■装甲歩行戦闘車/装甲歩行戦闘機(AWCV)
(Armored Walking Combat Vehicle)

1983年に米・ゼネラル・ダイナミクス社が当時作業用重機として運用されていた米・キャタピラー社製の軍用外骨格の戦闘利用に端を発した新概念の歩行兵器システム。基本全高8m、様々なタイプが存在する。これらは基本的に第1世代型と呼称される。

そして装甲歩行戦闘機、即ち第2世代型AWCVとは従来の第1世代型に当たる"装甲歩行戦闘車"の弱点であった3次元機動能力の低さをガスタービン・エンジンシステム、脚部のジャンプ力によって補い、NOEや空中での機動を可能とした機体の事を言う。従来の攻撃ヘリに代わる兵器システムであり、歩行による不整地走破能力のみならず、ローラー・ダッシュや、ガスタービン・エンジンを用いた高速機動力、戦況に応じた多彩な兵装を運用可能な汎用性を持つ。2015年現在に於いては、攻撃ヘリコプター並みの火力と歩兵の柔軟性を持つ兵器として、戦車と並んで先進国では順次採用が進んでいる。

■AWCV・概要
AWCVの機動制御は脚部による歩行とローラーダッシュ、第2世代機ではフライトシステムによる複合機動制御方式が採用されている。常にガスタービンを使用するのは燃料効率が非常に悪い為、路上移動や巡航には二足歩行またはローラーダッシュを使用し、跳躍動作やNOE(匍匐飛行)にはフライトシステムを使用する事で全地形に適応しつつ高い航続性能を持っている。また、構造の関係でトップヘビーであるため、停止時や格納時はOSのサスペンドモードによる自律制御により安定性を保っている。操縦機構はHOTAS概念と省力化されたトリガーとペダル、汎用コンソールによる制御方式を採用し、負担を軽減しつつも複雑な機動制御を可能としている。

■AWCV・動力
AWCVの動力系統は2系統あり、本体とフライトシステムで別々の動力を採用している。本体はハイブリッド燃料電池と補助動力システムによる電気駆動式動力と、間接機構を構成するリニア・アクチュエータと呼ばれる、リニアモーター駆動式の電磁伸縮型複合素材により複雑な動作を可能とし、高い可動範囲と柔軟性を持っている。機体によっては瞬間的に高い出力を得るため、ガスタービンを動力として採用している機体も存在する。だが、燃料効率の悪さから主流にはなり得ていない。

フライトシステムはガスタービン・エンジンを主体に構成されており、戦闘機のジェットエンジンと同じ様にジェット燃料によって作動する。しかし、ガスタービン・エンジンは推進剤を多く消費するため燃料効率が非常に悪いため、ターボファンエンジンとしても、ロケットエンジンとしても運用出来るハイブリッド方式のガスタービン・エンジンを採用している。これにより、ガスタービンでありながら瞬間的な加速が可能となったうえ、元々の特性故に高速での巡航性能にも優れている。

■AWCV・基本構造
機体内部の構造は、第1世代機が複合装甲材及び中空装甲、第2世代機では複合炭素繊維を用いたモノコック構造式のフレームと(脚部は衝撃吸収性を考慮して炭素複合繊維の多層式フレーム)で構成されており、基本構造は装甲車両よりも航空機に近い形態を取っている。これは陸戦兵器でありながら空中機動能力を持つ為、剛性を保ちつつも装甲防御力を重視した結果である。また、アビオニクスなどを搭載する重要部分やコクピット付近はどちらの世代も重点的に装甲化されており、逆に被弾率の低い部位は軽量な複合繊維装甲を配置して重量バランスを考慮している。

■AWCV・フライトシステム
攻撃ヘリの代替兵器として開発された第2世代型AWCVは高い機動性能を発揮するため、腰部にフライトシステムを搭載している。システム・ユニットはサブアームシステムとリニア駆動のジョイント機構により自由自在に独立稼働させることが出来る。搭載するエンジンはジェット機に用いられるガスタービン・エンジンを改良したもので、ガスタービンでありながらロケットエンジンの特性を持つハイブリッド・ガスタービン、正式にはターボ複合ハイブリット・ガスタービンエンジンという専用のエンジンシステムを採用している。

これは従来のジェットエンジンでは燃費が良い反面、瞬間的な加速動作が出来ないという欠点の為である。ターボ複合ハイブリット・ガスタービンエンジンではこれを解決しており、従来のガスタービンに比べて良好な燃費性能とロケット並みの高推力を得る事に成功している。

■AWCV・ターボ複合ハイブリット・ガスタービンエンジン
従来のガスタービンエンジン(一般的なジェットエンジン)の内部機構を改良、ロケットエンジン並みの推力発揮を可能とした新概念のエンジンである。基本原理は従来のガスタービンと同様だが、エンジンへと流入する燃焼ガス流量を増加させ、小さなタービン膨脹比で空気圧縮を行うことにより、排気ガスの圧力を上げ推力を向上、タービンから流出する排気ガスに対して酸化剤噴射器により酸化剤を噴射、入口空気冷却器に極低温燃料を供給して、過剰の燃料を燃焼器に供給することにより得られる高圧力で燃料が過剰な排気ガスに、酸化剤を供給し排気ダクト内で燃焼させる事で、ロケットエンジン並みの高推力を得ることが出来る。利点はガスタービンとロケットのハイブリットに比べて2種の推進剤と燃料を搭載する必要が無く、燃料効率が向上する。また、エンジンが発揮可能な推力比が幅広いため効率的に戦闘推力や巡航推力を発揮する事が可能。
最終更新:2011年01月24日 22:55
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