最終34巻感想(2):ミカサとユミルの会話で頭痛は脳腫瘍(ガン)と考察 ミカサ誘拐事件最大の謎も解明!

※注意!!

このページには『進撃の巨人』最終巻である第34巻のネタバレ感想が書いてあります。第34巻を未読でネタバレされたくない方、ネタバレ自体が嫌いな方は、絶対に以下の内容を読まないで下さい。

最終回でも伏線回収されなかった連載初期の重大な謎についても解説していますので、ネタバレされたくない方は絶対に以下の内容を読まないで下さい。

また、憶測や不確かな情報、連載当時の噂話による考察も書いてありますので、そうした内容が嫌いな方、考察自体が嫌いな方も、絶対に以下の内容を読まないで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書き下ろし部分

①ミカサが始祖ユミルに語りかけるシーン

②エピローグ

③巻末に付録のように連載(?)されていたスクールカースト編

セリフの変更部分

④アルミンのセリフ(太字が変更箇所)

雑 誌:「まぁ…案外すぐに良い人見つけてあっさりしてる気もするなぁ…」

単行本:「まぁ…案外すぐに良い人見つけてあっさりくっつく気もするなぁ…」

 

 

 

では、最終139回の書き下ろし部分について解説します。

最初に、とても重要な事を書いておきます。

「漫画本編は始祖ユミルの望んだ世界です。」

「エピローグはエレンの望んだ世界です。」

これを前提に各要素ごとに解説してゆきます。

都合上、139話や他の回の秘密についても必要に応じて解説します。

 

 

 

①ミカサが始祖ユミルに語りかけるシーン 状況説明

時間軸では、ミカサがエレンの首を葬るためにパラディ島に戻ろうとして、アルミンと別れた少し後と思われます。

(おそらく、アルミンがキリストの「罪を犯したことの無い者だけが石を投げよ」イベントで、エルディア人を信じられないマーレ兵とミュラー長官を説得している頃)

 

 

エレンの首を抱えて荒野を歩くミカサの前に、地鳴らし巨人やエレン進撃の巨人の死体から立ち上る煙=雲の中に、始祖ユミルのビジョンが現れます。

始祖ユミルは王をかばって死んだ時の姿で、目が隠れていないため儚げな美人に見えます。

 

 

それまで始祖ユミルは、襤褸を着た奴隷の少女の姿で登場し、目は陰で隠れていました。

その目が描かれたのは、エレンに背後から抱きしめられた時と、ミカサがエレンの首とキスをした時。

 

 

第138話「長い夢」ラストのキス・シーンはミカサとエレンの結婚式を表現しており、進撃の巨人の口の中は教会、始祖ユミルは神父です。

神父(シンプ)は新婦(シンプ)とのダブルミーニングであり、新婦ミカサと始祖ユミルがいわば同一人物なので始祖ユミルもミカサと一緒に「新婦として結婚式を挙げて、キスをしたい」という奴隷の少女だったころの夢を叶えることができたということを示しています。

 

 

既に指摘したことですが、このラスト・シーンで、始祖ユミルの背後にある穴の形が『鉢かづき姫』の鉢であり、キノコの笠の形になっています。

『鉢かづき姫』は日本版シンデレラとも言われています。

つまり、始祖ユミルは『鉢かづき姫』であり、『シンデレラ』だったわけです。

 

 

話を本編に戻します。

 

 

ミカサは始祖ユミルに

「自分の頭の中をずっと覗いていたのは始祖ユミルだった事」

「ユミルの愛は長い悪夢だった事」

「奪われた命は帰ってこないが、始祖ユミルが生み出した命があるから私がいる事」

を語りかけます。

 

 

ここで29巻第122話「二千年前の君から」の王暗殺のシーンが描かれます。

122話では始祖ユミルは王をかばって槍に貫かれて死亡しますが、この139話の書き下ろしシーンでは始祖ユミルは王をかばわず、王は槍に貫かれて死亡します。

始祖ユミルは三人の娘たちを抱きしめ、「始祖ユミルは王への愛よりも娘たちを選択した」

 

ここでちょっと、読者が気付きにくい重要ポイントを挙げておきましょう。

単行本を持っている人は、槍に貫かれた死せる王の絵に注目してみてください。

王冠がずれて髪の薄さが強調され、122話よりも老いた感じに描かれていることが分かると思います。

そして、小さい絵なので分かりにくいのですが、王も始祖ユミルと同じように目の周りから影が消えています。

全体的に「座ったまま眠るように死んでいる普通のお爺さん」という絵に見えませんか?

私はこれを、始祖ユミルが愛の呪いから解き放たれた瞬間、王もまた呪縛から解放されたのだと受け取ります。

一つの解釈として、王も自分の死を受け入れ、始祖ユミルと娘たちが死ななかったことに安堵して瞑目したのだと考えられます。

この点については、後でもう少し踏み込んで分析しようかと考えているところです。

こうした細かい描き分けと、自分の意図を表現しようとする意志が、諌山先生の最大の強みであり、『進撃の巨人』の読み解く楽しみを作っていると、私は考えます。

ただし、そうやってせっかく細かく仕込んだ謎や伏線を最終回でほぼすべて無駄にしてしまったから、多くの読者が怒っているわけですし、残念ながら『進撃の巨人』が駄作になってしまった原因でもあります。

 

 

そして、ミカサが最後に「おやすみなさい…ユミル」と言うと、始祖ユミルは目を閉じて成仏し、煙とともに消えてゆきます。

その閉じた眼には涙が描かれています。

ここで書き下ろしの①は終了し、雑誌にも掲載された「エレンの首を抱えて戦場を去るミカサ」のコマでこのシーンは終わります。

 

 

 

解説

では、このシーンをひとつずつ解説していきましょう。

 

 

(1)全体

まず、このシーンによって、『進撃の巨人』とは一人の少女の怨霊を成仏させる物語だったことが分かります。

スクールカースト編の「マルコの幽霊がそばにいる」話は、「常にそばに始祖ユミルの怨霊がいて世界を操作している」という作品全体の秘密をネタばらししていたのでしょう。

 

 

(2)ミカサの頭の中をずっと覗いていたのは始祖ユミル

そして、ミカサの頭の中をずっと覗いていたのが始祖ユミルだったという事から、おそらくミカサの頭痛の原因は「始祖ユミルがミカサの頭の中を覗いていたから」ということが類推できます。

さて、ここが問題です。

私は、この点についてすでにいくつか考察してきました。

その自分の考察に基づき、私は「ミカサは始祖ユミルが自分の頭の中を覗いていたと認識しているが、これは正確な認識ではないと考えます。

 

 

連載初期の「ミカサ誘拐事件」最大の謎がこれで解明できたと、私は考えています。

すなわち

 

 

 

(3)始祖ユミルが生み出した命があるからミカサがいる

始祖ユミルが生み出した命とは、王との間にもうけた3人の娘の事です。

ユミルの娘たちが生まれたから、始祖ユミルが産んでくれたから、ミカサも
 
最終更新:2021年06月16日 22:48