折敷(おしき)

折敷(おしき)とは

 をしきとは“をりしき”の略で、安齋随筆には「をりきとは檜を折りまげたるを云ひ、しきとは物の下に敷いて台とする意である」と言う。然し倭訓栞には「方盆にて木の葉を折敷いて杯盤となせし上古の名の残れるもの也」と云っている。食事の時の一種の御膳の用をなすものである。神饌は多くは三方で奉奠するが、折敷を用いる事もある。また高杯の上に乗せて、折敷高杯と称する。その折敷と高杯を膠着せしめて漆塗りにしたものが塗高杯である。
 普通、折敷と言えば三方の台(胴)のない形のものを言うが、折敷の種類はすこぶる多くある。
  • 足付の折敷また足打とも木 具(きぐ)とも言う。
 折敷に繰 形(くりかた)のある足を付けたもの、高折敷(たかをしき)というのも同じものであるという。
  • へぎ折敷。
 へぎとは(へぐ)の意味で、(へぎ)片木(へぎ)の字も用いる。板を薄くへぎたるまま削らないで作ったもの。
  • かんなかけ折敷(かんなかけ)
 (かんな)で削って整えたもの。然し神宮典略には「鉋懸~中略~小折敷と云ふもかかる物なるべし(おも)ふにこは今の五寸(へぎ)四寸(へぎ)など云ふもの。」
  • 角の折敷(平折敷・角不切(すみきらず))など
 四角なもの。
  • 角切の折敷
 四角の四隅を切ったもの。
  • 小角(こかく)
 大きさ三寸四方のもの。
  • 中角(ちゅうかく)
 大きさ五寸四方のもの。
  • 大角(だいかく)
 大きさ八寸四方のもの。単に八寸ともいう。
  • そば折敷
 そばきらずの略で、角を切らず、また足に繰方のないもの。
  • 山折敷(やまをしき)
 素朴にでき、分厚く造ったもの。
  • 縁高(ふちたか)折敷
 貞丈雑記(ていじょうざっき)に「大きさ五寸四方、ふち高さ一寸五分計」とあるように菓子などを盛るに便なるように(へり)を高く作ったもので、一種の足付の折敷である。
  • 繪折敷(えおしき)
 類聚雑要抄(るいじゅうざつようしょう)に見える。胡粉で種々の絵を描いたもの。
  • 白折敷(しろおしき)
 類聚雑要抄に見える。胡粉を塗って白くしたもの。


 以上。今も春日神社には繪折敷(塗折敷)・白折敷が用いられる。拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)には朽葉(くちば)
色の折敷、千載集(せんざいしゅう)には杉の折敷というものが見え、調度口伝(ちょうどくでん)には高折敷・塗折敷・小折敷などが挙げられ、また吉野折敷、半月折敷(はんげつおしき)、朱の折敷、紫檀(したん)の折敷、沈の折敷、(しろがね)の折敷などいう種類もある。古器考(こきこう)に「或は胡粉(ごふん)を塗り、雲母(うんも)を引きて其後繪をかき或は沈を以て作り又白木なるもあり且つ面に綾絹を押し下に折敷を敷き或は台盤に載せ高杯に据え或いは席にも置くことあり諸記に見えて疑い無し」とある。





最終更新:2009年12月22日 05:19