※ここには漫画『ONE PIECE』の最新話の内容を含むネタバレ考察が書かれています。ネタバレが嫌いな方はここより下の内容を読まないでください。
最新第1107話で、明らかにおかしいのに誰も指摘していない言葉があるので書いておきます。
ラストのコマでカリブーが言っている「御生(ごしょう)の頼み」という言葉は、普通は「後生(ごしょう)の頼み」と書きます。
後生とは仏教の輪廻転生を基にした言葉で、
◎今生(こんじょう=現世:現在。今生きている人生や命、世の中)
◎前生(ぜんしょう=前世:過去。生まれる前の人生や命、世の中)
◎後生(ごしょう=来世:未来。死んで生まれ変わった後の人生や命、世の中)
の3つがセットです。
人に懇願・哀願する際の言い回し。 元の意味としては、死んで生まれ変わったときのためのことなので、特に教えて欲しい、という意味合いを持つ語。
後生を使った落語もあります。
後生鰻
後生鰻(ごしょううなぎ)は古典落語の演目の一つ。元々は『淀川』という上方落語の演目で、明治期に東京へ移植された。
あらすじ
信心深い大家の主人が浅草の観音様さまの帰りがけに鰻屋の前を通ると、親方が鰻をまな板の上へ乗せて包丁を入れようとしている。隠居は鰻がかわいそうだと声をかけ、すったもんだの末に鰻を二円で買い取って前の川に放り込み、「ああ、いい功徳をした」と言って帰って行く。 その後、隠居は毎日この鰻屋を訪れては二円で鰻を買ってくれるようになり、鰻屋は何もせずに金が手に入るので真面目に働く気をなくす。
ところが隠居が来ない日が続き、金づるを失ったかと鰻屋が心配していると、ある日隠居が現れるがちょうど鰻が切れている。生きているものならなんでもいいと鰻屋が自分の子である赤ん坊をまな板に乗せると、驚いた隠居が赤ん坊を百円で買い取り、前の川に放り込んで「ああ、いい功徳をした」
しかし1107話最後のコマ、カリブーのセリフでは「御生(ごしょう)」と書かれています。
「御生」とは神道の言葉で「みあれ」と読みます。
神道で神や貴人が誕生または降臨することをいう。京都の上賀茂神社で葵祭の前三日夜に行う神事を「賀茂の御阿礼」と呼ぶ。阿礼と称する榊に神移しの神事をする。加茂祭の宣旨を斎宮に持参する使いの女官を「御阿礼宣旨」と呼ぶ。
https://www.pref.kyoto.jp/rekisaikan/documents/shiryoguide019.pdf
毎年、祭神の新霊が御蔭山で生まれ、神社 の本殿まで迎えに行くという神事です。 神の新たな御霊が
生まれるというので「みあれ(御生)」とも呼ばれています。
すでに書きました通り、『ONE PIECE』は善悪逆転の世界です。
黒ひげ海賊団のモチーフは「人類の歴史の闇」「闇を描いた漫画」。
大航海時代を中心に人類の犯した闇の事件や、主に週刊少年ジャンプのダークな漫画やダークな漫画を多く描いた漫画家を題材に使用していると考えます。
そして上記に加え、「良い者である作品」を「悪者」に描く善悪逆転の要素があると、私は考えています。
ここでは神道という、おそらく攻撃的な部分が世界一少ない「日本古来の生き方の作法」を善悪逆転させているのだと思います。
よく誤解されますが、神道は宗教ではありません。
茶道や華道と同じ「儀式(セレモニー)」です。
かつて日本を占領したアメリカ中心のGHQが、神道を宗教だということにして政教分離を口実に潰そうとしたが、どう考えても宗教だと証明できず諦めたという経緯があるそうです。
あえて言えば、神道とは「日本国でもっとも幸福で平穏に生活するための生活様式の集大成」ですね。
あらゆるものを神様が宿っていると思って互いに尊重し大切にして、「和を以て貴しとなす」が基本です。
第1107話ではおそらく「御生(ごしょう)の頼み」という意図的な”誤用”で、「カリブーが神のように尊敬するティーチの黒ひげ海賊団のクルーが目の前に降臨した」という状況を説明。
そして「『ONE PIECE』は善悪逆転の世界だから、黒ひげ海賊団は日本の神々もモチーフにしてますよ」という尾田先生のメッセージだと、私は考えます。
これは第1話から続く設定であり、ヒグマの役割にも関係する内容だと思います。
また、御生(おなま)と読むと「生の魚」を意味する昔の女房詞(にょうぼう ことば)になります。
女房詞(にょうぼう ことば)は室町時代頃から天皇の住まいである宮中で働く女性「女房」が使う言葉であり、宮中言葉です。
天皇陛下は神道のトップなので、女房言葉を使うのも神道に繋がる伏線です。
上で書いた落語『後生鰻』では「鰻屋がご隠居から金を取るために自分の赤ん坊(あるいは女房)をまな板に乗せて包丁で切ろうとする」描写があります。
カリブーのセリフにわざと「御生の頼み」という言葉を使うことで、「生魚の頼み」であり「カリブーは”まな板の鯉”、”後生鰻の鰻や赤ん坊”のように自分の身を黒ひげ海賊団に投げ出して頼んでいる」と読者に知らせているのかもしれません。
さらにドンデン返しを仕掛けるなら「これがカリブー様が新しい神や貴人としての第一歩を踏み出した瞬間だったのだ!」というシーンになっているというアイディアもあります。
小物がチャンスをつかんで成り上がるサクセスストーリーも面白いですから。
私はくまはクマバチだと見ていますから、カリブーも魚なのかもしれません。
さらに女房言葉を使っているのですから、実は女だという遊びも入っていると思います。
善悪だけでなく、男女も逆転している可能性があるからです。
そして、ここまで神道と天皇を強調しているなら、「黒ひげの血筋」は皇室や宮家ということになります。
カリブーはいわば”天皇の使者”に「天皇陛下の家来に、朝廷の配下にしてほしい。天皇陛下に拝謁させてくだせぇ~!!!」と直訴しているのです。
タイトルの”あんたを捜してたんだ!!”をカリブーに当てはめると、カリブーは自分の仕えるべき主人をずっと捜していたという意味にも受け取れます。
初めて読んだ時には、日本の歴史上の有名な統治者や反乱者がモデルで、皇室よりも武家かもしれないと思っていましたが、カリブーが宮中言葉を使っているので天皇・皇室・宮家のほうだと判断しました。
ただ、源氏や平家も天皇の血筋ですから武家の線も消えてはいないのですが、前述のGHQは天皇陛下をジワジワと殺すために、11の宮家を法的根拠なく勝手に廃止してしまいました。
それが現在の皇位継承者が悠仁親王(ひさひと しんのう)殿下お一人しかいないという日本国の危機につながっており、まさにGHQの狙い通りの状況です。
ところがその「旧宮家」を復活させる動きが、今少し出ているのです。
しかも旧宮家の中で複数の皇位継承に適した年齢の男児が「皇室に戻ってもいい」と言っているそうなので、旧宮家を復活させれば今の皇位継承問題はその瞬間に消滅します。
だいたい、皇太子が複数いるのなんて当然のことですからね。