自由に使える麻雀牌があった方がいいに決まっている。
3人で話し合った結果、麻雀牌を贈ることになった。
加えて、もう一つ。
「あと、これ………」
「え、まだあるんすか?」
「………はい、その」
「どれどれ。あ、本っすね」
「………」
「………SAS!!SAS!!」
マグロのふしぎが分かる本 中野秀樹+岡雅一[著]
2000円+税 四六判並製 280頁 2010年7月発行 ISBN978-4-8067-1404-0
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「ふー、美味しかったっす」
「のどっち、口には合った………?」
「はい、とっても」
「では、次の場所にいきましょうか」
「そうっすね」
「………あ、あの、お勘定はどうやれば」
「伝票を持ってこっち………」
次の場所。さすがにす○家でお祝いだけでは、すこし寂しい。
色々と話し合った結果、ある場所で一休みすることになった。
ある場所。もしかしたら、一番楽しみにしていたのは私なのかもしれない。
そんなこんなで店を出ようとすると、入れ違いに一人の来店があった。
「いらっしゃいませー」
「並とたまごセット一つ」
上下黒のスウェットに身を包み、金色の長髪に黒のニット帽を被っている。背も高い。
やたらと眠そうな表情をしているが、それを考慮しても美人だ。
店内には私達以外にも何人か客がいたが、その場にいた誰もが思わずチラ見してしまう。
…………気のせいだろうか。どこか見覚えがある気が―――
「………棟居さん、ですか?」
「え?」
「あ、私です。南浦数絵。同じ
選抜候補の」
「………あー、長野女子部屋、だっけ。あそこにいた」
「どうも、初めまして」
「こちらこそ。アンタも朝飯?」
「………あの、今は深夜なんですけど」
どうして朝飯なんて言葉が出てくるのか。確かに、寝起きっぽい顔をしている。
平日の、深夜だというのに。
~~~
結局、棟居さんとは挨拶をすませただけで、すぐに店を後にした。
「つか、時系列的にここで会ったらマズくね?」という声が聞こえた気がしたが……
多分、気のせいだろう。
「着いたっすー!」
「あ、ここでしたか」
着いた先にあったのは、所謂スーパー銭湯。
ここは深夜までやっていることで有名だ。
のどっちさんが、中学の頃から優希と通っていた銭湯らしい。
こんな時間だというのに、駐車場にはまだ車がチラホラと停まっていた。
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「おぉう、中は結構広いっすね」
「汗を流したら、早速桃湯に入ってみましょう」
「夏の土用に桃湯に入る」という習慣は、江戸時代から続いているらしい。
7月限定の湯で、土用には来客数が一気に跳ね上がるそうだ。モモさんにぴったりの湯だ。
こんな時間なので、それほど人は多くはないが。
………それにしても。
「…………」
「南場さん、むらさきさんのおっぱい見すぎっす」
「!?」
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「あー、気持ちいいです」
「極楽っすなぁ」
「モモさん、明日はどういう予定なんですか?」
「日中にみんなでお祝いしてくれるみたいっす。で、夜は先輩と」
「先輩と………?」
「言わせんなよ恥ずかしい!!ってやつっすよ」
「…………」
「でも本当、嬉しいっす」
「え?」
「家族以外からこんなに祝ってもらったの、初めてっすから」
「………」
「ぶっちゃけ泣きそうっすよ」
「………」
「南場さん、胸ないっすね」
「突然何ですか!!?」
「照れ隠しっす」
「ひ、ひどい………」
「南場さんにもちゃんと胸はありますよね」
「小さいだけ………」
慰めになってない。泣きたいのはこっちだ。
「なら私が揉んであげるっすよ」
「結構です」
「んー。じゃあむらさきさん、出番っすよ」
「え」
「え」
「おっぱいさん!むらさきさんを確保するっす!」
「分かりました」
「は、離して下さい!」
「のどっち、変なところ掴まないで………ぁ」
~リセット~
何もなかった。
決して、何も。
「露天風呂もあったんですね」
「顔がいい感じに涼しいっす」
「星、綺麗………」
「本当ですね」
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ………夏の大三角………」
「え、どれですか?」
「言ってみただけ………」
「………」
「多分、一生忘れないと思うっす。この星空と、16歳の誕生日………の前日のこと」
「喜んでもらえて何よりです」
「また来年も来ましょうね」
「約束………」
「……そうっす、ね………」
「あ、モモさん。もしかしてガチ泣きですか?」
「南場さんホント胸ないっすね」
「だから何だっていうんですか!!?」
「照れ隠しっすよ」
「さて、閉店まで、あと1時間程ありますが」
「時間いっぱい使う………」
「………そうしましょうか」
「………あ、一つ気になったんすけど、いいすか?」
「どうしましたか?」
「もう、終電に間に合わないと思うんすよ」
「」
「」
「」
「………ここから一番近いのって、誰っすかね」
「のどっち………」
「私ですね。とは言っても、歩くと1時間以上かかりますよ」
「………」
「タクシーでおっぱいさん宅にGOで」
「泊めて………」
「………仕方ない、ですよね」
誰も帰りを考慮していなかった。誰か一人ぐらい、気付いていたら。
いや、モモさんは気付いていたのだろう。何となく、気持ちは分かる。
深夜に終電を逃がすなんて体験は、高校生には早過ぎるかもしれない。
でも何となく、そんな状況にワクワクしている自分がいる。きっと皆も同じだろう。
そんなことを考えている内に、意外な人物が露天風呂に入ってきた。
「………あれ?藤田プロ!?」
「ん、何だ。お前達もいたのか」
「仕事帰りですか」
「あぁ、そうだが………」
「どうかしましたか?」
「お前だけ胸がないな」
「あああああああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおお」
「プロリコンさんもここ使うんすね」
「うるさい。悪いか」
「幼女目当て………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「通報してきます」
「お願いするっす」
「お願いします南場さん」
「ちょ、待て!!!」
そんな話。チャットSSというか、完全にSS
- 棟居さんって金髪だったのか。知らなかった -- 名無しさん (2010-07-26 00:37:52)
- リセット前に誰が誰のおっぱいをどうしたのかw -- 名無しさん (2010-07-26 01:16:11)
- カツ丼さんに「意外とかわいらしいんだな」とか言われたらうれしいだろうか
のどっちはこのときには夏の大三角ちゃんと知ってるはずだよな。会話に割り込まないでいたらツッコミタイミング逃したかな? -- 名無しさん (2010-07-26 01:55:25)
- あっ、一緒に泊まったなら、日付の変わった瞬間、グロマー先輩からメールが届くより早くおめでとう言えたかもしれませんね -- 名無しさん (2010-07-26 01:57:56)
- 長野県の終電が何時かはしらないですが、不良さんと会った時間は深夜ではないと思うんだ…朝でもないが -- 名無しさん (2010-07-26 02:51:49)
最終更新:2010年07月26日 02:51