全障研は「発達保障を中軸とした権利としての障害者教育の創造」を方針として掲げ「1979 年をまたずして可能
な自治体から『希望者全員就学』を実現する」ことを提起するものであった(全国障害者問題研究会全国事務局,
1977)。また、「私たちの考える養護学校義務制実施とは総合的社会保障制度の基礎づくりと結合した義務制実施へ
の一歩を進めることによって、憲法・教育基本法理念に基づく義務教育制度の完成をはかるものです。そこでは父母、
教職員の納得の上で障害児の能力、学力の発達をはかるという意味での障害児教育の発展、充実のなかに、養護学
校をはじめとする関係諸機関の整備をはかることを当面しっかり位置づけようとするものです。(全国障害者問題研
究会全国事務局,1977)」という立場をとった。このように全障研にあっては「障害児の能力、学力の発達をはかる」
という「発達保障」の取り組みに重点がおかれ、養護学校をはじめとする「現にある条件」がいかなる社会的制度
的意味をもって存在しているのか、普通児の教育と切り離され、隔離された「条件」のもとで進められる「希望者
全員就学」や「発達保障」の実践がいかなる意味をもってしまうのかといった反省はみられず、その取り組みを前
進させていくことこそが「障害者」の「権利としての教育」を保障し、実現することとされている。全障研の主張は、
就学にあって何よりも「子どもの障害の発達の見通し」を重視し、「科学的教育措置」を要求していく点にあった。
最終更新:2013年03月04日 09:56