給食費未納問題について
近年、主に
小学校において、給食費を滞納する保護者が増えている。給食費は
義務教育であっても保護者が負担しなくてはならない。しかし、給食費を何ヶ月、あるいは1年以上にわたって滞納し、学校側の再三の督促にも応じない家庭が多い。その多くは経済的理由ではなく一方的な理由で払えるのに払わない家庭である。経済的理由で支払いの出来ない家庭、例えば生活保護や
就学援助を受けている家庭では、給食費も上乗せて支給する制度もあるため、滞納している保護者に指導することは可能である。しかし、明らかに金銭的余裕のある家庭でこうした給食費の滞納が増加している。
学校側は、給食費を滞納している保護者に対し、書面で支払いを促したり、それでも応じない場合には学校へ呼び出したり、家庭訪問を行うなどの対策をしてきた。それでも居留守を使ったり、支払うと約束してもその後放置したりする保護者が後を絶たない。給食費を支払う誓約書を保護者に書かせる学校もある。こうした悪質な滞納者については、学校側も法的手段を取る姿勢を見せている。このように、支払う金銭的余裕があるにもかかわらず、滞納されていることは保護者のモラルの低下であるとしか考えられない。それでも、学校側は保護者が給食費を支払っていないからといって、その児童の給食をとめることも出来ない状況である。
給食費を滞納する保護者の言い分で多いのが「義務教育だから払う必要はない」という考えである。確かに、義務教育において授業料の徴収は行わないことが
教育基本法で定められている。しかし、給食費に関しては保護者の負担となっている。義務教育の無償化という観点に立てば給食費の負担は必要ないともいえるが、負担を義務付けている以上、その考えを盾に滞納を正当化することは間違いだろう。ヨーロッパなどでは学校で給食が行われることは少なく、児童は昼に自宅へ帰って食事をしたり、学校外で自分の責任において行われることが多い。しかし日本においては「食育」の観点からも健全な食事の指導や栄養の指導として給食が重んじられている。
学校教育の重要な要素となっているため、ヨーロッパのように給食をなくすことも出来ないと思う。
学校側の給食費の徴収方法についても問題があると考えられる。かつては「給食袋」といわれる袋に現金を入れ、それを児童に持たせ学校で回収する方法が行われてきた。現在では口座振替などの方法を導入している学校もあるが、未納であることが周囲に知られにくいため、より滞納者が出てしまうと言う問題もある。給食費を滞納しにくい徴収方法として、口座引き落としという方法が挙げられると思う。これは毎月口座から自動的に引き落とされるので、支払いの手間が省け有効であると考えられる。給食費以外の修学旅行費の積み立てなどを口座引き落としで行っている学校もあるが、給食費にこの制度を導入することは難しいといわれている。引き落とし手続きの難しさもあるが、例えば学校ではなく給食センターで給食が作られている場合、給食費は給食センターや市区町村など学校外に支払う形になるため、給食費の納入先が異なってしまう。給食費の徴収には課題も多いが、学校側の徴収方法の工夫が必要であるだろう。
給食費未納問題は、学校の児童にはどのように影響しているのだろうか。その児童の保護者が給食費を滞納しているからといって、その児童が給食を食べられないということはない。そのため親が給食費を滞納していても、その児童は普通に給食を食べることが出来る。給食費の滞納はあくまでも保護者と学校の問題であって、児童に影響が及ぶべきではないと考える。例えば
ホームルームなどで担任が給食費を支払うよう、保護者への書面を児童に持たせることもある。この場合、高学年ともなれば状況を把握することがあるかもしれないが、基本的に児童に影響はないだろう。しかし、親のモラルの低下は子どもたちに悪影響を及ぼす危険性もある。また水戸市では、30代の女性教師が担任する学級で給食費を滞納している保護者の児童を名指しするという事件も起こった。この担任は「帰りの会」で児童1人を名指しした後、「払っていないお金が何ヶ月もたまっている」などと発言したという。この女性教師は他の児童の保護者から指摘を受け、不適切な対応だったとして名指しした児童に謝罪した。この事件では担任に問題があったのは言うまでもないが、滞納している事実が教室内で明るみに出た場合は児童に影響があると考えられる。親の滞納によってその児童が教室内で立場を悪くするような状況は避けるべきだろう。
このように、給食費未納問題については、保護者に規範意識を向上させること、学校側の納入方法の工夫が必要である。また給食費の滞納はあくまで保護者の問題である。給食費を食べる児童への影響も踏まえて、滞納者が減少するようあらゆる措置を行うことが求められている。
ゆき
最終更新:2008年02月20日 00:49