311系電車は東海旅客鉄道の近郊型電車である。

中京圏の新快速用として登場

 JR東海道本線の豊橋~岐阜間では名鉄名古屋本線と熾烈な競合が続いているが、国鉄時代は長距離列車や貨物列車重視のダイヤスジが引かれており、それがJRになってからも続いていたので当初は都市鉄道としての機能はまだ弱かった。

 平成元年(1989年)3月、そんな状況を打破すべく、快速より停車駅の少ない新快速が登場する。従来の快速と併せ、快速列車の毎時4本体制を実施しようとしたが、車両不足によって完全には実現できなかった。そこで登場したのが311系電車である。

 311系は同年7月9日、金山総合駅が開業したダイヤ改正でデビュー。毎時2本設定された新快速のうち1本に投入。残りを117系211系0番台が担当した。当初の運転区間は蒲郡~大垣間だった。

高速運転と大きく進歩したアコモデーション

 ボディは211系のデザインを踏襲した軽量ステンレス製ボディだが、211系より若干丸みを帯びている。帯はJR東海のコーポレートカラーであるオレンジを基に、窓下部分は上下を白く縁取られている。
 車内ではグレー系の転換クロスシートが並び、シックにまとめられている。さらにLEDマトリクス方式による案内表示機やカード式公衆電話といった当時最新・最高の設備を備えていた。

 311系新快速は近郊型電車で初めて最高速度120km/hで運転した。この高速運転に対応するために台車やブレーキに相応の機軸が盛り込まれている。

快速から普通列車中心の運用へ

 311系の新快速は運転を始めると一躍東海道線の主役に躍り出る。その高速運転と快適性は平成2年(1990年)にデビューした名鉄1200系にも影響を与えている。
 平成2年3月には増備が行われ、新快速は311系に統一。運転区間が豊橋~大垣まで延長される。さらに翌平成3年にも増備され、最終的に4両編成15本の計60両が製造された。

 新快速運用を中心に、不定期で休日の快速「ナイスホリデー近江路」や「ナイスホリデー木曽路」にも充当されるようになり、311系は北陸本線長浜や中央本線塩尻まで顔を出すようになる。

 平成11年(1999年)、JR東海の近郊型電車の決定版、313系が登場すると、快速系の運用に313系が優先的に充てられ、311系は徐々に普通列車での運用が主体になってくる。そして平成18年(2006年)10月、313系5000番台の登場によってほぼ終日普通列車のみの運用となった。
 しかし、平成20年(2008年)3月に1運用のみ新快速が復活している。

311系(高塚駅にて)

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最終更新:2008年09月20日 22:11