人権擁護施策推進法
わが国において
人権教育が本格的に始まったのはそれほど古くないということに留意しておく。
1994年末の国連総会において1995年1月1日からの10年間を「
人権教育のための国連10年」とすることが決議された。その中で、1997年(平成9年)3月に施行された法律である。第3条によって
人権擁護推進審議会が設置された。審議会では、
同和問題、男女差別、セクシュアル・ハラスメント、家庭内暴力、虐待、
いじめなどの学校での諸問題、家庭内における問題、高齢者・障害者・アイヌ・外国人・HIV感染者に対する差別などの問題が現状として挙げられている。また、この法律は第一条の中で社会的身分が最初にあげられていることから「同和問題の早期解決」を重視した立案であったことが提案理由を照らし合わせても明らかであるといえる。
(目的)
第1条 この法律は、人権の尊重の緊要性に関する。認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権の擁護に関する施策の推進について、国の責務を明らかにするとともに、必要な体制を整備し、もつて人権の擁護に資することを目的とする。
(国の責務)
第2条 国は、すべての国民に
基本的人権の享有を保障する
日本国憲法の理念にのっとり、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策並びに人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策を推進する責務を有する。
(人権擁護推進審議会の設置)
第3条 法務省に、人権擁護推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、法務大臣、
文部科学大臣、総務大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項を、法務大臣の諮問に応じ、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、内閣総理大臣、法務大臣、文部科学大臣、総務大臣又は関係各大臣に意見を述べることができる。
(人権擁護推進審議会の組織等)
第4条 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者のうちから、法務大臣が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
4 審議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
6 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。7 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。8 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。平成9年3月25日(平9政068)(この法律の失効)
2 この法律は、前項の政令で定める日から起算して5年を経過した日にその効力を失う。
最終更新:2007年09月26日 16:25