辟署
辟召・辟挙とも。地方長官が下僚を任用する制度。節度使などの地方大官において、判官以下の下僚の任命は、長官たる使の自己裁量によって行われた。もとは隋代以前は地方長官が独自裁量で下僚を取り立てていたが、
文帝の時代より州県の属僚のうちの上層部、九品以上の官はことごとく中央吏部からの派遣に改められた。吏部は貴族の牙城であり、科挙は貴族層以外の者にもひろく門戸を開いていたが、名門の出ではない者は、進士の試験に合格しても、吏部の関門を通過するのは困難であった。そのため科挙合格者ですら最初に正規の官署につかず、使院への辟召に応じる者が多かった。
参考文献
礪波護『唐の行政機構と官僚』(中央公論新社,1998年8月)
最終更新:2025年08月03日 00:40