1巻第1話の眠るエレンの目覚めは「胡蝶の夢」。
第122話「未来の記憶」でグリシャは、次のように語ります。
「進撃の巨人」は
未来の継承者の
記憶をも覗き見る
ことができる・・・
つまり未来を知る
ことが可能なのだ
漫画では「つまり未来を知る」の「未」と、「ことが可能なのだ」の「可」が並んでいます。
これを左から読むと「可未(カミ)」=「神(カミ)」になります。
そして、神(カミ)が地鳴らし(ヂナラシ)をすると「神鳴り=雷(カミナリ)」になる、というシャレになっている可能性があります。
さらに、「つまり未来を知ることが可能なのだ」と書かれたフキダシは、エレンのちょうど心臓の位置に書かれています。
この描写の演出意図は、「エレンが未来を見る事ができる神であり、その心臓が重要だよ」、という作者(サクシャ)のメッセージと考えられます。
既に書いた通り、私は、元「進撃の巨人」継承者であるエレン・クルーガーの名前は、「ヱ」レンを破字した「アーレン・クルーガー」が元ネタだと考えています。
アーレン・クルーガーは実在するハリウッドの脚本家・映画プロデューサーです。
だから、「進撃の巨人」の力・特質は「脚本/プロデュース」だと考察しました。
ただし、この力・特質はヱレン固有の力である可能性もあります。
その状況証拠として、ヱレンは、レイス一家を殺せないと頽(くずお)れたグリシャに語りかけ、展開を変化させています。
ヱレンは舞台劇の演出家やプロデューサーのように、グリシャに「演技指導」をしてシナリオと演出を書き換え、「レイス家が殺されない歴史(ルート)」を、「レイス家が殺される歴史(ルート)」に書き換えたわけです。
さて、ここでグリシャの語った「進撃の巨人」の能力に、別の解釈が可能であることが分かります。
端的に言えば、「進撃の巨人」の力とは歴史のシナリオと演出を書き換える能力です。
漫画では、あたかも「過去を改変した」ように描かれています。
しかし、タイトルは「未来の記憶」ですよね?
そして、私の仮説のひとつ(というか全体図の一部)は「進撃の巨人の世界はエミュレーター」説です。
エミュレーターとは、本来は「機械を真似る機械」と言われ、実物とは違うが実物ソックリに動く機械のことです。
実物を使う寄りも簡単に、エミュレーターを使って様々な実験をすることが出来ます。
ちなみにゲーム機でエミュレーターと言えば、別の機械で実物のゲーム機と同じゲームを遊べるプログラムや機械のことです。
たとえば、パソコン上でス-パーファミコンのゲームを遊ぶことが出来るプログラムなどがそうですね。
エミュレーターは入力するデータの変化によって、結果が変貌させます。
ゲームのエミュレーターで言えば、ソフトやデータを改変すれば、別のゲームを遊べたり、同じゲームでも通常とは違う状態で遊べたりします。
アクションゲームのプログラムに介入して、敵に攻撃されてもまったくダメージを受けない無敵状態にするようなものです。
この場合、「進撃の巨人の世界設定やイベントの内容が変化し、その結果も次々に変化する」のです。
仕様によってはリアルタイムに変化させる事が可能です。
そこで、ゲームを現実世界に置き換えてみてください。
要するに、このエミュレーター仮説では、進撃の巨人の世界は「入力するデータを変化させれば、未来が変わる世界システム」なのです。
この説に「未来の記憶」というタイトルを当てはめてみましょう。
「未来の記憶」とは、「エミュレーターで創った未来の可能性の一つ」だと考えられないでしょうか。
つまり、「エレン達がいる空間は過去の記憶ではなく、エレンがたった今書き換えたばかりの未来」ではないでしょうか。
よくコンピュータに世界の未来を予測させるという展開がありますよね?
分かりやすく言えば、「進撃の巨人」の世界は「未来予測中のコンピュータの中の世界」だということです。
さて、そうするとエレン達はどの時間帯にイルと考えるべきでしょうか?
エミュレーターの中では常にあらゆる可能性が計算されています。
入力するデータによって、あらゆる未来の可能性が存在します。
それは、あたかも中身も時間も異なる無限の並行世界(パラレル・ワールド)の中で、その全ての世界に存在できる場合、世界の中にいるかぎり絶対時間では把握できないわけです。
絶対時間で把握しているのはコンピュータと、そのコンピュータに世界のエミュレーションをさせている存在だけです。
エレンの能力はエミュレーション中の世界に介入できる力です。
異なるデータを入力して(グリシャにささやいて)、世界そのものを変化させる(レイス家を殺さない世界からレイス家が全滅する世界に変える)力です。
ということは、エレンがコンピュータ内のプログラムを操作しているのと同じです。
「エレンは世界の外にいる」と言っていいでしょう。
「ヱレンは時間の外にいる」とも言えます。
エレンにとって過去か未来かは関係なく、実は未来のエミュレーション結果を見ているだけなのではないか。
要するに、エレンは122話の記憶世界に対し、過去にいるに等しい状態です。
なにせ「自分の入力したデータで、未来がどのように変化するか」をリアルタイムで確認しているわけですから。
エレンの行動によって、世界が刻々変化してゆく。
エレンによって世界が、時間が枝分かれしてゆくわけです。
今の少女ユミル(とジークが呼ぶ少女)のいる世界にそびえ立つ、光の木のようなもの。
私は、あれは「世界樹/時間樹」であり、「世界/時間の枝、あるいは根」であり、ユグドラシルだと見ることもできると考えています。
ここで「胡蝶の夢」に戻ります。
ある男が寝ているときに、自分が蝶(チョウ)の一生を他見するが、目が覚めてみると本の一瞬=「刹那」の出来事だった、という話。
チョウは超(チョウ)大型巨人も表現しています。
また、蝶(チョウ)と蛾(ガ)は基本的に同じ昆虫であり、あたかもハチとアリが同じ昆虫であるのと対(ツイ)になっているようにも見えます。
蛾と言えば、既に解説したように、女型(メガタ)の巨人の行動やその最後は、実は蛾の「メンガタスズメ」そのものです。
メンガタスズメは別名ドクロ蛾といい、背中に人間の頭蓋骨=ドクロのような模様がある蛾です。
アジア原産の蛾で、映画『羊たちの沈黙』で犯人が飼っている蛾としても有名です。
メンガタスズメは蜂蜜が好物で、なんと女王蜂の鳴き声を真似ることができるという特技があります。(女型の巨人は鳴き声で無垢の巨人を集めることができる。自分を食べるように命令もできる?)
その特技で兵隊蜂を騙して蜂の巣に侵入し、蜂蜜を食べます。(女型の巨人であるアニ・レオンハートは偽の経歴で調査兵団を騙し、憲兵団となって壁の一番奥深く、中央のウォール・シーナ潜入に成功する。その目的は始祖の巨人を盗み出すこと)
ところが巣に深く入り込みすぎて正体がばれて、兵隊蜂に全身を刺されて絶命。(女型の巨人であるアニ・レオンハートは始祖の巨人と思われるエレン・イェーガーを壁の外に盗み出そうとするが、巨大樹の森で正体がばれ、ハチの針ならぬ無数の槍状の兵器でメッタ刺しにされる)
そのため、養蜂家の巣箱からは、時折、蜂蜜に包まれたメンガタスズメの死体が発見されます。(女型の巨人であるアニ・レオンハートは潜入しすぎて壁の外に出られずにエレンに倒され、自分を蜂蜜色の結晶で包むことで眠りにつく)
ちなみに、蜂蜜色の結晶を琥珀(コハク)と考えると、やはりハチに関係する伏線となります。
実は古代の蜂や昆虫は琥珀に包まれて古い地層から出土することが多く、半透明の硬い琥珀に保護されているため全身が見える状態で保存されている。
そのため、かつては「ハチは琥珀から生まれる」と考えられていた時代もありました。
雀や鳥も重要な伏線ですね。
(雀のお宿、舌切り雀など、昔話を元ネタにしているのも、「進撃の巨人」最大の特徴の一つであり、この方法は『ワンピース』が元ネタです。『ワンピース』の海軍大将がイヌ、サル、キジで『桃太郎』を表現していることは有名な伏線)
たとえばユミルの顔にはソバカスが有りますが、ソバカスを漢字で書くと「雀斑」。
つまり、ユミルもスズメに関係があるという伏線なのです。
(たとえば鳥に関係する名前を持つ存在は宇宙人、とか。鳥は3を意味するトリ(tri)だとか)
閑話休題して、「胡蝶の夢」を私の仮説に当てはめると、この夢とは未来エミュレーションだと考えられます。
すなわち、エレンは世界エミュレーターであり、自分のエミュレーションした仮想未来世界の中に、自分のアバターを送り込んで生活している状態です。
それは現実世界を模倣(エミュレート)した仮想世界であり、歴史上の有名人がたくさん存在しています。
(基本的に反日思想や平和思想、中国・韓国・北朝鮮称揚の漫画なので)壁の中にはフリーダの言う「罪人」、すなわち左翼思想で悪い存在とされる「戦争を指導した歴史上の国家指導者、王、皇帝、征服者」が閉じ込められているのではないかと考えられます。
中国の伏線でいえば史上最悪の独裁者とされる、虐殺の世界記録保持者(レコードホルダー)「毛沢東(マオ・ツォートン)」もいるはずです。
(単行本カバー裏の逆さ片仮名文字のいう「航海」とは現実の歴史のことか。レコードも伏線の一つと考えられる。ちなみに単行本カバー裏の逆さ片仮名文字は同音異義語を使ったトリックが仕掛けられている可能性があり、一例を挙げると「チョウダイナ(長大な、と読める)カベ」が「蝶・ダイナ(・フリッツ)壁」とか、「キョウダイノカベ(兄弟の壁)」の可能性がある)
アニメ版のラス前で、階段に猫がいるのは、猫の中国語「マオ」と毛沢東の「毛(マオ)」を重ねているからであり、NHKが猫の番組を大量に放送していたり、バカバカしいところでは、中国建国70周年の2019年のアニメ番組で声優のMAO(マオ)さんがやたらに出演しているのも、中国人に人気の少年サンデーで中国人にも人気のある高橋留美子先生の新作が「MAO(マオ)」で主人公の仲間の少年が、明らかに中国の人民服をモデルにした服を着ているのも、現在の習近平国家主席が毛沢東回帰を唱えており、その宣伝の一環として日本のアニメや漫画を利用している「可能性」を示唆している。
実際に中国共産党がハリウッド映画に巨額の資金を出資し、巨大な撮影所を提供することで「中国や中国人をカッコよく描かせている」ことは有名です。
今、中国が力を入れているのはSFや宇宙開発物であり、これらの映画の中では中国は高い科学力と国力を有しており、アメリカの危機を助ける役として登場します。
たとえば『パシフィック・リム』では世界各国の巨大ロボットが登場しますが、中国のロボットが短時間で倒されたため、なんとデル・トロ監督がカメラの前で中国人に謝罪させられたという”事件”も発生しています。
そして『パシフィック・リム』の続編では中国が「カッコよく」描かれています。
いまエレンの中にいるのは独裁者、特にヒトラーの可能性があります。
地下牢から脱出した時に、エレンは脱出した穴を硬質化で塞いでいるのですが、その形はナチス党の鉤十字(ハーケンクロイツ)です。
また、硬質化は「皇室化」というシャレであり、硬質化が巨人の基礎的な能力として扱われていることから、巨人の意味の一つは「皇族、宮家」だと考えられます。
つまり九つの巨人とは「九つの宮家」という意味です。
実際に