実は現時点で、アニメSEASON2 31話「戦士」~37話(終)「叫び」を見ていません。
31話「戦士」も飛ばし見しただけです
アニメ2期31話のラストで、ついに缶詰が登場しました。
缶詰の重大な意味は、このサイトを見ている人にしか分かりません。
このサイトでは、「壁内は18世紀に時代設定されているので、19世紀の発明である缶詰は存在しない」と考察してきたからです。
31話は、鎧の巨人と超大型巨人の正体が判明するという重要な回です。
では、この最大の見せ場で、アニメスタッフが意図的に視聴者に見せつけた缶詰の意味とは?
最初にはっきり言っておきましょう。
「缶詰が物語の根幹にかかわる重要な伏線だから」です。
それはウトガルド城でのユミルとライナーの缶詰問答、およびエンディングの缶詰の映像からも明らかです。
また、私はこの缶詰は鎧の巨人に隠された謎に関係していると考えます。
それはどういう事なのか?
考察を深めます。
では、実際にその映像を確認してみましょう。
31話のラストで、鎧の巨人と超大型巨人が出現する爆風によって、壁上のあらゆる物が吹き飛ばされます。
すると、吹き飛ばされた木箱の一つが壊れ、中から缶詰が飛び散ります。
一瞬のことで、しかも小さく描かれているので缶詰だと気が付かない人も多かったと思います。
するとその直後に、さらにアップで缶詰が描かれます。
驚かされるのは、その細かさです。
見れば分かる通り缶詰の数も多く、かなり面倒な作画です。
スタッフ側の立場でこのシーンを見てください。
巨人化の爆風のすごさを表現するのなら、缶詰である必要はありません。
まして、缶詰をここまで細かく、大量に描く必要もありません。
事実、缶詰以外の荷物も描かれており、わざわざ描き分けていることが分かります。
アニメ制作は時間との勝負です。
本来不必要な労力をかけてまで缶詰を描いたという事は、缶詰を描かなければならない理由があるという事です。
しかもスタッフは、飛び散る缶詰を遠目に小さく描いた直後、ほんの一瞬ですがアップで大きく缶詰をカットインさせています。
アップなので缶詰だと分かりやすくなっていますが、表示されるのは一瞬だけなので、明らかに、わざと視聴者が気づきにくいようにしています。
なぜアニメスタッフは、缶詰をこれほど強調しながら、画面を止めないと缶詰だと判りにくいような、中途半端な描き方をしているのでしょうか?
これは、以下のような相反する2つの課題があった事を意味します。
(1)缶詰を強調しなくてはならない
(2)しかし缶詰を強調する意図は隠さなくてはならない
つまり、「缶詰を描かなくてはならないが、分かりにくくする必要があった」という事です。
その答えは1つです。
「缶詰は重要な伏線なので、視聴者に伏線だと気づかせたくなかった」のです。
私が缶詰が重要な伏線だと考える理由は、壁内に缶詰が存在すると矛盾が生じるからです。
その矛盾とは、以下の3つです。
(1)酵母(原作6巻『現在公開可能な情報』「11.酵母」との矛盾)
(2)戦争(壁内の状況との矛盾)
(3)ユミルとライナーの缶詰問答(原作とアニメの矛盾)
では、1つずつ見ていきましょう。
(1)酵母(原作6巻『現在公開可能な情報』「11.酵母」との矛盾)
原作6巻(第23話「目型の巨人」と第24話「巨大樹の森」の間)の『現在公開可能な情報』「11.酵母」には、次のように書かれています。
現在公開可能な情報 11.酵母
ウォール・シーナ内でのみ生産される特殊な酵母。 外見は、人の頭ほどもある発酵した大豆の塊である。 酵母を飼い葉や小麦、大豆、干し肉などの入った倉庫やテントに 置いておくことで腐敗が極端に遅くなることが知られている。 酵母が食料を変質させることで、保存されるのだという。 酵母を置いた貯蔵プラントを各地に展開することで、 ウォール・マリア奪還のための補給物資を備蓄するのが、 これまでの人類側の戦略であった。 |
作品の流れの中で、唐突に登場したこの設定によれば、「人類は缶詰ではなく、酵母で食料を貯蔵している」ことになります。
たしかに、缶詰と酵母を併用している可能性もありますが、文中には「酵母を置いた貯蔵プラントを各地に展開することで、ウォール・マリア奪還のための補給物資を備蓄するのが、これまでの人類側の戦略であった。」と書かれています。
缶詰を併用しているなら、わざわざ「酵母を置いた貯蔵プラント」と書くわけがありません。
缶詰を併用しているなら、その事を説明する必要が生じます。(食材や用途などによって酵母と缶詰を使い分けている、など)
第一、缶詰があれば酵母を使う必要がありません。
したがって、『現在公開可能な情報』「11.酵母」の存在そのものが矛盾してしまいます。
(2)戦争(壁内の状況との矛盾)
これも過去の考察で述べたとおり、壁内は外国との戦争という概念そのものが存在しない世界です。
王政やレイス王家は壁内人類の記憶を改竄し(※一部の血族を除く)、歴史から戦争を消しており、壁内の体制も戦争を予定したものではありません。
そして、缶詰は元々、ナポレオンが戦争の携帯食料として開発させたものであり、戦争と密接な関係があります。
と言うか、戦争が存在しなければ開発されなかったか、少なくともずっと遅れて開発されたと考えられます。
つまり、戦争が存在せず、技術的制約も多い壁内で、自然に缶詰が開発されるとは考えにくく、矛盾していると考えられるのです。
(3)ユミルとライナーの缶詰問答(原作とアニメの矛盾)
缶詰が読者に注目されたのは、ユミルとライナーの缶詰問答が最初でした。
このシーンで、初めて缶詰が登場したのです。
私はそれ以前から、「壁内は時代設定と技術レベルを、意図的にコントロールされている」という仮説を立てていました。
そのため、ウトガルド城で缶詰が登場したときに、すぐに缶詰が19世紀の発明であることを調べ、壁内はおそらく缶詰が存在せず、時代設定や技術レベルが18世紀であると判断しました。
そして、ユミルとライナーの会話におけるポイントは、文字と缶詰、そしてニシンの三重構造だと見ました。
読者の意識を「缶詰の文字」や「海魚のニシン」に向け、その実、隠されたポイントは「缶詰そのものが壁内に存在しないオーバー・テクノロジー」という3段構えだと考えたのです。
事実、原作は上記のような三重構造でも成立します。
作者の立場からすれば、容易に真実にたどり着けない方がメリットが大きいのですから、このままでも支障は無いはずです。
しかし、アニメでは31話で、缶詰が壁内に存在する事を示唆。
わざわざ、缶詰問答のポイントの一つを潰しているのです。
なぜ、アニメではそのような変更をしたのでしょうか?
考えられる可能性は2つです。
(可能性1)缶詰は伏線ではない、または不都合になったので潰す必要があったため
(可能性2)缶詰が伏線だとばれないように、作品の設定を利用して隠蔽するため
私は、前述のように31話で缶詰が登場したのは、缶詰を伏線と気づかせないための攪乱工作だと考察していますので、(可能性2)が真実だと考えます。
また、余談ですが、原作ではライナーがとっさの機転でユミルにカマをかけているようにも見える演出となっていますが、アニメではライナーが汗をかき、声優の演技もより素直に驚愕し、動揺している表現に変更されています。
原作のライナーの方がプロの工作員らしく、アニメの方は素人っぽい表現だと言えます。
後者の方が、「現在の」原作の内容に合致した表現だと思います。
次は、缶詰の謎と鎧の巨人の共通点について考察します。
どちらも、『進撃の巨人』の根幹となる設定に基づいており、特に鎧の巨人の方は第1話から一貫している設定だと考えられます。
この考察には、これも以前から私の仮説である「擬似ループ」と「編集されたゲームプレイ動画」が関わってきます。
以下、「アニメSEASON2 第06話(31話)「戦士」缶詰登場と鎧の巨人の謎(2)」に続く。