7.世界観(ワールドガイド)


 伝奇A-DICは汎用的なシステムとして開発を行ったものですのでセッションに参加するメンバー次第では独自の世界観で遊ぶ事も可能ですが、ここではシュワによるオリジナルの世界観を紹介します。

某県御門市


 都心のベッドタウントして発展し、近年では政令指定都市となり、5つの区(中央区、東区、西区、南区、北区)をもつようになった関東地方に存在する都市です。
 しかし、それは表側のこの街の情報であり、裏では何らかの理由により人外達が多く集まっている街でもあります。
 この街は原因は不明ですが人や人外の魔力を増幅させるらしい「何か」がある様ですが、その「何か」を知る者は極一部の限られた者達に限定されています。
 近年のこの都市の急激な人口増加も「何か」による物だと口にする者もおります。
 この街の住民のほとんどは人外の存在を知らず暮らしていますが、この都市での行方不明者の多くは人外に食われるなどして殺された者たちです。
 また、様々な勢力がこの都市を手中に収めるべく裏での暗躍を行っていますが、現在のところ、この都市の最大勢力3つが協定を結び外来勢力の排除に当たっているため大規模な介入が行われてはいません。
  ただし、出先機関などの小規模な組織は存在し、都市の勢力も敵対しない限りは黙認という態度を取っています。


御門市の裏組織


「七星工業」

 戦前から御門市に工場を置く重機開発メーカーであり、軍事技術の開発も行っています。
 御門市内に多くの工場・実験施設を置き、この街の現地雇用を一手に引き受けています。
 また、会社の性質上、保安関係の子会社も持ち、この警備会社は市の委託を受けて市内の保安業務にも携わっています。
 しかし、これらは表側のみの紹介で裏では、組織に属さない人外を捕らえ研究を行い生体技術の研究なども行う事で莫大な利益を得ています。
 また、生体研究の成果として人外の能力を人に与える事にも成功し、人外との戦闘にも使用を行い始めています。
 最近では御門市大防空壕の秘密に利益があると判断し、他の2勢力と水面下での領土争いが始まりつつあります。

「魔術師連盟」

 大英帝国霧都、大英博物館を本拠地とする世界中の魔術師達の連盟組織です。
 連盟とは言っても情報共有が基本であり、各組織の領土は(表向きには)不可侵とすしております。
 「大」がつく魔術師達により構成される元老院とその決定を実行するための円卓機関が存在しており、基本活動は魔術の世間からの隠蔽と人間の増加により遺失しつつある魔術道具類(魔獣、魔術)の確保、封印などになっています。
 いわゆる西洋的な妖精や魔術士などにより組織は主要構成されています。
 御門市へは神霊庁の許可により研究目的という名目で支部がおかれています。


「深淵」

 近年、御門市に流れ着いた者達(人間、人外問わず)が寄り集まって発生した集団です。
 当初は七星工業に一方的に狩られるだけの人外でしたが深田と名乗る一人のリーダーの登場により集団としての団結が発生し、ついには七星重工と対等の立場で取引を行うまでになります。
 こうしてこの組織は後述する御門市大防空壕の一角に本拠を構える事になりましたが、果たして彼らはなぜ団結してまで御門市での活動を望む事になったのでしょうか?

 御門市に存在する大きな組織は以上になります。
 参考程度に勢力比を記載しますと下記の通りになります。

 七星工業:連盟:深淵:その他小規模勢力などの合計=45:30:20:5

 また、各組織同士は下記のような関係だと認識されています。

 七星工業→連盟:古くからの相互不干渉盟約の締結相手。
     →深淵:面倒な勢力なので進んでの敵対は避ける相手。
     →その他小規模勢力:研究素材の採取、もしくは不干渉。

 連盟  →七星工業:古くからの相互不干渉盟約の締結相手。
     →深淵:目障りな新参者達。防空壕から出て行け。
     →その他小規模勢力:地下探索に関係ないなら不干渉。

 深淵  →七星工業:そのうち見てろ・・・。
     →連盟:偉そうにしやがって。
     →その他小規模勢力:ウチの傘下に入れよなぁ・・・。

 その他小規模勢力→七星工業:触らぬ神になんとやら・・・。
         →連盟:あいつら何やってるんだろう?。
         →深淵:だが断る。


地域

 御門市内の各所の案内を行います。セッションの際に参考になさっては如何でしょうか?。
 また、これらの地域は主だったものの紹介に留まりますので、もっと小さな地域は市内に数多く存在します。

御門市・中央部(通称:新市街地)

 御門市の開発に伴い、駅・及び市庁舎周辺は繁華街として発展し、地方都市としては大規模なものになっています。
 この地域の中には完全中立地帯が設定され、その中で抗争を行う事は、御門市に存在する全ての組織に対して宣戦布告を意味する事となっているため、抗争が行われる事はまずありません。
 この場所は御門市で最も安全な場所と言えるでしょう。
 また、外部の各組織の出張所なども多くはこの地域に存在しており、組織ごとの交渉や会談が行われています。

旧市街地

 御門市の開発が行われる中、中央部から離れたこの地域は開発が行われず、昔ながらのたたずまいを見せる地域です。
 主に一匹狼の人外の居住地となり、流れ者が居つきやすい場所でもあります。
 しかし、彼らもこの周辺で狩りを行う事はしませんので、意外ですが治安はむしろ中心部よりも良好となっております。
 大きな商店などもこの場所には存在せず、昔ながらの店が多い場所でもあります。
 の地域の建物は主に平屋、あっても2階建てまでのものとなっております。

開発放棄区域

 御門市の中央部に隣接する、開発が放棄された地域です。
 主にビルなどの建物が多く、居住地域は設けられていません。
 開発が放棄された為に現在では、空きビルが立ち並ぶ寂しい場所になっています。
 また、この地域はどの組織のナワバリでもない解放地帯となっているため抗争などが起こり易い場所でもあります。
 御門市の裏側を知らない一般住民も薄々とは危険性を理解しているので夕刻以降(昼間でもですが)立ち入るものは少なくなっています。

御門市地下大防空壕

 御門市は先の大戦時に軍事都市として開発計画が進められた都市であり、急激な人口の増加を支えた陰には当時の都市計画による交通網の整備が下地にありました。
 しかし、戦争が末期になるにつれて都市計画の一部は暴走し、敵軍の侵攻に備えて御門市中央部の地下に輸送用の地下道路網を建設するに至ったのです。
 そして終戦を迎えましたが、その頃には一貫した計画などは無くなっており、地下にはただ広大な迷路と化した空間のみが広がっていたのです。
 戦後はその地下空間を立ち入り禁止区域として扱っておりましたが、無断進入し行方不明になる者が後を絶たず、いつしか噂が流れるようになっていた、「御門市の地下にはあの世へと繋がっている」と・・・。

 現在では御門市の三大勢力が探索を始めており、周囲の者たちの耳目を集める事になっています。


御門市外の有力組織


神霊庁

 日本を霊的に守護するための非公開組織であり、日本に古来から存在する宗教などを束ねる役目も持っています。このため、和風の設定をもつPCは何らかの形でこの組織とは繋がりがある事とします。
 この組織に従わないモノたちは「まつろわぬ化外の民」として討伐の対象になるかもしれません。
 現在はとある世界的裏組織との交戦により地方への守護は手薄になっています。
 そのため、御門市へは神霊庁のエースを派遣して監視するに留めているのが現状です。

教会

 ローマ共和国ヴァチカン市を本拠地とする国際的にも最大規模の宗教が組織する対人外組織の総称です。
 日本は東洋の辺境として扱っているために拠点などは設けておりませんが組織の構成員である神罰の”代行者”が姿を表す事があるかもしれません。
 基本的に人外の存在は認めていませんが、教会の利益に繋がると判断されたモノとは協定関係を結んだり従属させて利用をしています。
 魔術師連盟とは現在休戦状態ですが、基本的に教会は神の奇跡以外の超常現象は認めていないので快くは思っていません。
 (教会に属するものの超常的な能力は”神の奇跡”により賜ったものとして扱われています。)

魔術師連盟

 前述を参照してください

諸里人舎

 日本の裏世界全体に影響力がある人材派遣組織です。
 その上層部には謎が多く、PC達が接触するのは黒服の代理人に留まります。
 基本的には人材の仲介に留まり、成功報酬などは依頼人からPCへと支払われます。
 各地域の組織は必要があればこの諸里人舎に依頼し、問題事の解決を図る事があり、その際の報酬は諸里人舎から支払われる。
 正確な組織規模は不明ですが、依頼人の要請により金額(仲介料)次第で多少の腕利き(根源力2000相当)から達人(根源力10001以上)まで何気なく手配できます。
 組織の運営は要請があった依頼人に要望通りの人材を派遣し仲介の対価を得るに留まり、各地域の組織とはそれ以上の接点を持たない絶対中立的な組織です。
 また、基本的に各組織に人材を派遣する以上の干渉を行うことはありませんが、敵対行動などを行った組織は全て例外なくその後壊滅している事実が明らかになっております。
 強力で謎が多い組織ではありますが、契約には誠実であり、派遣する人材の質も信頼に足るものである為に各組織は諸里人舎との関係を断ち切る事ができません。
 PC達は諸里人舎と何らかの繋がりがあり、「依頼を請け負う対価」(金銭・物品・情報etc)と引き換え仕事を行う可能性が常にあります。

例1:原型B:「組織」のPCが仕事を請ける場合
 PCの組織は諸里人舎にPCを貸し出す事を了承し、既に対価(主に金銭)を貰っているとして扱うといいでしょう。PCへの報酬は組織から得られるものとします。

例2:派遣した人材が死亡し、PCに対する依頼が未達成な場合
 基本的には諸里人舎は人材を派遣するに留まりますので、仲介以後のPCと依頼人との問題には立ち入る事はありません。

例3:複数のPCが召集される場合
 諸里人舎は基本的に人材を派遣する事に留まりますが金額次第で「問題解決」まで請け負う事もあります。その為に複数のPCを召集する事もあるでしょう。

例4:諸里人舎が契約を破棄する場合
 依頼人Aが契約に従っている限り諸里人舎も契約に従っているために諸里人舎からその契約を破棄する事は通常はありません。
 ただし、依頼人Aと敵対する依頼人Bがさらに大きな金額(依頼人Aに対する諸里人舎の違約金なども含む)で諸里人舎を買収する事があります。
 その場合、諸里人舎は依頼人Aに対して違約金を支払い、契約の破棄を伝え依頼人Aに対する24時間の行動の停止の後に依頼人Bとの契約の履行に移ります。
 通常違約金は契約金額の10倍前後と設定されます。

例5:PCが得られる報酬
 PCは依頼人からの報酬の他に諸里人舎から「依頼を請け負う」という事に対する対価などを得る事があります。

  以上が諸里人舎の基本設定となります。ただし、黒服の代理人により多少の変更がある事も考えられますが、それは各SDの裁量の範囲としてください。

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最終更新:2011年08月02日 14:29