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仮面ライダーW 第9話『暴走のH > 惑星(ほし)の本棚』

仮面ライダーW 第9話『暴走のH/惑星(ほし)の本棚』

「おりゃッ!」
サイトがデルフリンガーを振るう。
「グオオオオォォォ!?」
その身を切られ、痛みに声を上げるオーク。
「ブオオオオオオ!!」
仲間をやられた恨みからか、もう一体のオークがこん棒を振り上げる。
「『エア・ハンマー』」
が、風の鉄槌によって、吹き飛ばされる。
「シン、サンキュッ!」
「こっから出るぞ!目的は達したんだ、あいつ等に構う暇は無い!」
そう言い、洞窟から逃げ出す二人。
何故、こんな場所にいるのか?
事の始まりは、昨日の事である。

「宝探し?」
サイトと共に特訓をしていたシン。
サイトの頼みから三日が経過し、広場で実戦同様の特訓をしていた時である。
キュルケが宝探しに行きましょう、と言ってきたのである。
「そうよ、ロマンがあると思わない?」
キュルケが言う。
「面白そうじゃん。行かねぇか、シン」
興味があるのか、サイトは賛成する。
「まぁ、たまには息抜きもいいかもな」
悩んだ末に、シンも賛成する。
「決まりね♪」
その後、シンとサイトに飲み物を渡そうとしたシエスタに、シンがシャルロットに、サイトがルイズにこの事を知らせると、三人共に、付いていくと同意した。
シルフィードにも了解を得た。
そして、宝探しへと来た一行だが、地図が示す各場所は、オークなどの怪物達の住処となっていたのである。

「もう少しで出口だ!」
洞窟の出口から光が差し込んでいる。
「追いかけてきてるわ!速く!」
キュルケの言うとおり、オーク達はシンとサイトをペシャンコにしようと、こん棒を構えている。
だが、
「へっ、知能の低い連中だぜ、地下水」
『あいよっと』
「『マッド・フォール』」
泥沼によって、オークの動きが止まる。
抜け出そうと暴れるが、どんどんと沼へと沈んでいく。
「グオオオオオオ!」
「安心しろ。もう少し経ったら解除してやる」
そう言い残し、その場を去っていった。




「結構な場所を回ったけど、お宝なんて呼べるものなんて無かったじゃない」
ルイズがぼやく。
その言うとおりに、さっきのオークの住処だった場所には、薄汚れた銀貨や水簿らしい装飾品のみであった。
「まぁ、宝探しってのは探す過程が面白いからな。そう易々と手に入ったら面白みが無いだろ」
「そんなものなの?」
「そんなもんなんだ」
その時、シエスタの元気な声が響く。
「みなさーん、お食事ができましたよー!」
鍋の中でグツグツという音と、美味しそうな匂いを漂わせるシチューをよそい、各々に配る。
「おっ、うまいな。肉に味が染みてていい感じだ」
「…美味」
「ホントね。これは何の肉かしら?」
キュルケがシエスタに尋ねる。
シエスタが微笑んで言う。
「オーク鬼の肉ですわ」
瞬間、全員が唖然としてシエスタを見る。
「あ、じょ、冗談です!本当は野ウサギで、皆さんが宝探しをしている時に罠を仕掛けて捕まえました」
「冗談か。俺は本気でオークの肉を調理したかと思った」
「すみません…?シンさんって、オークの肉を食べたことがあるんですか?」
意味深なシンの呟きにシエスタは尋ねる。
「あぁ、一度だけ依頼を受けて探し物を探すためにかれこれ一週間…食料を探し、飢えをしのぐ為に襲ってきたオークの肉を調理したが、生臭い脂や筋しかない肉を食うのは如何せん無理だった。あの後に食った蛇の肉が異様に美味かった記憶が…」
「シン、もういい。分かった、分かったから」
遠い目をしていたシンを、慌ててサイトが止める。
「あ、アイツ何気に厳しい生活してたのね」
「ダーリン、貴女に召喚されてよかったんじゃないかしら?」
「…それには同意する」
シンのスパルタすぎる生活に、ルイズ達三人は驚愕した。
「しかし、うまいな。なんてシチューなんだ?」
「ヨシェナヴェっていうんです。父から教わって、父はおじいちゃんから教わったんだそうです。今では、私の村の名物になっているんです」
そういう風に話題に華を咲かせていると、キュルケが地図を出す。
「後残っているのは…」
何枚かの地図を真剣に見ていくと、徐に二つの地図に手を伸ばす。
「これ等よ!これでダメだったら学院に帰りましょ!」
「どんなお宝なんだ?」
ふふん、と鼻を鳴らす。
「一つは、『竜の羽衣』」
その時、シエスタが咽る。
「そ、それ本当ですか?」
「あら、貴女知っているの?タルブの村の近くってあるけど、何処なの?」

シエスタが焦った声で呟く。
「ラ・ロシェールの向こうです。私の故郷なんです」
「じゃあ、知っているの?お宝のこと」
「知ってますけど…大したものじゃありませんよ。それを纏う者は自由に空を飛べるって言われてますけど、そんな話はインチキです。実際に飛んだ事実なんて無いんですよ」
「そうなの。ま、見ない事には始まらないわ」
その様子を見て、シンがキュルケに尋ねる。
「でだ、キュルケ。もう一つのお宝ってなんなんだ?」
「それなんだけど、これもお宝になるか分からないけど、面白そうだからって事で選んだの」
えーと、と言いながら、地図を見る。
「これこれ。『竜の頭蓋』ってやつよ」
その言葉に、シンとシャルロットがピクリと反応する。
「『竜の頭蓋』?」
「そ。何か『竜の羽衣』と似てそうな感じだったから選んでみたの」
「そんな理由で、安直過ぎるわよ」
「いいじゃない。別に」
「いや、これは案外早く見つかるぞ」
シンの言葉にシャルロットが頷く。
「あら、もしかして…ダーリン知ってるの?」
「知ってるも何も、それは俺の所有物だ」


翌朝
シルフィードに乗った一行は、とある大きな洞窟にやって来ていた。
「ここに『竜の頭蓋』があるのね」
キュルケがワクワクしながら言う。
「さて、行こうか」
シンを先頭に、洞窟へと入っていく。
洞窟には生き物の気配は無く、洞窟の奥へ奥へと進んでいく。
そして、一行は洞窟の最奥へと来るが、
「なによ、何も無いじゃない」
ルイズの言うとおり、『竜の頭蓋』と呼ばれる物は見当たらない。
「まぁ、見てろって」
そう言うと、シンは洞窟の壁を模索する。
「おっ、ここだな」
そこには、無色の水晶のような物質が無機質に輝いていた。
ショートソードで、その水晶を叩く。
すると、その水晶の内部が光りだす。
その瞬間に、行き止まりと思われた壁が姿を消していく。
「な、何だったの、今の?」
「アレは特殊な石で作られてんだ。『欺き石』って言ったほうがいいのかな?それによって、行き止まりの壁を『幻影』で見せてるんだ。解除するにはこの石を叩けばいいが、始めて此処に来てこれに気づく奴は少ないはずだからな。それが今まで見つからなかった理由だろうな」
そして、壁の幻影が消えると、
「さぁ、これが『竜の頭蓋』、いや…」
その姿が見える。
両目に赤き眼を光らせ、
巨大かつ、黒きその身が輝き、
その背にはリボルバーを思わせる回転式ハンガーを乗せている。
「リボルギャリーだ」

「おい、シン。これって…車じゃねぇか」
サイトが驚いた表情で聞く。
「そして、ただの車でもない」
そう言うと、シンはスタッグフォンを取り出し、操作する。
入力が終わると、リボルギャリーのハッチが開く。
「バイク?」
ハッチが開かれた中央には、Wと同色の、前輪部分は黒と後輪部分は緑のバイクが置いてあった。
「W専用のバイク、ハードボイルダー。それがあのバイクの名前だ」
「ねぇ、あれは一体何なの?」
聞いた事がない単語に、キュルケ達が尋ねる。
「あれは、バイクっていう俺達の国にある一種の移動手段に使う物なんだ。速さはそうだな…最高速で竜にも負けない速さで移動できる」
「そんなに速いんですか!?」
「そんなの信じられないわよ。ていうか、こんな鉄の塊が本当に動くの?」
シエスタが驚き、ルイズはシンの言ったことを否定する。
「まぁ、信じられないのも仕方ないな」
「でも、ダーリンが言うからには動くんでしょ?だったら見てみたいわ」
「そうだな…機会があったらだな」
「なぁ、シン。気になったんだけど、あのハンガーにある二つは何なんだ?」
サイトの言うとおり、リボルギャリーの後ろに乗せているハンガーには、二種類のユニットが格納されている。
「あれは、ハードボイルダーのバックユニットで、換装することで陸海空全ての場所に対応できるんだ。でも、そいつらを見たいって言うのは止せよ。その二つはWじゃないと扱えない」
「結構危ないのか?」
「触ってみれば解るぞ、お前なら」
サイトが、上って二つのユニットに触る。少しして戻ってくると、
「無理だな」
冷静に突っ込む。
サイトに流れたのは、断片的に、超音速航空機形態であるハードタービュラーの最高速度はマッハ1.2、高速艇システムであるハードスプラッシャーは水上を時速約250kmで移動でき、さらにオートバイのような機敏な動きができるという情報であった。
片や空中でマッハ1.2、片や水上を250kmでオートバイの機敏さ…万が一があっただけでも命の危険がある。
「よし、いくか」
「…って、これどうすんのよ?」
「何だ?持って行けってか。どうやってだよ?」
リボルギャリーを持っていくのは、あまりにも無理がある。
「一応はコイツで呼べるから、置いといたって構わないさ」
スタッグフォンを見せる。
「それに、今度はタルブの村に行くんだろ。コイツを連れて行ったら、大騒ぎで宝探しどころじゃなくなるぞ」
「残念ね。見てみたかったのに」
キュルケが残念そうに言う。
「じゃ、今度はタルブの村か。案内頼むぜ、シエスタ」
「はい、分かりました」
欺き石を再び叩き、幻影を再度展開して、洞窟を後にした。

シルフィードに乗り、タルブに着いたのは日が西へと傾く途中あたりだった。
一行はシエスタの案内によって、『竜の羽衣』が安置されている寺院へとやってきた。
寺院の形は一言で簡素に言えば、サイトの住んでいた日本の神社であった。
その形を見たサイトは懐かしさを感じる。
そして、中に入るとくすんだ濃緑の塗装を施された『竜の羽衣』が鎮座していた。
固定化の魔法によって、錆びることも風化することもなく、そのままの姿を見せている。
興味なさそうに見るキュルケとルイズ。
興味深そうに観察をするシャルロット。
そして、『竜の羽衣』を見て、目を見開くシンとサイト。
「あ、あの、どうかしましたか?シンさん、サイトさん。私もしかしてまずいものを見せてしまいましたか?」
二人の様子を見て、シエスタが心配そうに言うが、二人は黙って『竜の羽衣』を見つめる。
「これが飛ぶなんて信じられないわよ」
ルイズが言う。
「確かに、インチキね。こんな羽じゃ飛ぶこともできないわ」
キュルケも続ける。
「サイト、見間違えなければこれは…」
「あぁ、…シエスタ」
「は、はい何でしょうか?」
「この『竜の羽衣』はいったい誰のだったんだ?」
サイトが質問する。
「え、えと、私の父のおじいちゃんのものだったらしいです」
「これ以外にも他に残したものは?」
「え~と、たいしたものは…あっ、お墓と遺品が少しだけ」
「それを見せてくれ」

来たのはこの村の共同墓地。
白い石で出来た墓石の中に、一つの墓石が異していた。
黒い石によって作られた墓石、そこに墓碑銘が刻まれていた。
「ひいおじいちゃんが死ぬ前に、自分で作った墓石だそうです。異国の文字で誰も読めなくて、なんて書いてあるか分からないんです」
文字を見ていくが、誰もが難しそうに顔をしかめる。
「なんの文字よ、これ?」
「シャルロット、貴女も分からない?」
「見たこともない…」
その中、
「『海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル』」
「えっ?」
そう、すらすらと言ったのは、サイトであった。
シエスタが驚き、目を丸くする。
「シエスタ、君のその髪と目、ひいおじいちゃん似だって言われなかった?」
「は、はい!どうして分かったんですか?」

再び寺院へとシンとサイトは来ていた。
サイトが『竜の羽衣』に触れる。
すると、ルーンが光り出し、サイトに情報を与える。
「(やっぱり、コイツは……)」
触れると、構造、操縦法、機関砲の取り扱いなどのシステムがサイトの頭へと流れ込んでいく。
「(間違いない。俺はコイツを飛ばせられる)」
「俺が知らない形だが、これも一種の戦闘機か」
「あぁ、俺の世界のものだ」
燃料タンクを探し出し、コックを開ける。
予想通り、そこは空っぽだった。
「やっぱりガス欠か」
「あぁ。いくら腐敗しなくても、燃料がなくちゃ飛ばせないな」
そこに、シエスタがやって来た。
「はぁ~、予定より帰るのが早かったから皆に驚かれました」
そう言い、持ってきた物をサイトに手渡す。
それは古ぼけたゴーグル。
この世界に来る前、海軍少尉であったシエスタの曽祖父の遺品。
破壊の杖の持ち主と、サイトとシンと同じように、異世界へと来てしまった異邦人。
「ひいおじいちゃんが残した物はこれぐらいで、日記も書かなかったそうです。…でも、遺言を残したそうなんです」
「遺言?」
「私の墓石に書かれた文字を読めるものが現れたら、その者に『竜の羽衣』を渡すようにと」
「じゃあ、俺にその権利はあるのか」
「そうですね。村の人達にもそのことを話したんですが、お渡ししてもいいと言っていました。今では、村のお荷物ですし、使われたほうがこの『竜の羽衣』も、ひいおじいちゃんも喜ぶはずです」
「じゃあ、ありがたく……」
「ちょっと待ってくれ!!」
声が聞こえ、振り向くと茶髪に身長170位の一人の青年がいた。
「あっ、ホセですか?」
「シエスタ、久しぶりだな。いや、それよりもさっきの話だ」
ホセという青年は、サイトとシンに顔を向ける。
「この『竜の羽衣』を持っていってはいけない!」
「何でだ?」
シンが問う。
「これは村を護ってくださるありがたい護身像様なんだ!それを無断にッ!」
「でも、シエスタの曽祖父は墓石に刻まれた文字を読める者に『竜の羽衣』を渡すと遺言で言っている。その権利はサイトにあるはずだ」
「そんなもの関係ない!護身像様を勝手に持っていくな!」
「ホセ…」
シエスタが止めようとする。
「村の人達は了承しました。それに、『竜の羽衣』もその方が幸せだと…」
「煩い!!」
「きゃ!?」
「シエスタ!」
突き飛ばされたシエスタを、シンが受け止める。
「いいか、護身像様を持っていったらただじゃすまないぞ!」
そう言い残し、去っていく。
「何だ、アイツ?」
「私の4つ上の幼馴染で、ホセっていうんです。昔から『竜の羽衣』を凄く気にしてて」
「何かと宗教団体みたいな奴らにはああいう崇拝者は多くいる。あのホセっていうのも、そんな感じだな」

「おや、シエスタちゃんじゃないかい。もう帰って来たのかい?」
また、別の声が聞こえる。
「あっ、ベムおばさん。違います、学院の人に誘われて宝探しをしていたんです」
「おぉ~、宝探しかい。私も、昔は夫と一緒に無茶な冒険もしたもんだよ」
そう言い、ほっほっほっ、と笑うベムという女性。
「おや、そっちの二人は誰かね?」
「サイトさんにシンさんです。学院の厨房で、お手伝いをしてくれてます」
「おや、そうかい。…で、シエスタちゃんはどっちが好きなんじゃ?」
不意に、時が凍る。
「べ、ベルおばさん!?な、ななななな何を言ってるんですか!?」
「おや、違うのかい?」
「ち、違うといいますか、わ、私は、その、なんていうか、そんな、あの…」
「おぉ、どっちかに脈ありか。じゃが、どっちもいい男じゃのう。私があと50若かったら、お近づきになりたかったのう」
「あ、あはははは」
サイトは苦笑いを浮かべ、シンはやれやれといった感じになっていた。
「まぁ、ゆっくり観光していってもらいたいが、それもあまりかなわなくての~」
「えっ、どうしたんですか?」
「実は、近頃『暴れ馬人』とやらがあらわれてね~」
「…『暴れ馬人』?」
「何ですか、それって」
シンとサイトが聞く。
出身であるシエスタも、首を傾げる。
「私は見たことはないんじゃが、馬の頭で体が人の姿をしている怪物がこの村に突如現れてな、時々村人を襲うそうなんじゃ。何人もその犠牲となっていて、ほとほと手に困っておるんじゃ。もしかしたら亜人かもしれないと噂になっておって、村人はビクビクしておるのじゃ」
「シン、もしかしたら…」
「ドーパントって可能性も、0じゃない」
「傭兵にも頼んだんじゃが、その傭兵も倒れてしまっておる。……そうじゃ、どうだお主達。村の用心棒をしてもらえぬか?」
「俺達が、ですか?」
「ふむ、そうじゃ。報酬は私が払おう。引き受けてくれるか?」
「いや、ていうか…報酬とか別にいいですよ」
「ならん!私の気がそれでは治まらん!」
その一括により、シンとサイトは『暴れ馬人』を退治する、用心棒を引き受けた。

「さて、本当にやってくるのか?その『暴れ馬人』てのは」
日が暮れた頃、自主トレーニングをしていたサイトが愚痴る。
シエスタの家に泊めさせてもらうことになったシン達。
シエスタの両親に礼をして、始めに洗礼を受けたのは、子供達からだった。
年が離れていても関係ないという風に、子供達はシンやサイトに構っていった。
そんな子供達を見て、遊ぶことに関しては喜ぶ現代っ子のサイトに、妹がいたこともあって、年下との交流は人並み以上にできるシンは、同心に帰ったかのように、遊び通した。
その後は家に戻って、大人数での食事会が行われた。
子供達と一緒に騒いだり、シエスタの両親と話したり、そんな楽しい時間は、風のように過ぎていった。

そして、子供達が寝静まった夜。
「ふっ、ふっ、ふっ」
強弱をつけながらの素振りを繰り返す。
――ガサッ
「……?」
不意に聞こえた葉擦れの音。
振り向くと一瞬、影が跳躍。
「なっ!?」
咄嗟にその場から離れる。
だが、影は地面についた後、素早い切り返しでサイトに迫る。
腕を伸ばし、首を掴む。
「ガッ…ア、アァァァ……」
首が絞まっていき、呼吸が苦しくなる。
サイトは暴れるが、振り解くことはできない。
「「『エア・ハンマー』」」
突如、影が吹っ飛ぶ。
見れば、シンが地下水を、シャルロットが杖を構えて、呪文を詠唱したのである。
「ゲホッ…ゴホッ…サ、サンキューな、シンにシャルロット」
「ちょっと、大丈夫サイト!?」
何時の間にか、ルイズ、キュルケ、シエスタも来ている。
「あいつは……」
月光が場を照らす。
馬を象ったシルエットと鬣。
馬の最大の特徴、武器でもある脚力を表現したかのような腕と足。
右手には馬の尻尾のような鞭。
『馬』の記憶のガイアメモリによって変身した、ホースドーパント。
『ブルルルゥ!』
威嚇をするように声を上げるホースドーパント。
「闇討ちしに来たかは知らないが、ほっとく訳にはいかねぇな」
ダブルドライバーをセットし、メモリを起動。
【JOKER】
シャルロットも続き、メモリのスイッチを押す。
【CYCLONE】
「「変身」」
【CYCLONE/JOKER】
シンはWへと変身。
シャルロットの体が倒れるが、キュルケが支える。
『ありがとう…』
「倒れたままじゃ、レディの顔が汚れるからね」
Wがホースドーパントへと向き直る。

「さぁ、いくぜ」
Wが走り出す。
跳躍し、拳を突き出す。
ホースドーパントは難なくかわす。
風の力を纏う蹴りや拳を与えていくが、ホースドーパントは余裕そうに避ける。
『早い、身軽さならサイクロンの力に匹敵する』
「あぁ、ものの見事にかわされる」
ホースドーパントが攻勢に出る。
手に持つムチを振るう。
ムチが、Wの左手に巻きつく。
「しまッ!?」
『グオオオオ!!』
ムチを回し、Wを木々に叩きつけようとする。
【LUNA/JOKER】
だが、Wは右手でスロットにルナメモリをインサート。
「オリャアアアア!!」
ルナメモリによる伸縮自在の足を強引に伸ばし、ホースドーパントに打ち込む。
『グオッ!?』
怯み、ムチによる回転が緩む。
『貴方は無茶ばっかり…』
「悪い。説教は後にしてくれ」
【TRIGGER】
タイミングを見計らい、左のスロットにトリガーメモリをインサート。
【LUNA/TRIGGER】
ルナトリガーとなり、左胸のトリガーマグナムを右手に持ち、引き金を引く。
『グギャアアアア!?』
幾つもの光弾がホースドーパントへと直撃。
【CYCLONE/JOKER】
再び、Wはサイクロンジョーカーへと変身。
そして、ジョーカーメモリをマキシマムスロットへとインサート。
【JOKER MAXIMUMDRIVE】
スロットが音を立てて、ジョーカーメモリの記憶を高速で読み取る。
Wを中心に発生する暴風によって、Wは空中へと昇りあがる。
宙に停滞すると、マキシマムスロットを叩く。
「『ジョーカーエクストリーム!!!』」
一気に加速し、ホースドーパントへと迫る。
直前に、Wの半身が割れ、さらに加速。
だが、ホースドーパントはそれさえも上回る速さでその場を逃走。
必殺技は不発に終わった。
「シン、アイツは?」
「逃げた。馬だけに、逃げ足も速いらしい」
Wの変身を解除。
「本当にいたんだな、『暴れ馬人』」
「明日、詳しく調べる必要があるな」


翌日
シン達はタルブの村の人々に聞き込みを始めた。
初めに訪れたのは、『暴れ馬人』に襲われた人々。
シンは、シンとサイトの前に雇われた傭兵に話を聞いた。
「『暴れ馬人』について、知っていることがあるなら教えて欲しい」
「なんだ、元用心棒か。…そのことは口に出したくはないんだが、事態が事態じゃ仕方ないな」
「助かる」
「あん時は、確か…この村にある『竜の羽衣』を見にいったんだった。それでよ、その夜に『暴れ馬人』が現れたんだ。俺はオークのような亜人は見たことはあったが、あんなに人間に近い亜人は始めて見た。それからはこの様を見れば分かる話だ」
「嫌な事を思い出させてすまない、そして教えてくれたことに感謝する」
その後は襲われた他の人からも話を聞き、次に訪れたのは昨日会ったホセの家。
「あんた等か、何しに来たんだ?」
ドアを開けたホセは、シンとサイトを睨む。
その態度にムカッときたルイズ達を静めて、シンが話す。
「『暴れ馬人』について知ってる事があるなら話して欲しいんだが」
「…あぁ、村の人達が騒いでる噂ね。でも、噂なんだから本当はいないんじゃないの?」
「だが、襲われた人や目撃者は多数いる。俺達も、昨日襲われた」
「へ~、いるんだ。ま、僕は会ったことはないから分からないよ」
「そうか…邪魔をしたな。さ、いくぞ」
怒りが収まらないのか、グゥーと唸るルイズをサイトが宥め、その場を去っていく。
「やっと行ったか…」
ホセが愚痴る。
「護身像様を持っていこうとするあいつ等なんて、見たくもない」
うざうざしい奴らだ、と小声で呟く。
「ほう、中々の憎悪だ」
「ッ、誰だ!?」
家の影から出てきたのは、ワルドだった。
「そう驚くな。手を貸そうと思ってな」
「なんだと?」
「あいつ等が憎いだろ、あいつ等を殺したいだろ?」
「(あぁ、護身像様を持っていくなんて、貶した奴らよりも憎い)」
ホセの黒い感情が大きくなる。
「その話、詳しく聞こう」
ホセの言葉に、ワルドは心の中で口を吊り上げた。


「もー、何よアイツのあの態度!」
帰りの中、ルイズはやり場のない怒りを大声に変えて叫ぶ。

「昔は、もっと優しい人だった筈なのに…」
信じられないという風に、シエスタが呟く。
「結局、分からずじまいかぁ」
「……なぁ、シャル」
「私も、何か引っかかるものがある」
「じゃあ、戻ったら”アレ”だな」
「…分かった」
「?」
意味深なシンとシャルロットの会話に、キュルケは疑問を感じる。
シエスタの家に戻り、シン達は部屋へと入る。
「ねぇダーリン、何をするの?」
先ほどの会話を聞いていたキュルケは不思議そうにしていた。
「これからやることは多分…お前達にとっての未知だ。シャル、頼むぜ」
シャルロットが頷く。
そして、持ってきた一つの本を取り出す。
目を閉じ、体の力を抜く。
と、周りが突然として、薄暗くなる。
「「「「えっ?」」」」
驚く面々だが、気にすることなく続ける。
そして、シャルロットの目の前には白い空間。
と思った瞬間に、無限とも思える本棚が現れる。
ここは、シャルロットにある知識という無限の情報を持つ場所。
――【惑星(ほし)の本棚】
『シン、検索を始める…』
「一つ目のキーワードは、『暴れ馬人』」
シャルロットの目の前に、検索するためのキーワードが浮かび上がる。
途端に、本棚が動き、本棚は減少する。
無限と思えた本棚は既に十数個となった。
『急に減った…』
「まぁ、限定してあるからな。二つ目は、『竜の羽衣』」
再び、キーワードが浮かび上がる。
それによって、本棚は無くなり、本は数冊残っただけである。
「三つ目は、『崇拝者』」
最後のキーワード。
残った本は、1冊。

『当たり…』
そう言い、シャルロットは本を読み始める。
そして、シャルロットは目を開ける。
持っている本を開く。
だが、本には文字など一文字も書いておらず、一面真っ白である。
「『暴れ馬人』が所持しているメモリは【HORSE】。被害者達が襲われたのには共通点がある。『竜の羽衣』を貶し、馬鹿にした事。もう一つは、襲われたのは『竜の羽衣』を貶したその後。つまり、目立たない夜を狙ってくる…」
真っ白な本を指でなぞり、暗記しているかのように、シャルロットは話していく。
「犯人はよほどの『竜の羽衣』の崇拝者…そして、その人物は…」
「「ホセ」」
シンとシャルロットの声が重なる。
「ちょ、ちょっと…さっきのは一体何なのよ!?」
ルイズが何が何だか分からないという表情で聞く。
サイト達も何が起きたか理解できないという風である。
「今のは、シャルにある脳内図書館【惑星(ほし)の本棚】だ」
「…私の頭の中には、この惑星(ほし)の全ての記憶が内包されている」
「惑星?記憶?」
何を言っているのか分からない、というような感じで首を傾げる一同。
だが、サイトは漠然とだが、言っている内容を理解する。
「なぁ、もしかして…惑星って、この世界の?」
「あぁ。シャルには、この惑星が持つ全ての知識が頭に詰まっている」
惑星(ほし)。
今ある生命を創り上げた源とも呼べる記憶が、シャルロットの頭の中にある。
あまりにも壮大すぎる話に、サイトは愕然とする。
「簡単に言えば、この世界が持つ様々な起こった出来事が、シャルの頭の中に存在しているって事だ」
「そ、そんなことが……」
「Wやドーパントを見れば、分かるだろ?」
シンの言うとおり、Wやドーパントはこの世界にとっては、信じられないほど謎がある存在。
そういう意味では、惑星(ほし)の本棚も嘘話ではない。
「まぁとりあえずは、ホセの奴に、灸を添えてやる」
そう言うと、シンはドアに手を掛け、ホセのいる場所へと足を運ぶ。

to be countinued.



次回、仮面ライダーW

「俺はお前達が憎い!!」

「憎しみが、ガイアメモリの力を強める」

「元の貴方に戻って下さい!」

「絶対にお前の思い通りにはさせない」

「これは素晴らしいですぞー!」

「俺とお前の、通り名だ」

第10話『暴走のH/その名は仮面ライダー』

これで決まりだ!

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最終更新:2010年05月18日 02:21
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