秋田諏訪宮(秋田県)

  • 名称
   秋田諏訪宮(あきたすわぐう)
 《旧 称》諏訪神社

  • 所在
   秋田県仙北郡美郷町六郷字本道町19
  • 交通
   羽後交通「六郷上町」(JR東日本 大曲駅から横手方面)


  • 奉仕者


  • 社格
   別表神社
 《旧社格》県社(大正8年)


  • 御祭神
 ・健御名方富命(たけみかたかとみのみこと)
 ・八坂刀女命(やさかとめのみこと)
 ・他、九柱の神


  • 摂末社


  • 祭事

  • 六郷のカマクラ行事(重要無形民俗文化財)
  → 鎌倉時代から京都御所清涼殿の東庭で行われた天子の吉書焼きの「左義長」の遺風を六郷の地頭二階堂氏が当地に移したものと伝えられている。現在の形式が定着したのは江戸初期の頃。
 2月11日:蔵開き、天筆まつり
+ 蔵開き、天筆まつり
蔵開き
 元旦から2月11日まで米の蔵出しを休む習わしで、蔵の前に据え膳をしてお灯明をともし、この日から蔵出しを始める。

天筆まつり
 子供たちは11日、天筆を書いて翌日に備える。この天筆は、吉書、書初めであり、子供たちが自分で書き、自分で書けない幼年の者は父兄が代筆し、15日の夜にかまくらに持って行く。天筆の作り方は、半紙を横に三つに断ち、それを長く継ぎ合わせ、長さは各自の好みにもよるが、3~5mほど。白紙ばかりではなく、緑、黄色、赤、白、青の順に色紙を継ぎ合わせて作るものもある。
 この天筆に書く文句はいくつか例がある。例えば、
「奉納鎌倉大明神 天筆和合楽 地福円満楽 々々 新玉の年の始めに筆とりて万の宝かくぞあつむる 何年正月吉日 氏名 年齢 敬白」など。
初めには必ず天筆和合楽と書き最後には前記の和歌一首を書く。五穀豊穣楽、天下太平楽、家内安全楽といったような長いものもある。

 昔の寺子屋があった時代には、習字の手本に天筆手本というのがあってそれを習わせたが、現在はいろいろと変化し、最近では交通安全楽というものもある。元々は男の子が2人いれば2本、3人いれば3本と男の子の数だけ作り、女の子は立てない習わしだったが、今は女の子の分も作る。

 12日は市が開かれ小正月年越しの準備の日である。この日から天筆を長い青竹の先につけて戸外に立てておく。全町の数千本の天筆が寒風にたなびく様は壮観である。
 2月13日:鳥追い行事
+ 鳥追い行事
 13日あたりから、鳥追い小屋作りが始まる。鳥追い小屋と呼ばれる雪室は、雪を40cmくらいの厚さに四角に積み上げて、天井に茅を編んで作った筵(むしろ)を載せて作る。鳥追い小屋の中に「鎌倉大明神」が祀られ、子供たちは互いに鳥追い小屋を訪問し合い、鳥追いの歌を歌ったりして過ごす。15日になると小正月の餅つきが始まり、柳まゆ玉を作って神棚を飾る。まゆ玉は餅花、団子花ともいい柳の小枝にまゆ玉の餅を付けて作るが、これは稲穂をかたどったもので神棚や米俵の上に立てて豊作を祈願するものである。
 2月15日:天筆焼き、竹打ち神事
+ 竹打ち神事、天筆焼き
 2月15日午後7時ころ木貝が鳴り続け、各町内で必勝祈願出陣式を終えた若い衆が青竹を担ぎ駆けだす。そして、約5mほどの竹を上下に振り下ろし叩き合う竹うちが始まる。午後8時半ころ両軍の息詰まるような沈黙が破れると、場内は人と竹の修羅場となり竹の打ち合い、割れる音、相手を殴りつける掛け声、ライトの灯りが雪に青白く映じて奮戦する竹の勇士が闇の中に浮き出される。やがて9時ころひときわ高く木貝が鳴り響けば、神官が松ニオをお払いし、これに点火して、3回目の決戦が行われる。天筆を焼くかがり火の中での決戦である。そして、この竹うちで北軍が勝てば豊作、南軍が勝てば米の値が上がると言い伝えられている。安全のため、対戦者は作業用安全ヘルメットの着用が義務付けられており、竹をつつくことは反則とされている。これが終わると、今まで打ち合いしていた者同士が握手しながら松ニオの周囲に集まり、「今年も豊作であるように」と念じながら割れ竹で御神火を打ち合う。

 竹打ちの3回目の決戦の際には正月の注連飾りや神符、門松とともに天筆を焼く、天筆焼きが行われる。

   8月24日:例祭


  • 由緒と歴史
 社伝によれば延暦21年(802)、征夷大将軍坂上田村麻呂が日本武尊の業績を偲んで創建したという。
中世を通じて六郷村の総鎮守として近隣住民から崇敬され、特に鎌倉時代から南北朝時代にかけて地頭となった二階堂氏(後に六郷氏となる)の崇敬篤く、社領を寄進し、社殿を改修したと伝えられている。
近世以降は、商売繁盛に御利益がある神社として信仰を集め、1919年(大正8年)に県社となった。 1953年(昭和28年)神社本庁別表に列し、1987年(昭和62年)これまでの「諏訪神社」を「秋田諏訪宮」と改称した。


  • 文化財
「六郷のカマクラ行事」:重要無形民俗文化財(昭和57年1月14日指定)



  • その他
最終更新:2009年05月04日 15:51