書きフライ☆wiki支部内検索 / 「ユメビト05話」で検索した結果

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  • 烏ノ綴ル自販機★crowの作品
    ... ユメビト04話 ユメビト05話 ユメビト06話 ユメビト07話 ユメビト08話 ユメビト09話
  • ユメビト02話
    不純だ。 この世界は不純だ。 水が弾ける音がひとつ、ふたつ。 創られては消され、創られては消され―。 どうして私にはユメが見れないのだ。 ユメでしか無いのだ。 「ほう、ユメビト候補ですか。」 「ええ、先代の王が選出した大臣も来年には13歳となってしまいます。」 「しかし、早すぎはしませんか?」 そう言い、重なった書物を本棚に丁寧に戻していく。 その本棚には童話など一冊も無い。 「そうは言ってられないのですよ、ユメビトは長い経験が必要です。 シミュレーション能力だって、そう簡単には身につかない。」 最後の一冊となった書物を大事そうに抱え、 睡眠の邪魔が入らないように隅々まで整備されたベッドへと歩き出す。 「それでは、失礼しますね。」 防音加工されたその重苦しい扉のノブに手をかける。 「シオン、お待ちなさい。」 「…?ああ、そうでしたね。」 振り返ると、まだ幼さが残る王が居る。 ゆっくりと近付...
  • ユメビト04話
    嫌な感触だ。 そうだ、この感触。 忘れられない。 忘れたい。 「シオン、今すぐに大臣の候補を。」 「承知いたしました。」 あとは夢の中であったことをもう一度行うだけ。 それだけなのに。 「こちらがリン様、ケイト様です。」 「…え?」 そう、この感覚。 何度目だろう。 「シオン、あと一人はどこです?」 「…大臣候補は二人ですが?」 違う、そうじゃない。 ユメビトの在るべき意味は、二度と失敗を起こさない為。 なのに何故、こうなるんだ。 「アンジェという少年は?確かに居るはずです。」 「ルカ様、一体どうなさいました?」 「…いや、何もありません。この計画書を読んで下さい。」 言えない、夢と現実が変化したなんて。 この座を譲るわけにはいかない。 ユメビトをもう生まないために。 私は、やり遂げなければいけないんだ。 もう、これ以上悲しみは連鎖させてはいけない。 ―「そうですか…。」 結果は変わらなか...
  • ユメビト03話
    私は貴方様の役に立とうと努力をしてきたというのに、 ほんの少しのご褒美を求める事さえ許されないのでしょうか? 罪なのでしょうか? 冷たい。 寒い。 恐い。 痛い。 額の熱だけが、私を繋ぎとめる。 「シオン、今すぐに大臣の候補を。」 「承知いたしました。」 時間がないんだ、僕には。 こんな痛み忘れ去りたいんだ、今すぐにでも。 「こちらが候補のリン様、ケイト様。そして、アンジェ様です。」 そこに並んだのはまだ幼い、見た所十歳にも満たないだろうと思われる、 小さな女の子と二人の男の子が並んでいた。 「はじめまして、リンと申します。私は主に経済を担当します。」 「僕はケイトです。騎士団の管理を担当します。」 まだ小さな子供の口から発せられる、 その丁寧な言葉遣いには違和感があった。 そして、これがユメビトなのかと改めて理解した。 これ以上悲しい運命を背負ったユメビトは、生んではいけない。 そう実感...
  • ユメビト01話
    そう、それもまた夢のお話。 成人性夢喪失症候群。 13歳以上の人間は例外なく、夢を見れなくなってしまう病。 現実的な考えばかり優先し、待遇された国家が多くなり、 人はそれに適応するように夢が見れなくなっていった。 生きる上では何ら支障のない病―のはずだった。 夢を見れなくなった人々が行く先は 戦争、内戦など争いは絶えず腐敗した世界。 誰も幸せを願わない、誰も幸福な世界を夢見ない、 そんな人々が腐敗するのは当然だった。 多くの血が流れ放置され、謎の病原菌が繁殖。 いつしか世界は 魔物 と呼ばれる存在を生み出した。 夢を見れない大人達はその現状から抜け出す事が出来なくなり、 大人達は決断を強いられた。 国家の政治をまだ幼い少年、少女に任せる事。 特に、夢の中で自由自在に動き回れる子供達、 脳内でのシミュレーションに長けている子供達に。 その子供達を大人は、『 ユメビト 』と呼んだ。 「しかし、...
  • ユメビト05話
    痛い。 どうしてだ。 とてつもなく、痛い。 ―「二日後にヴェラスの臨海地に現れる魔物は―。」 「…ルカ様?」 「…すいません。もう一度説明して頂けますか?」 ふと我に戻る。 この頃ずっと考えてしまう。 何故、夢と現実が変化しだしたのか。 一体、彼は誰だったのか。 そして、あの感触は誰のモノなのか。 「―というわけで、ヴェラスの農村地に騎士団を配置したところで被害は防げません。」 「そうですか、では村の人々に避難勧告を出しましょう。」 疲れた。 夢の中でしなければいけない事をやり終える頃には倒れそうになる。 いつものようにベッドへ向かう。 こんな痛みをいつまでも感じて居たいなんて思えない。 「…!」 フードを被った小さな少年が、こちらに歩いてくる。 確かに見覚えのあるその姿。 私の目の前で立ち止まった。 「…アンジェ君…、き、君は一体…?」 体が痛む。 意識が遠のきそうになる。 「…。」 「...
  • ユメビト06話
    ユメの世界で見た、ユメの世界が一体何処か 貴方はご存知ですか? 不可解だ。 ユメビトとしての最高適正能力を持っているはずなのに、 この数々の変化は何なのだろう。 何が違う? 何がそうさせた? 「ルカ様。紅茶はいかがでしょうか?」 「お願いします。」 誰だったんだ、彼は。 彼は何を言おうとしたんだ。 「どうぞ、ルカ様。」 「ありがとうございます。それと、シオン。」 「何で御座いましょうか?」 淹れたばかり紅茶の上には、湯気がゆらりと躍る。 「あの本は何処ですか?」 「こちらですよ。」 少年の片腕にいつも大事そうに抱えられている本。 その中身はいたって普通の童話だった。 彼が唯一、子供に戻る時間。 ただ、その本だけが「王としての彼」と「子供の彼」を繋ぎとめていた。 「さぁ、そろそろ眠ります。」 「承知致しました。」 そうして私はいつものように眠る。 今日は、何故だかいつもより気が楽だ。 いつも...
  • ユメビト09話
    ―終わった。 リンは倒れていたが、気を失っているだけだった。 それを見て、安堵した。 「大丈夫ですか?」 フードを被った小さな少年が歩み寄ってきた。 「ええ、助かりました。」 「その傷…。こちらまでいらして下さい。」 小さな家屋に二人を案内し、少女をベッドに降ろす。 一息を吐こうとした時、突然重そうなドアが閉められた。 「ケイトさん。」 「…!?どうして、僕の名前を…?」 「お二人はどうして此処にいらっしゃったんですか?」 そう言いながら、部屋の隅のテーブルから、 救急箱を重そうに運んでくる。 「貴方には関係の無い事です。」 「ルカ様の救出…ですよね。」 救急箱から消毒液や包帯などの一式を取り出し、 慣れた手つきで応急処置を施していく。 「…!?お前は何者だ…!」 少年の手を払い、咄嗟に距離をとる。 「そんなに驚かないで下さい、私は貴方たちの敵じゃない。」 「何を知っている!」 「知ってい...
  • ユメビト07話
    「なぁ、やめないか?」 「これも仕事です。私たちには使命がある。」 普段持ち慣れない、幼い少女にはまだ大きい剣を携えて、 金色の長い髪の間から見える、女の子らしい顔は今はもう無い。 ルカ様を目覚めさせるために、ただその目的だけが彼女を突き動かしていた。 「こんなの、やっぱりよくない。」 此処は、夢の中。 厳密にはルカ様の今見ている夢の中だ。 夢は記憶を反映する。 だからこそ、その人の意志が強く出るもの。 「荒んでる…。」 「そうね…。」 この世界には悲しみが溢れていた。 街は廃れ、魔物は多く徘徊し、人々の姿はもう無かった。 「もう少しで―。」 「危ない!」 狼の姿をした、一匹の魔物が彼女に襲い掛かった。 避けはしたが、狼の鋭い爪は確実に心臓を狙っていた。 「ここは僕が!リンは下がって!」 重々しい一本の剣を抜き、狼の目の前に突き出す。 使い慣らされた剣は、狂い無く魔物を捉えていた。 まだ彼...
  • ユメビト08話
    「くそ…っ!」 彼はもう限界に達していた。 いくら騎士団の最高位だとしても、 これだけの量を相手するのは不可能だった。 剣も既に刃が欠け、使い物にならなかった。 「ここで負けるわけには…!」 彼には守るべきものがあった。 その存在が、彼を身体を動かし続けさせた。 「危ない!」 彼は彼女を覆うようにかばった。 狼の爪が背中に喰い込む。 その度、平気な顔をして彼女に見せるが、 数え切れない傷が、彼の痛々しさを物語る。 「ごめん…なさい…。」 少女の頬に伝う滴が、彼の足元に落ちる。 どうして、何故だ。 何故、僕等の邪魔する。 どうして、何故だ。 何故、君に涙が流れる。 この手は何故、彼女一人守れないんだ。 「これを!」 聞き慣れない声。 少年の胸元に向かい飛んでくる剣。 もう既に限界を迎えた身体を翻し、 空中で捕まえ、一気に鞘を振り抜く。 その勢いのまま滑走し、流れるように切り裂いていく。 限界...
  • 5話
     午後、星光(シングァン)は王宮の練兵所に居た。晴れた空に響く男達の 掛け声が耳に心地よい。この時間は星光にとって数少ない安らぎの時だった。 胴当てをつけて木刀を握ると、ほんの少しの間政務の息苦しさから解放 される。  星光は弓の練習場へと足を向けた。数十人の兵士達がおり、そのうち何名 かが弓を引いている。星光に気付くと、弓を下ろして挨拶しようとしたが、星 光はそれを手で制した。「構わん。続けろ。」  兵士達の弓が一斉に唸りを上げた。矢はすさまじい速度で飛んで行き、全て 的に当たった。星光は道具係に声をかけた。「俺にも弓をくれ」  弓を受け取って戻ると、兵士達が次々に声をかけてきた。「殿下、 射られるのですか」「今回は負けませんよ。」それを聞くと、星光はニヤリと 笑って言った。  「お前ら下手く...
  • サクラビト
    私は少女なのです。 唯の少女なのです。 そこら辺に居るような少女なのです。 一介の、普通の、平凡な――女子学生なのです。 だから此の物語の中で、私についてはあまり触れません。 触れたくもありません。 どこにそんな必要があるのでしょう。 誰も望まないことでしょうし、勿論私もそんなこと望みません。 注目されるのは、苦手ですから。 だから此れは――ある一人の青年が主人公の話なのです。 奇しくも語り部は私になってしまいますが、その点は嫌々でもいいので、御了承ください。 では始めます。 +++ それは三月中旬あたりの出来事。 学校から我が家に帰るために、私は川沿いを歩いていました。 風が吹くごとに、私の左側からピンク色の花びらが舞って来ます。 素直に綺麗だと思いました。 同時に邪魔だと思いました。 嗚呼、...
  • 15話
     紅兎(ホントゥ)は王宮の敷地内の近衛兵専用の兵舎に来ていた。王宮を騒がせたあの事件から、早くも10日が経過していた。あのあと虎は兵士数十名がかりで捕らえられた。幸い死者は出なかったものの、かなりの数の怪我人が出たらしい。蒼豹(ツァンバオ)もそのうちの一人だった。人づてに聞いたところ、かなりの重傷のようだが、死んではいないらしかった。心配ではあったが、あの後王族の警護は平時の数倍の厳重さだったため、今まで体が空かなかったのだ。事故として処理されているはいえ、万が一のことがあってはならないからだ。星光(シングァン)の命令という建前が無ければこうして様子を見に来ることはできなかっただろう。 『行ってこい』 『・・・・・・は?』 『仲間が心配だろう。お前は盾三人の中でも人一倍仲間に気を遣ってるから な。お前明日非番にしてやる。蒼豹の見舞いに行ってこい』 『・・・・・・しかし』 ...
  • その他
    短編小説 殺人請負ネット ※原作:はむはむ1965さん ルドルフとクリスマス事件 今は斯く 思考迷路 サクラビト 詩 吟遊詩人、木の下に座って 恋煩いを患う シーモの詩的情景 エソラの詩的恋愛 トピカの詩的絵画
  • 青夢絵里
    おはようございますこんにちわこんばんわ。 自分は、青夢 絵里(アオユメ エリ)と言います。 平々凡々な高校生やってます。 好きなモノ:犬(動物全般) 本(特に西尾維新) 漫画(ワンピース等) ゲーム(任天堂) 凄くは無い特技:絵(主に抽象画) 速読(たまに読み飛ばす) 本部では主に、ファンタジー恋愛小説を書いています。 どれも駄文ですが、暇つぶしようにでも読んでくれれば、嬉しいです@w@   普通の自己紹介文ですいません@w@;;;;(←よく使う顔文字)
  • Escutcheon~命にかえても~
    Escutcheon~命にかえても~ 1話 2話 3,4話 5話 6話 7話 8話 9話 10話 11話 12話 13話 14話 15話 16話 最近気分転換したくなったら小説書いてるな・・・
  • 5話 食える時に食えればいいけど好き嫌いも考慮したほうがいい
    「ちょー、お腹減ったし♪」 「スイーツ(笑)」 「いきなり二人して何言ってるわけ?」 「あの小説と名乗りつつ、小説としての文が出来ていない、例の携帯小説じゃないですか?」 「いやそうじゃなくて、今なんでいうのか」  現在ミミズこと、俺の部屋で晩飯で集まっている。今日のメニューは焼き肉。そして一生のうちに食べれるか分からないような高い肉が並べられている。 「どうせ庶民には味わえないような食材を目にして、動揺してるんじゃないですか?」  否定はしないが、声には出すまい。 「何故分かったのよ!」  流石鵺さん。プライドも何も無い。  さて、今日の面子は俺、鵺、メイド、そしてスポンサー様の、 「鴉様」 「いきなり何よ」  おっと、つい声に出てしまった。とりあえずノリで拝んでおく。 「何立て続けに拝み始めてるのよ」 「拝んで何か意味あるの?」 「そりゃいろいろ、例えばいい肉が食べれたり、食事代がタダ...
  • 異常的収集癖√ひぐにゃんの作品
    恋華 第一部 Hard Bloody Side 人物紹介 プロローグ 一章 二章 三章 四章 五章 エピローグ 第二部 Chaos Love Side 人物紹介 プロローグ. 一章. 二章. 三章. 四章. 五章. 六章.執筆中 第三部 Dream Knight Side 人物紹介 プロローグ.. 一章.. 二章.. 三章.. セナカアワセ 1話 2話 3話 4話 5話 6話 7話 8話 9話完結 テラシアワセ(セナカアワセ続編) 1話. 2話. 3話. 4話. 4話. 6話. 7話. 8話. 9話. 10話. 隣の家の電波さん 鷹野ミミズク28歳独身と 夜鳥キツツキ女子高生とかが 「鷹野荘04」で送る 残念な日常を描いたお話 住人紹介 1話 隣の家の電波さん 2話 管理人だけど余裕で舐められてる 3話 主人公って結構肩書きだけの作品多いんだよ 4話 ...
  • 3,4話
     星光(シングァン)は家臣達に気付かれないよう、椅子の上で体をもぞもぞ と動かした。一体いつになったらこの拷問は終わるんだ?  ここは王宮全体の中心、謁見の間。毎朝ここで国の様子、民の生活水準など 政に関わる多くの事柄についての報告を聞く。政を取り仕切る者にとっては非 常に重要な日課だったが、星光はこれが退屈で仕方が無い。  彼は陽光(ヤングァン)帝の第二皇子として産まれ、兄である 月光(ユェグァン)皇子と共に国の主たる者としての最高水準の教育を受けて きた。兄は政務、弟は軍事の面でそれぞれ才能を発揮し、帝を助け、 国を支えてきた。  しかし、2年前、星光が16のときに、大陸を統一してからは、全くと言って いいほど軍事面で才を発揮する機会が無い。  そういうわけで、税金や農産物に全く興味の無い星光にとっ...
  • 14話
     窓から夕陽が注ぐ。蒼豹(ツァンバオ)は壁にもたれたままゆっくりと目を閉じた。だが神経はしっかり と張り巡らしたままだ。  ここは王宮の中心に位置する謁見の間。今日は王朝の支配下にある、西の織物の村から今期最 高級のものが出来上がったというので、代表者が献上に来たのだ。使いの手の中の布は夕陽を反射しキラキラと光っている。 「素晴らしい出来ばえだ。手触りといい光沢といい、間違いなく最高の物だ。褒めてつかわす。 褒美を与えよう。職人達をねぎらってやるがいい」 帝に代わり、月光(ユェグァン)皇子が言った。帝も目で頷くと、使者達は慇 懃に頭を下げた。  帝の右側の星光(シングァン)皇子はというと、欠伸をかみ殺.し、右足を 椅子に隠して貧乏ゆすりを している。途中、月光皇子に横目で睨まれ注意され、一度はやめたのだがしばらくするとまた始める。 この繰り返しだ。 ...
  • チンパンジーの陰謀と阿部さんの深意
    「小沢様!優秀なる我が軍により、現在、日本のおよそ8割を駆逐することに成功いたしました!」 可南子は高々とそびえる小沢の玉座(高さ8mくらい。)に深々とひざまづいて、甲高く申し上げました。 薄暗い小沢の部屋は(小沢は病弱なので、光にあたると芽が出てくる、もやしっ子)とてつもなく広く、中央には、幾度となくその場で処刑された人間たちの血の色と遜色ないレッドカーペットが敷かれていました。 松明が風に揺られて弱く笑う… 「うむ。」 と一言、小沢はうなずきました。 可南子の隣の阿倍さんが何かを言うかと思えば、ずっと口を紡いだまんまで、可南子は急にうれしくなり、にやけました。…なんだ、何も成果を上げていなかったのか! しばらく沈黙が流れました。パチパチと松明だけが広い空間に小さくこだましました。 だが、その沈黙も作者がダラダラ語る気も無いので、急に破られました。いきなり可南子たちの背後の扉が開いたので...
  • 2、
    瞳を開けた時の【空】の色は 貴方の瞳の色、そのものだった ------。 「博士、整備は終わったか」 『あぁ、理雨。今、連絡しようとしてた所だ』 「来て正解だったな」 研究所の扉に寄り掛かり、煙草をくわえる理雨を博士は優しく迎えた。 『軍服って事は仕事か?』 「いや、済ませて来た帰りだ」 カツカツ…と革靴を鳴らしながら階段を降りて来た理雨に 問い掛ければ簡素な答えが帰ってきた 帽子を脱ぎ、ダークブルーの髪をガシガシとかきながら つい、数時間前に選んだアンドロイドの前にしゃがんだ 「コイツ選んで正解だな」 『特に問題ある所はなかった』 「そうか」 『SERIAL000529S…前の名前はマダラ。メモリーはリセットしてある』 「…名前を呼べば起動か?」 『あぁ』 理雨はアンドロイドの艶やかな黒髪を一房すくい その髪に一つ、キスを落とした 「揚羽(アゲハ)、起きろ」 『揚羽か…いい名前だ』 --...
  • 黄昏夢幻 Ⅲ
             ―課題提出日まであと10日、課題進行率16%―  死んだ。これは死んだぞ。軽い気持ちで計算してみた俺が馬鹿だった。  とりあえず、終わってない課題。時事についての作文、地歴ワーク全部、生物のレポート全部、天文学の観測レポート全部、その他諸々。 「……やべぇ」  作文云々はともかく、観測レポートは2週間以上が条件だから死んだ。あれだ、今日から提出前日までの結果を使って予測して書いてやろうか。いやしかし、さすがにバレるな。  瑠奈はどれぐらい終わってるのか。あいつは頭いいしこういうのはがんばる奴だからなぁ……。差を想像するとげんなりした。 「とりあえず、少しくらい終わらせねぇと」  地歴のワークを呼び出して、パネルに指を走らせる。よし、1ページ終わり。2ページ目っと……  結果。 「駄目だあああ...
  • 1、
    『アンドロイド…?それも旧式のか?』 「あぁ、今の奴らはまったく使えたもんじゃない」 2109年 人類は月と地球を結ぶ連絡橋を完成させ月と地球での生活を現実にさせた それに伴い、家事や育児において【アンドロイド】が必要不可欠な存在になっていた 『でもよ、理雨(リウ)…今の法律知ってんだろ?』 「…旧式、及び2099年以前に造られたアンドロイドの使用規制…知ってるさ」 生活への必要性が認知される以前はアンドロイドは軍の最大戦力として扱われており 戦闘力の強大さから数年前に使用規制の法律がなったばかりだ 「少しいじれば新型と変わりはない。あるんだろ?」 『…地下室に数体だけな。一体だけもってけ』 「感謝するよ」 そう、微笑みながら地下室へ 降りていった男 【軍部の鬼神(おにがみ)】 名を 【姫牙 理雨(ひが りう)】 地下への階段を下り、扉を蹴り飛ばし、煙草に火をつけると部屋の電気をつけた 「...
  • 例えるならば、それは甘い音色を延々と垂れ流しされるように
     空を覆う灰は、その色を一層と深め、その内に内包する水のしたたりを、大地に吐き出していく。  大地に当たっては爆ぜ、霧散する水の無形。次第に勢いを増していく雨の音色は、轟々という音を立てながら地面を強く叩いてゆく。  赤いレンガ造りの地面、長方形が規則正しくならんだ赤い絨毯を濡らし、その合間を川のように流れてゆく雨は、一体何処へ向かうのだろうか。  そんな他愛の無い事を考えている、一人の少年が居た。  櫻井雪、  そう名付けられた少年は、プラスチック材の屋根が立てられたベンチに座り、流れる滝が如く様々な思考をつらつらと流しながら、その双眸を深みを増していく空へと向けていた。  艶のある黒髪の合間から覗く黒曜石の瞳、日本人独特の線の細い、儚さを感じさせる輪郭に、整った鼻梁。見る者にガラス細工のような儚い魅力を感じさせるような少年だった。  黙考し、思案に耽る彼。その内に流れるの...
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