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『別冊少年マガジン』2016年11月号の『進撃の巨人』第86話「あの日」で、巨人の力は、エルディアの始祖ユミル・フリッツが「大地の悪魔」が契約して得たものだと説明されました。
ここでは、「大地の悪魔」の正体について、アニメ版第1話の冒頭に登場する鳥の意味とともに考察します。
アニメ版第1話冒頭で、エレンの目に2羽の鳥が壁外に飛び去る光景が映るが、これは重要な伏線である。
なぜなら、演出家の立場から考えれば、意味の無いシーンを印象的に描くことはあり得ないからだ。
『進撃の巨人』のように、謎と伏線がセールスポイントの作品ではなおさらである。
私は、鳥の暗示する意味のひとつを、以下のように考えた。
鳥は木の実を食べ、植物の種を別の場所で排泄し、植物の生態系を広げる。
これは「種を遠くに広げたい」植物と、「果実を食べたい」鳥との双方にとって利益となる、一種の「契約」である。
このような生物が互いに助け合う「契約」関係を、「共生」と呼ぶ。
有名な共生関係としては、アリとアリマキ(アブラムシ)の例が知られている。
アリマキは植物が光合成で作った栄養分を吸って生きている小さな虫だが、テントウムシが天敵である。
そこでアリマキは、おしりから甘い汁を出す。
するとその甘い汁を目当てにアリが集まってきて、天敵のテントウムシを追い払ってくれるのである。
アリは甘い汁を食べることができ、アリマキは他の昆虫に食べられずに済むのである。
このような、双方が提供しあうことで相互利益を得るのが「共生」である。
上記の鳥と植物(果実)の関係も「共生」である。
私は、これが『進撃の巨人』の最大の謎のひとつである「巨人の存在意義」だと考えている。
鳥とは、壁内人類(の一部)=巨人を指す。
植物(果実)とは、王政の支給するパン(麦や酵母)である。
壁内人類は植物の種(麦や酵母)を食べることで生存し、代わりに植物の種(麦や酵母)の”運び手”となるのである。
さらに考察を進める。
壁内人類が種の”運び手”であるならば、人類の行く先で、植物が育っていなくてはならない。
でなければ、共生関係=「契約」にならない。
そこで、以下のような仮説を考えてみる。
巨大樹の正体は巨人であり、巨人の正体は「巨大樹の種」。
壁中人類が巨人化して”死ぬ”と、そこから巨大樹が生えるのである。
巨大樹の森は、元は村や都市。
巨人が巨大樹の森に集まるのは、そこが彼らが人間だった頃に住んでいた場所だから。
(元は森に住む動物だったから)
特別編『イルゼの手帳』で、リヴァイ班によって森からおびき出されたイルゼ・イーターが、我に返ったように森に戻ったのも、王であるイルゼ(ユミルの民)の王が鎮座する「自分の家・故郷(ホームタウン)」に戻ろうとしたから。
(イルゼ・イーターが以前住んでいたのが”壁”だった可能性もある)
王政が壁中人類に支給しているパンは、巨大樹の種に相当する巨人酵母(植物から造られた生体ナノマシン)が混入されているため、壁中人類は知らないうちに食事によって巨人にされ、同時に、「巨大樹の種」または「巨大樹の苗床」にされている。
この巨人酵母は壁の真の王である「始祖の巨人」の体であり、壁中人類は真の王の体を食べている。
巨人酵母は「始祖の巨人」の体から作られ、「始祖の巨人」の命令や願いによって活動する子機である。
巨人酵母は壁中人類の体内に入ると脳に侵入し、「始祖の巨人」の望み通りに記憶を操作するなど、様々なことができる。
いわば、パンを食べれば食べるほど、本当の記憶が薄れ、「始祖の巨人」の影響をより強く受けるのである。
しかし、体内の巨人酵母が足りないと、巨人化した時に体が小さくなったり、上手く記憶操作できなくなる場合がある。
たとえば、貧乏でパンを十分に食べられないと、巨人酵母の影響力や、「始祖の巨人」の支配力は弱くなる。
この巨人酵母には機能別、あるいはコマンド別の種類が存在する。
これは、酵母の機種そのものが異なる場合と、機種は同じだが打ち込まれた命令の内容が違う場合の2種類が想定される。
これを人体や再生医療に比喩して言うと、酵母の機種そのものが異なる場合とは心臓細胞や肝臓細胞などの「機能固定細胞」である。
機種は同じだが命令の内容が違う場合とは「iPS細胞(どんな臓器にもなれる万能細胞)」である。
大部分の巨人酵母は、普段は記憶操作のみを行い、巨人化信号を受信すると宿主を巨人化させる(種類である)。
これがケニー祖父の言う「王に記憶操作される大多数の単一民族」であり、王政貴族の言う「奴隷用の血」である。
(王政貴族の血は、エルディアの巨人の8家系の可能性があるが、まだ未確定)
そのほか、傷の超再生、硬質化、蒸気の熱風など、特殊な能力を持つ酵母が存在する。
これがエルディア帝国の巨人の8家系である。
大部分の酵母と特殊能力酵母の違いは、上記の「機能固定細胞」または「iPS細胞」のどちらかが理由と考える。
以上を踏まえて、大地の悪魔とユミル・フリッツの「契約」を考察する。
「人間は麦の奴隷」という言葉がある。
人間(主にヨーロッパ人)は麦(パン)を主食にしたために、どこに行くにも麦を一緒に持参し、移住先で麦を繁殖させ、畑を作り、水と肥料を与えて、麦の世話をし続けなくてはならない。
(しかも、狭い範囲でたくさん実る米に比べ、一度に実る実が少なくて広い耕作地が必要な麦は非効率で費用対効果の低い穀物である)
これでは、まるで人間のほうが麦に奉仕させられているようなものだ。
外見上、壁内はヨーロッパや中東がモデルとなっていると見られる。
「壁内人類も(西洋人のように)、実は植物(パン)の奴隷なのではないか」というのが、私が今まで繰り返し書いてきた仮説である。
私は、これが「大地の悪魔」とユミル・フリッツの「契約」だと考える。
大地の悪魔とユミル・フリッツの「契約」とは、「人間は植物(酵母)を食料として食べて巨人化などの特殊能力を得る。しかし、その代償として、生きている間は常に体内の植物と共に移動して生態系を広げ、死んだら植物の苗床とならなくてはならない」というものである。
つまり、「大地の悪魔」の正体は植物であり、「第86話「あの日」考察(2)マーレとエルディアの意味 ※ネタバレ注意!!」で書いたように、ブドウをモチーフとしている。
なお、ブドウの木はイエス・キリストになぞらえられている。
ただし、ユミルは「巨人の力を盗んだ」と表現している。
現在の漫画では、エルディア人から募集した「マーレの戦士」は子供だけなので、もしかしたら、盗んだとは「巨人の家系の子供」であり、ユミルはその子を食べたのかも知れない。
そして、それがフリーダの言う「私達は罪人」というセリフの意味のひとつなのかも知れない。
それはアルミンが夢で見た巨人の「痛いよ」というセリフにも繋がると、私は考えている。