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芝村:
温泉から出てきたエステルは、すごい上機嫌だ。

芝村:
嬉しそう。

エステル:
「温泉はいいですね」

時雨:
「ええ、僕もお風呂は好きです」

時雨:
浴衣姿だったりします?

エステル:
「はい」

芝村:
ええ。浴衣だね。頭にはあいかわらずへんなのつけているが

時雨:
変なの(笑)

エステル:
「なにか?」

時雨:
「いえ、浴衣が似合うなって」

エステル:
「有難う・・・・ございます」

時雨:
いってこっちもちょっと照れてます……

エステル:
「今日はなんのようで?」

時雨:
「これから一緒に食事でもどうでしょうか。なんだかんだで、今まであんまりこういう機会はなかったですし」

エステル:
「なるほど・・・」

エステル:
「わかりました」

時雨:
「ありがとうございます」

エステル:
「受けます」

時雨:
まだ部屋でなければ、そちらに移動したいのですが。

芝村:
ええ。移動しました。

芝村:
エステルは周囲を見ている。

芝村:
上を見た。

エステル:
「旧式すぎて感動しますね」

時雨:
部屋のつくりはどんな感じになっていますか?

芝村:
食事するための和風の居間だ。

芝村:
畳敷き

時雨:
「紙の本と同じですよ。古いものにも、いい所があるんです」

エステル:
「はぁ」

エステル:
「椅子がありません」

時雨:
「直接座ってください、こんな感じで」

時雨:
座布団の上に座ります。足に負担をかけないよう、楽な感じで。

芝村:
エステルは真似した。ころんだ。

芝村:
こてん

時雨:
助け起こします


エステル:
「難しいことをいいますね」

時雨:
「ごめんなさい……」

時雨:
旅館の人にお願いして椅子を二人分運んでもらえますか?

エステル:
「いいです」

芝村:
エステルはムキだ

エステル:
「やってみます。バカにしないでください」

時雨:
「わかりました。足を伸ばして、横になるような姿勢だと楽だと思いますから」

芝村:
エステルはこてんとこけた

時雨:
「……」

芝村:
エステルはすぐに起き上がった。

芝村:
エステルは顔が紅い

時雨:
「ごめんなさい、また……」

エステル:
「軽い冗談です」

時雨:
「……はあ」

エステル:
「あきれてるんですか。笑ってるんですか!」

時雨:
「違いますよ!」

エステル:
「じゃあ、見ていてください・・・」

芝村:
エステルはどうにか座りなおした。よし

時雨:
「食事を頼みましょうか」

エステル:
「かかってきなさい」

時雨:
「え?」

時雨:
「かかってって?」

エステル:
「なんでもありません……」

芝村:
料理が出てきた。続々と

芝村:
エステルはこてんとこけた

時雨:
見てられないな……

時雨:
「えっと、こういう冗談はどうですか?」と言って

エステルの後ろに回って体を支えて見ます。

エステル:
「無用です」

エステル:
「一度目よりも2度目よりも3度目のほうが、長い……!」

時雨:
「……わかりました」

そう言って、エステルの隣に移動します。

時雨:
転んだとき、いつでも手を出せるように。

芝村:
そしてエステルは箸を見て凍っている。

芝村:
(笑)

時雨:
まさに異文化コミュニケーション(笑)

時雨:
「こうして使うんですよ」と言って、使い方を見せてみます

エステル:
「この二本の棒を座りながら?」

時雨:
「ええ」

エステル:
「どんな曲芸ですか・・・」

時雨:
「……まあ、子供のころから僕たちは慣れていましたから」

時雨:
「少し、口をあけてもらえますか?」

芝村:
エステルは少しあけた。

時雨:
お箸で料理をつかんで、エステルの口に運びます。

エステル:
「なるほど」

芝村:
エステルははむっとたべたあと、やる気を出して真似を始めた。

時雨:
「こういう使い方も、あります。好きな人にするんです」

エステル:
「それと初心者にですね。分りました」

芝村:
エステルはぐらぐらしながら箸を使っている。

芝村:
おそろしい集中力だ

時雨:
気をもみながら隣から見守ります

時雨:
「初心者にはしないんですけどね……こういうのは」

芝村:
エステルは聞こえてないぞ

時雨:
「……」

時雨:
ちょっとしょんぼりします

芝村:
エステルはこてんとこけた。

芝村:
起き上がって再挑戦した。

時雨:
食事しつつ、注意しておきます

芝村:
エステルはすごい。その瞳は天を乱舞する艦隊のようだ。

芝村:
徐々にうまくなってきた・・・

時雨:
変なところかもしれませんが惚れ直しました

時雨:
ちょっと顔に出てると思います(笑)

芝村:
エステルは貴方を見た。胸をはった。

エステル:
「どうですか?」

時雨:
「お見事です」

時雨:
「やっぱり、あなたを好きになってよかった」

芝村:
エステルはふふんと言う顔だ。

芝村:
そしてこてんと倒れた。

時雨:
抱きしめます

時雨:
倒れないように。

時雨:
背中から。

エステル:
「自分で立てます」

時雨:
「そうだと思いますけど……少しだけこうさせてもらえませんか?」

エステル:
「?」

エステル:
「はい」

時雨:
「僕がよく言ってることですよ。好きって言うのは……」

時雨:
「こんな風にしたい、って言うことなんです」

エステル:
「よくわかりません」

時雨:
「僕にも、本当はよくわかっていません。何でそんな風に思うのか」

時雨:
「でも、こんな風にしてるとすごく幸せで、気持ちがいいんです」

時雨:
「……エステルはどうですか?」


エステル:
「普通ですが」

時雨:
「そっか……残念です」

時雨:
表情見えますか?

芝村:
ええ。

芝村:
普通だ。

エステル:
「なぜ残念ですか?」

時雨:
「片思いより、両思いのほうがうれしいんですよ」

時雨:
「あなたからも、こうしてもらいたいなって」

エステル:
「日本の棒の訓練のほうが先です」

時雨:
「そうですね」

笑ってそう言って頬に軽くキスします

芝村:
エステルは訓練を再開した。

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最終更新:2008年02月07日 06:09