アイデンティティ (identity)


 エリクソン(Erikson,E.H)の人格発達理論における青年期の心理社会的危機を示す用語。同一性・自我同一性と訳される。
 自己を社会の中に位置づける問いに対して、肯定的かつ確信的に答えられる状態をアイデンティティの確立と言い、逆に、自己の社会的位置づけを見失った状態をアイデンティティの拡散と呼ぶ。

 エリクソンの人格発達理論は以下の8段階から成る。

 ①乳児期  : 信頼 vs 不信
 ②幼児前期 : 自立性 vs 恥・疑惑
 ③幼児後期 : 自発性 vs 罪悪感
 ④学童期  : 勤勉性 vs 劣等感
 ⑤青年期  : アイデンティティ確率 vs アイデンティティ拡散
 ⑥成人前期 : 親密性 vs 孤立
 ⑦成人後期 : 世代性 vs 停滞
 ⑧老年期  : 統合性 vs 絶望

各段階での危機をうまく乗り越えることが、健全な人格形成につながるとされている。

また、アイデンティティの拡散の症状は以下の7つである。

 ①時間的拡散 : 時間的展望・希望の喪失
 ②同一性意識 : 自意識過剰
 ③否定的アイデンティティの選択 : 社会的に望ましくない役割への同一化
 ④労働麻痺  : 課題への集中困難や自己破壊的没入
 ⑤両性的拡散 : 性アイデンティティの拡散
 ⑥権威の拡散 : 適切な指導的役割、従属的役割がとれる
 ⑦理想の拡散 : 人生のよりどころとなる価値観、理想像の混乱



saya
最終更新:2008年03月10日 00:47