オープニング-始まりと終わりは紙一重-

目が覚めたらいつも通りの部屋……とは行かなかった。
一面真っ暗の部屋に俺は居た。
俺、人吉善吉は庶務戦で球磨川を倒して、その後家に帰って寝たはずだった。
「一体なんだ?……まさか球磨川が仕掛けて?」
まあ、そんなことはどっちでもいいんだよ。
いま大事なのは《何をすべきか》だ。
こんなに暗い部屋に入れられて、焦っていたらどうにもならない。
「くそ……誰かいないのかよ……」

「おい、その声は善吉か?」

「!!」
俺は聞こえた声に反応する。
やはり、その声の主は黒神めだか本人だった。
暗闇に少しづつ慣れてある程度見れるようになっていた。

目が見えるようになっていったので周りを見渡すと結構な人がいるようなのが分かった。
他に知り合いがいないか探してる時めだかが声をかけてきた。
「なあ善吉よ……この状況をどう思う?
「え……どう思うって、異常事態だなとか?」
「そうでありそうでないな。……誰がこんな事を仕掛けたのかという事だ」
「こんな事……って」
思いつくのは一人しかいなかった。

球磨川禊、最大の過負荷にして最悪の過負荷。
すべてを腐らせて過負荷に変える男。
あいつしか思い浮かばなかった。

「やはりお前もか善吉よ……こんな事になるとあいつの顔しか出てこない」
「……だよな」

慣れ、とは程遠いがこんな事をするは大体あいつだろうと心が決めつけてしまう。
しかし、それが的外れであるという事がわかるのには、時間はかからなかった。

「みなさん、こちらを向いてもらえますか?」

その場にいる全員が声の主に注目する。
そう、その声は俺も聞いたことはあるが球磨川ではなかった。

箱庭学園理事長、不知火袴だった。

「……え?なんで理事長が」
「善吉よ、嫌な予感がするぞ」
「は?何言ってるんだよ」
ざわざわ……
周りがざわつきだした。
「はいはい、静かにしてもらえますか」
その声で少し静かになるがそれでもまだざわつきは止まらない。
「ふむ、これくらいなら聞こえるでしょう」
「皆様、ご機嫌いかがかね?」
喋りだした。いや、ご機嫌いかがじゃねぇよ!なんでこんな所にいるんだよ!
とか突っ込みは置いておいて話を聞く。
「いやぁ、私ももう歳でね……いい挨拶が見当たらないんですよ」
ほっほっほ、と笑顔で言っている。
「なぁ、めだかちゃん……いったい何が起きると思う?」
「……少なくとも、ろくな事ではないのは分かるな」
「同感だよ」
不知火理事長は笑い顔から急に真剣な顔になり俺たちに告げる。
「私が今日あなたたちを呼んだ理由について話した方が良さそうですね」
……まあそうだよな。全員そんな顔をしていそうだし。
「えー、はい……今日私があなたたちを呼んだ理由は他でもありません」

「貴方達には、今から殺し合いをしてもらいます」



僕の名前は阿良々木暦だ。
今僕が置かれている状況、それは殺し合いというものだ。
は?何なの?ふざけてんの?
普通の奴ならそう言うだろう。
でも、この状況でそう言える奴はそう多くはないだろう。
「何なんだよ……これ」

「あらあら、気持ち悪い音がすると思えば阿良々木君じゃない」

この声、そして毒舌。まぎれもなく僕の彼女である戦場ヶ原だった。
「やっぱりお前か……というか戦場ヶ原、お前この状況分かってるのか?」
「ええ、分かっているわよ」
「……」
「ここにいる皆で阿良々木君をボコボコにするんでしょ?」
「お前の良いように訳すな!」
それは殺し合いじゃなくでリンチだろ!
畜生!まさかこいつらも戦場ヶ原の手先か!
「はぁ……でもこの状況本当に笑えねぇよ」
「笑えないのは本当ね」

「不知火理事長!どういうことですか!」

いきなり女の子の声が響いた。
「どういう事とは?こういう事ではないですか黒神さん」
「なぜこんな事を……貴方が何を考えているのかが分かりません!」
「ふむ……なぜ殺し合いをするか?そんなことは簡単ですよ」
「……」
「実験……ですよ」
は?実験?実験ってどういうことだよ!
「おい、戦場ヶ原……実はドッキリでしたエンドを期待してるんだけど…無駄かな?」
「はぁ……だからあなたはゴミムシ以下なのよ」
「おい!そこまで僕のランクは低いのかよ!」
「当たり前じゃない、私に無駄な事を言わせないで」
「ハァ……」
ため息しか出ないよ。
彼女もこんな感じ、状況もこんな感じ。
絶望したっ!!
「実験する理由……それは」
あ、話続いてたのか。今の僕には聞く気はなかったが耳に入ってくる。
「絶望の淵、恐怖のどん底に沈んだ人間が一体どんな行動をするのか…気になりましてね」
は?何言ってんだこの老人……。
その時、俺の横から男が出てきた

「『ねぇ、理事長』」

「ッ!!!!」
何だこいつ……。気持ち悪い……何なんだこの感覚。
掻き回される……いや、それよりもっとひどい感じだ。
「球磨川!お前……」
「『まあまあ、そんなことより理事長に聞きたい事があるんだけど』」
「何ですか?球磨川君」
「『僕の大嘘憑きが使えなく…というか使いにくくなってるんですけど…どういう事ですか?』」
「今からそれと他の事について説明するよ」

「今から貴方達には殺し合いをしてもらうのですが……それに伴いいくつかのルールがあります」

「まず一つ、戦闘能力がないから駄目だとあきらめる方が出そうなので強いお方の能力に規制をかけさせていただきました」
「『だから僕の大嘘憑きが使えなくなってたんだね、でもどうやってやったの?』」
「ふむ…あなたみたいな人には科学薬品を使用させていただきました」
「『へぇ、でも僕の能力に薬品は効かないはずだけどね…』」
「それは名瀬さんの薬品でしょう?私の力をなめてもらっては困りますね……」
「『で、全員に薬を入れたの?そこまでやるには時間も手間も必要だよね?』」
「それについては協力者がいるんですよ」
「『協力者?』」
「それでは紹介しましょうかね……出てきてもらえませんか?」
そうして出てきたのはとある男だった。
「み、都城三年生?」
「……ああ」
「な、なぜお前が……もう力は使わないと約束しただろう!」
「……行橋が」
「え?」
「行橋が人質に取られてしまったんだ!」
「な……」
めだかは黙りこんでしまった。顔を見ると怒っていることが窺えた。
「『ふぅん……そうかぁ』」
球磨川はにっと笑う。
「他に特筆すべきルールと言えば首輪の事でしょうね」
「『首輪?……ああ、これの事か』」
そう言われて自分も首に手を当てる、そこには金属の物体があった。
「その首輪は特殊金属製で出来ています」
「『別にこれくらいならめだかちゃんが壊すでしょ』」
「おお、言っておきますが故意に壊そうとしたり私たちに逆らおうとすると……」

「爆発します」

な、嘘だろ……何なんだよ……これ。
「それではもう一つ説明を、開始から6時間ごとに定時放送を行います」
「『定時放送?』」
「ええ、その6時間までの死亡者、禁止エリアの発表があります」
「『禁止…』」
「いちいち聞かないで頂けますか球磨川君」
「『……』」
不満げな顔に代わる球磨川という男。
「禁止エリアとは放送ごとに3つづつ増えていくエリアです。
ちなみに、そのエリアが設定されるのは放送の1時間後ですからね」
「ああ、禁止エリアに入っても爆発しますから気を付けてくださいね」

「…なあ戦場ヶ原」
「何?阿良々木君」
「絶対死なないでくれよ」
「はぁ、それなんて死亡フラグ?阿良々木君」
「もうここに呼ばれた時点でガンガン立ってるよ」

「そうだ、じゃあ最後に一つ私から手を加えましょうかね」
「手を加えるって……いったい何をする気ですか、不知火理事長」
声を抑えているが怒りが入っている声でめだかは問う。

「優勝したら、何でも一つかなえて差し上げましょう」

「人を生き返らせたい、大金持ちになりたい、天才になりたい、どんな願望でもいいですよ」

「な……不知火理事長!」
「それではみなさん、頑張ってくださいね」
何が頑張ってくださいだよ…ふざけてるよこんなの…。
あれ、なんか眠くなってきた……なんで……だ。
僕の意識は、ふわふわと暗い暗い夢の中に落ちて行った。

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最終更新:2011年01月17日 17:16