まだ誰も気づいていない伏線(2)ミカサの中にエレンの記憶 カルラ喰いとアニのエレン喰いの伏線

※ネタバレや考察自体がお好きでない方は絶対に閲覧しないようお願いいたします。

※以下の内容を読んだ場合、今後作品を楽しむ喜びを損なう危険があります。閲覧は自己責任でお願いいたします。

※作中の描写だけでなく、作り手の意図や傾向、自分ならどうするかなど推測も交えて考察しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※以下の情報は、作品を純粋に楽しむ喜びを損なう危険性が非常に高いと思われます。繰り返し念を押させていただきますが、閲覧は自己責任でお願いいたします。

 

※ネタバレを読みたくない、先入観を持たずに『進撃の巨人』を読みたい、楽しみたいという方は、ここから先は読まずに、引き返してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『進撃の巨人』のミカサ・アッカーマンには重要な秘密が隠されているようです。

ここでは、1巻第2話「その日」7巻第29話「鉄槌」を比較することで、ミカサの秘密の一端に迫ります。

 

 

1巻第2話「その日」 カルラ喰い

壁が超大型巨人の襲撃を受けて破壊され、シガンシナ区に侵入した巨人(通称 カルラ・イーター)にエレンの母カルラが食べられてしまいます。

では、カルラが巨人に食べられるシーンを確認しましょう。

 

 

<1>1巻第2話「その日」 カルラ喰い e1.jpg

巨人に喰われる直前、カルラは自分たちだけの”幸せな家”を思いだし、「行かないで・・・」とつぶやいて口を押えます。

カルラが口を押えたのはなぜでしょうか?

現在のところ、この言葉をハンネスが聞くと、ハンネスがそのコマンドを聞いて戻ってきてしまうからだと考えられます。

もう一つ考えられるのは、カルラとミカサの特殊な関係を示す伏線である可能性です。

この点については後述します。

 

 

<2>

カルラが喰われる瞬間、ミカサは目を背け、エレンは直視します。

カルラが喰われるシーンをエレンは見ているが、ミカサは見ていない。

ここが重要なポイントです!

 

 

<3>

その次のシーンでも、エレンがカルラの死を見ていることが強調されます。

以前「ユミルは子供?」でも考察した通り、『進撃の巨人』では目線が重要な意味を持っています。

このカルラを食べる巨人の絵と「パキパキ」という音を覚えておいてください。

 

 

<4>

さらにその後もエレンの顔のアップが描かれ、エレンがカルラの死を見たことが強調されます。

この一連のシーンは、カルラの残酷な死を目撃することによって「エレンが巨人と戦う見かけ上の動機」を作るだけでなく、エレンがカルラの喰われるシーンを「見ている」ことが非常に重要な伏線であることを、読者に印象づけようとしていることが分かります。

 

 

 


 

7巻第29話「鉄槌」 アニのエレン喰い

リヴァイ班4名が女型の巨人(正体はアニ・レオンハート)の襲撃を受けて全滅し、アニにエレンが食べられてしまいます。

では、エレンがアニに食べられるシーンを確認しましょう。

 

 

<1>

リヴァイ班の4名が全滅した後、自分が間違った選択肢を選んでしまった怒りで巨人化したエレンは、女型の巨人(アニ)の上段蹴りに敗北し、うなじから取り出されて喰われてしまいます。

ただし、アニはエレンを口に含んだだけで、飲み込んではいません。

このエレンを食べる女型の巨人の絵と「パキパキ」という音は、第2話でカルラを食べる巨人の絵とそっくりです。

そして、ミカサを頭痛が襲います。

この「ズキン」という擬音が頭から発していること、および、ミカサの目の表情が左右で違うことから、このミカサの顔のアップはミカサの二重性を表していると考えられます。

 

 

<2>

そして、ミカサは「行かないで」とつぶやきます。

これは巨人に喰われる直前のカルラと同じセリフです。

 

 

 

 

考察

この2つのシーンを比較して、隠された伏線を考察します。

 

 

◆29話の「エレン喰い」は1話の「カルラ喰い」の相似形


原作チームは意図的に「エレン喰い」のシーンを「カルラ喰い」に似せて描いています。
レイアウト、口元、髪の毛、口からはみ出した足、パキパキという擬音に至るまでそっくりです。


つまり29話の「エレン喰い」は、私が以前から指摘してきた「相似形」なのです。
読者に「エレン喰い」のシーンを見せて「カルラ喰い」を思い出させるのが目的です。

 


◆頭痛はエレンが喰われたショックだけではない


「ズキン」という頭痛は、読者と同じくミカサも「カルラ喰い」を思い出したことを表します。
この「ズキン」は、明らかにエレンが喰われたショックだけではありません。


なぜなら、ショックを受けただけなら頭痛は不要だからです。
実際に、アニメ版第21話「鉄槌」ではミカサがショックを受ける描写はありますが、頭痛の表現はありません。


また、この頭痛がエレンが喰われたショックでない状況証拠として、2巻第7話「小さな刃」でミカサがアルミンからエレンが死んだことを知らされるシーンが挙げられます。ミカサがエレンの死を知った直後には頭痛が起きていません。その後ガスが切れて墜落した後に「ズキンズキン」がありますが、今までよりも明確に頭痛ではなく手首の痛みに見えるように描かれています。

 


◆「ズキン」は特別な頭痛

 

通常のミカサの頭痛は「ズキズキ」であり、「ズキン」という頭痛は今までに無かった表現です。
そのため、この「ズキン」はミカサの脳内に何か特別なことが起きているというサインだと考えられます。


<要注意>
注意が必要なのは、連載初期のミカサの「ズキズキ」は、手首の痛みを頭痛に偽装している点です。初期の「ズキズキ」に集中線や方向線のような直接頭から発している描写が無いこと、「ズキズキ」の際に頭に手を当てていること等から、おそらく初期の設定ではミカサの手首に重要なアイテム(座標?)が埋め込まれており、それを隠すためにわざと手首の痛みと頭痛を混同させる描写にしていたと思われます。すでにアニメ版ではミカサが母から受け継いだのは「手首の何か」ではなく、「刺繍や模様」に変更されています。そのため、この手首の設定が2015年9月18日現在も残っているかどうかは不明ですが、今の漫画ではミカサの「ズキズキ/ズキン」は頭痛の描写になっています。

 


◆ミカサはなぜ「カルラ喰い」を思い出せたのか?


しかし、ここで問題があります。
ミカサはなぜ「カルラ喰い」を思い出せたのでしょうか?


ミカサは「カルラ喰い」のシーンを見ていません。
「カルラ喰い」を見ていたのはエレンだけなのです。


4巻第15話「個々」でも、エレンはカルラが巨人に食べられるシーンを思い出しており、彼がカルラの死の瞬間を記憶していることが強調されています。

もちろんミカサもカルラが巨人に喰われて死んだことは覚えているはずですが、この場面でわざわざ「カルラ喰い」と「エレン喰い」のヴィジュアルを似せているのは、明らかに視覚の記憶、すなわち「カルラの死ぬ瞬間を見ているか見ていないか」を強調するための演出と見るのが妥当でしょう。

加えて、ミカサは「カルラの死」を家族を失ったと表現したことはありません。1巻第3話「解散式の夜」でミカサは「なにより・・・ もうこれ以上家族を失いたくない・・・」と発言していますが、3巻第13話「傷」でイアンの「恋人を守るためだからな」という発言に対し、「・・・家族です」と答えていることから、ミカサの言う「家族」はカルラのことではなく、エレンのことだと思われます。

 


◆ミカサの中に別人の記憶がある


ということは、ミカサの中にエレンの記憶があるということになります。
そうでなければ、「カルラ喰い」を見ていないミカサが、「エレン喰い」のヴィジュアルで特別な頭痛が起きる理由を説明できないからです。

もう一つの可能性は、ミカサの中にある記憶がエレンではなくカルラの記憶である場合です。「ズキン」という頭痛が、ミカサの中のカルラが自分が食べられた時のことを思い出した描写だとすれば、その後のリヴァイの「お前の大切な友人だろ?」という発言に、ミカサが「ちがう 私は・・・」とつぶやいていることも、一応説明できます。ミカサは自分がカルラだったことを思い出して、「ちがう、友人じゃない。私はエレンの家族(母)だ」と答えたとも解釈できるからです。

 


◆まとめ


以上をまとめると、こうなります。


○「カルラ喰い」のヴィジュアルを見ているのはエレンだけである

 

○したがって「アニのエレン喰い」のヴィジュアルから「カルラ喰い」を思い出せるのはエレンだけである

 

○つまり、ミカサの中にはエレンの記憶が存在する(視覚的な記憶ではないが、巨人に喰われたカルラ自身の記憶とも考えられる)

 

 

 

 

 

 

カルラとミカサ

7巻第29話「鉄槌」で明らかになったミカサとカルラの相似形について考察します。

1巻第2話「その日」7巻第29話「鉄槌」を比較すると、カルラとミカサに奇妙な共通点がある事が分かります。

 

 

◆1巻第2話「その日」の瓦礫に埋まったカルラのセリフ

カルラ、遠ざかるエレン、ミカサ、ハンネス尾の後ろ姿を見て、自分たちだけの”幸せな家”を思い出す。

「・・・あ・・・・・・ ・・・い・・・ 行かないで・・・」

カルラ、自分の口を押える。

カルラ、巨人に喰われる。

 

7巻第29話「鉄槌」のミカサのセリフ

ミカサ、エレンが女型の巨人に喰われるを見て頭痛が起きる。

ズキン

ミカサ、逃げる女型の巨人を見てうつろな目でつぶやく。

「ま・・・ 待って エレン ・・・行かないで」

 

 

カルラとミカサは、”遠ざかるエレン”を見て「行かないで」と同じセリフを口にしています。

「エレン喰い」の絵を「カルラ喰い」に似せている事から、原作チームはカルラとミカサのセリフも意図的に同じにしていると見ていいでしょう。

 

では何故2人のセリフを似せる必要があるのでしょうか?

それは、ミカサとカルラが同一人物、あるいはそれに近い特殊な関係である事を示すためではないでしょうか。

 

だとすると、今度は2人のセリフの相違点が気になります。

ミカサがはっきりと「エレン」の名を呼んでいるのに対し、カルラは呼んでいません。

 

2人のセリフが同じだとすれば、この部分も実は同じだと考えられないでしょうか?

つまり、本当はカルラも「行かないで・・・エレンと言っているのではないでしょうか。

 

カルラが”遠ざかるエレン”を見て思い出した自分たちだけの”幸せな家”。

読者はその絵を見て、「4人の人物が描かれているのだから、奥のメガネの成人男性がグリシャ、向かい側の成人女性がカルラ、手前の女の子がミカサ、男の子がエレンだ」と勝手に思い込んでいます。

 

しかし、カルラがミカサと同一人物であり、カルラも「行かないでエレン」と言っていたと仮定すると、別の見方もできます。

すなわち、奥の成人女性ではなく、手前のミカサらしき女の子こそがカルラなのではないでしょうか。

 

もしそうだとすると、カルラが最後の瞬間にエレンの名前だけを呼ぶのは、読者に不自然だと思われる危険があります。

だから原作チームは、カルラの口を手で押えることで、エレンの名を呼ぶ部分を隠したのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最終更新:2015年09月19日 14:42