5巻第21話「開門」の調査兵団への勧誘式で、エルヴィン・スミスが「エレンの生家があるシガンシナ区の地下室に、エレンも知らない巨人の謎がある」と話した後、ライナーが「地下室だと・・・」とつぶやいている。
このコマではライナーとベルトルトが非常に焦った表情をしており、中央の憲兵団を志望していたはずのベルトルトまでが調査兵団に残ったことから、2人が地下室に巨人の秘密が隠されているという情報を重要視し、調査兵団に同行してその情報を得るか、あるいは壁内人類がその情報を入手できないよう妨害しなくてはならないと考えたと想像される。
以下、ライナーたちの考えを想像してみる。
◎「地下室などあり得ない」
・壁やこの世界の構造的に、一番外側のウォール・マリアやシガンシナ区で地下室があるわけがない。
・現在考えられる世界構造は
①宇宙船(宇宙コロニー)の内側
内側に壁が建てられているため、地下は外=宇宙空間なので地下室はあり得ない。
※ウォール・シーナには地下街があり、レイス家の教会には地下空洞も存在するが、これはウォール・シーナの標高が高いからではないかと考えれらる。分かりやすく言うと、壁の内側の土地は「中央を頂点とする三角錐(あるいはピラミッド形)」なので、盛り上がった分だけ地下空洞が存在できる。
②月の内側
内壁に壁があるので、地下は外=宇宙空間なので地下室はあり得ない。
③他の惑星(木星や土星の衛星)
例えばエウロパに壁がある場合、地下には氷または海が存在すると考えられている。つまり地下を掘ると水が出て、壁全体が水没する危険があるのかもしれない。
④他の惑星(木星や土星の衛星)の内側
②月の内側に同じ。
⑤ダイソン球で囲まれた惑星(人工惑星)。
他に「ダイソン球殻」「ダイソン殻」「ダイソン環天体」。
⑥実験用のケースやフラスコの中
⑦銀河障壁
壁のある場所だけでなく、太陽系を超えて銀河全体を鳥籠状態に囲まれて、外宇宙に出れない状態。
◎「地下室なら確かに巨人の秘密が隠されているかもしれない」
・壁やこの世界の構造的に、地下=巨人の秘密に直結している。
・たとえば、この世界は「壁」と同じ方法により巨人で作られた巨大な宇宙船で、現在も旅の途中である、と仮定する。その宇宙船の中で、人間は超長期の宇宙旅行をするために、あらゆる動植物、および労働用に動物を改造した人型生物とともに、生命球のような自己完結した密室系食物連鎖を構築し、自給自足の生活をしていた。そのようにして、多くの船が宇宙に旅立っていったのである。
宇宙船は外壁の中に空間があり、その空間に人工天体が浮かんでいる。卵の殻と黄身に似ている。人間たちはその卵の黄身に当たる人工天体で生活しており、太陽は外壁の内側に備え付けられた巨大なライトである。そして月は、宇宙船の外壁に開いた穴であり、その穴を通じて外部の宇宙空間と繋がっていた。外壁はゆっくりと回転しており、人工天体に昼と夜を与えている。
このような超長期の宇宙旅行では、乗組員の耐久力や寿命が問題となる。そのため、一種の生命維持装置として、巨人システムが利用された。乗組員は巨人細胞を移植され、宇宙船内の大気は巨人細胞で満たされた。これにより、乗組員が負傷しても、ただちに大気中の細胞を体に取り込み、傷を修復することができたのである。しかも巨人化して太陽光を浴びればエネルギーも補充できる。
ところが何者かが宇宙船内に、遺伝子汚染された巨人細胞(プリオン)をバラまいてしまった。たちまちパンデミックが発生し、次々と巨人化してゆく人間や動物。その時、一部の人間たちが自分たちの記憶を特殊な液体に保存することを思いついた。この液体は巨人化能力と同時に、注射された相手に自分の記憶と意志を継承させることができる。その記憶は子孫にも受け継がれる。つまり、何世代にもわたって、相手の血液中で疑似的に生き続ける事ができるのだ。
そして、このパンデミックが収まった時、誰かが巨人を見つけ、その体を調べて血液の異常に気付き、自分たちの記憶と意志を見つけて、再び人間の肉体に戻してくれることを期待した。要するに、巨人細胞パンデミックという災害を避ける為に、一時的に巨人の血液中に自分たちの記憶と意志を避難させ、ひたすら他の宇宙船からの救出を待つのである。一部の人間は実際に巨人に食われたが、生き残った人間は近くにあったある惑星に逃げ込もうと考えた。
宇宙船は大気中に汚染された巨人細胞を振りまきながら、その惑星に墜落した。その時、本来あり得ない事が起きた。その惑星にはすでに別の宇宙船が到着していたのである。砂漠で砂の一粒を探すに等しい確率で、二つの宇宙船の乗組員が出会った。
先に到着した宇宙船は、数百年前に出発した古い宇宙船だった。その宇宙船では、航行中に労働用の人造生物が人間から虐待を受けていた。人造生物のリーダー「ユミル」は乗組員のヒストリアから高度な知恵を与えられ、人間の技術を盗み、他の人造生物にも知恵を与えて反乱を起こした。ヒストリアは人造人間に味方した裏切り者として人間に殺された。ユミルたちはその惑星に降り、人間を駆逐して壁の中で人造生物の国を作っていた。
後から来た人間たちは巨人に追われて壁の中に逃げ込み、先に到着していた宇宙船よりも進んだ科学力で人造生物たちの国を侵略した。そして巨人から身を守るために、新たな壁を作るという命令(コマンド)を巨人にインプットするために、ユミルを人柱にした。
ユミルの体はコマンドとともに原子レベルにまで分解され、惑星を覆った。ユミルの細胞は生物のたんぱく質と融合し、いったん全てを融解させた後、ユミルの最後の意識を反映した世界や人間を再構築した。
◎「レイス家の教会の地下室(に当たる場所)かもしれない」
・この世界における真の王家の秘密に直結している。
◎「絶対に壁内人類に巨人や壁の秘密を知られてはならない」
・ライナーたちが故郷に帰れなくなる
・ライナーたちの勢力に都合が悪い
・世界が崩壊する