第二十一条
小学校においては、
文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は
文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
○2 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。
○3 第一項の検定の申請に係る教科用図書に関し調査審議させるための審議会等(国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第八条 に規定する機関をいう。以下同じ。)については、政令で定める。
この条文は非常に論争的な問題を含んでいます。
論争的という意味は、そもそも
検定制度は是か非かという問題がありますが、(それは
教科書訴訟で争われています。)その点はおいて、学校の教科書が検定教科書でなければならないという前提にしても、「使用しなければならない」ということの意味が論争の対象となっているわけです。
ひとつの解釈は、絶対に検定教科書を使用しなければならない、という解釈です。この解釈によると、教科書を使わない授業をやると、学校教育法違反ということになります。しかし、実際に教科書を使わずに、主に自作のプリントを使用して授業を行う先生は少なくありません。しかも、そういう授業の方が生徒の高い評価を受けていることが多いのです。そうすると、そういう生徒の評価の高い授業をやっていることが、学校教育法違反ということになってしまいます。それは妥当な法律解釈なのでしょうか。
ということで、違う解釈が出てきます。それは、教科書として使用するのは、検定教科書でなければならないが、教科書を使って授業をするか、あるいは違う教材を使って授業をするかは、教師あるいは学校として決めればよい、という解釈です。
第二項で、有益適切なものは教材として使用できることになっているのですから、少なくとも、教科書以外の教材を使用することは法的に可能なわけですが、では、そういうものだけで、教科書をほとんど使用しないということが、この条文解釈としてはどうなのか、そして、教育的にどうなのか、いろいろと考えてみましょう。
最終更新:2007年03月05日 23:03