◆折敷とは
をしきとは“をりしき”の略で、安齋随筆には「をりきとは檜を折りまげたるを云ひ、しきとは物の下に敷いて台とする意である」と言う。然し倭訓栞には「方盆にて木の葉を折敷いて杯盤となせし上古の名の残れるもの也」と云っている。食事の時の一種の御膳の用をなすものである。神饌は多くは三方で奉奠するが、折敷を用いる事もある。また高杯の上に乗せて、折敷高杯と称する。その折敷と高杯を膠着せしめて漆塗りにしたものが塗高杯である。
普通、折敷と言えば三方の台(胴)のない形のものを言うが、折敷の種類はすこぶる多くある。
→折敷に繰 形のある足を付けたもの、高折敷というのも同じものであるという。
→へぎとは折の意味で、比、片木の字も用いる。板を薄くへぎたるまま削らないで作ったもの。
→鉋で削って整えたもの。然し神宮典略には「鉋懸~中略~小折敷と云ふもかかる物なるべし按ふにこは今の五寸枇四寸枇など云ふもの。」
→四角なもの。
→四角の四隅を切ったもの。
→大きさ三寸四方のもの。
→大きさ五寸四方のもの。
→大きさ八寸四方のもの。単に八寸ともいう。
→そばきらずの略で、角を切らず、また足に繰方のないもの。
→素朴にでき、分厚く造ったもの。
→貞丈雑記に「大きさ五寸四方、ふち高さ一寸五分計」とあるように菓子などを盛るに便なるように縁を高く作ったもので、一種の足付の折敷である。
→類聚雑要抄に見える。胡粉で種々の絵を描いたもの。
→類聚雑要抄に見える。胡粉を塗って白くしたもの。
以上。今も春日神社には繪折敷(塗折敷)・白折敷が用いられる。拾遺和歌集には朽葉
色の折敷、千載集には杉の折敷というものが見え、調度口伝には高折敷・塗折敷・小折敷などが挙げられ、また吉野折敷、半月折敷、朱の折敷、紫檀の折敷、沈の折敷、銀の折敷などいう種類もある。古器考に「或は胡粉を塗り、雲母を引きて其後繪をかき或は沈を以て作り又白木なるもあり且つ面に綾絹を押し下に折敷を敷き或は台盤に載せ高杯に据え或いは席にも置くことあり諸記に見えて疑い無し」とある。
最終更新:2009年12月22日 05:19